“文学少女”と恋する挿話集4 (ファミ通文庫)
今回は文学少女見習いの短編なども収録されており、こちらも非常に魅力的な挿話ですが、
やはりメインディッシュは文学少女ファン必見の、遠子先輩やななせや、美羽などの主要人物のその後にスポットを当てた挿話でしょう。
本編終了後、パリへと向かい天使と再会を願うななせの物語の結末。
心葉への依存から開放された美羽は、芥川に支えられつつ、今後どのような生活を送っていくのか。
本編では全員が各々の望む結末を手に入れたとは言い切れませんでしたが、そんな彼らが苦難の末に”幸い”を手に入れた姿を見ては、当事者ではないただの読者である私ですが一気に肩の荷が下りた気分になりますね。
また、作品の根幹にすら関わるほど重要でありながら今まで語られなかった、遠子先輩の心葉への気持ちの変化も語られています。
本編における、遠子先輩の今までの行動の裏に隠された想いが丹念に描かれており、甘酸っぱくも切ない気持ちになります。
でもこれ程の覚悟と秘めたる想いを胸に抱きつつも、最後は心葉の小説家としての未来を願った遠子先輩は、やはり真の文学少女なんだなぁと確信を得られました。
本巻を持って挿話集はすべて出し終え、いよいよ次巻の「半熟作家と文学少女な編集者」で文学少女シリーズも完結を迎えます。
大好きな作品が終わってしまうのは非常に残念ではありますが、最後まで目を離さず遠子先輩達の物語の結末を見守っていきたいですね。
放課後オーバーフロウ
"放課後オーバーフロウ"は楽曲がTVのオープニングとかに適してそうな勢いがあって元気な印象。楽曲も好きでインストも含め私は繰り返し聴いています。ですが歌詞をじっくり聴き、歌詞を読むとなんだかしんみりするような内容。ジャケットのランカもよく見ると涙とも水滴ともとれる意味ありげです。
雑誌インタビューでも河森監督が、劇場版2作目を観るまでにこの曲は聴き込んで欲しいともありました。たしかに放課後、ただバイトに行くのではなくS.M.Sに所属しているアルト達、また他の友人ともいつ戦争で会えなくなるかもしれない可能性がある重い内容です。そういった歌詞でありながらもランカらしく明るく歌ったとの中島愛さんの雑誌インタビューもありました。(各インタビューはマクロスA VOL.007より)
"Get it on-flying rock"は、ランカとシェリルの各パートでなんと日本語が1か所ずつで、あとは英語歌詞という異色曲。こちらもノリが良く、曲としてはシェリルとしての印象が強いですね。
総合的には私もランカのセカンドシングルと言うには疑問な曲の組み合わせと感じました。過去でも"ライオン"のシングルの時も2人での曲であり、2曲目はシェリルの"ノーザンクロス"といったケースもありましたが…。
各情報では劇場版2作目としても新曲は多数用意されているようです。しかし河森監督の意図として初見のインパクトを大事にしたいとの事で劇場公開まで秘密との話でもありました。なので劇場封切り後のアルバムにも期待したいですね。
クライマックス 80’s GREEN
作詞松本隆、作曲ユーミン、ボーカル聖子ちゃんの最強トライアングル「瞳はダイアモンド」で始まる80sコンピ。いや〜、とにかくメロディがいい、編曲がいい、それでもってボーカルもいい三拍子そろった名曲がズラ〜リ。「A面で恋をして」(ナイアガラトライアングル)〜「探偵物語」(薬師丸ひろ子)の大瀧詠一ナンバー、「いっそセレナーデ」(井上陽水)〜「恋の予感」(安全地帯)の陽水ナンバーなどつながりを大事にした選曲もかなり好感。薬師丸ひろ子といえば、代名詞「セーラー服と機関銃」の原曲「夢の途中」(来生たかお)を収録しているのもニクイ。でももっとニクイのは、「私はピアノ」(高田みづえ)。これは今回の大収穫かも。だって、サザンオールスターズのカヴァーだってことをすっかり忘れてたもん。桑田佳祐夫人も声も好きだけど、やっぱり若島津夫人のボーカルもいいなぁ、っていうか嬉しくなるぐらい懐かしい。でもいちばん嬉しいのは、全37曲で3150円の安価かな。だって1曲あたり85円だよ。これは買いでしょ、YES-YES-YES!!!
She was a boy
前作は私たちには耳慣れないヘブライ語で歌い、
CMで大ヒットした「New Soul」のPVのイメージのように
水にたゆたうような不思議な世界観でした。
その前作から3年間。満を持して発売されたアルバムは、真正面からこちらを見据えている
エキゾチックな美しいアートワークになっています。(こんな顔だったっけ、と思ってしまった)
この密林の奥深くの極彩色のように、今回はより濃密にパワフルになっていると感じました。
ヘブライ語は封印。ほとんどがフランス訛りの英語なのですが、
アラブ、インド、ジャズ、フォークと様々な音楽的ルーツを感じさせます。
今回、特にR&Bの要素が増えたことで、かなり多くの人に親しみやすいバランスになったと思います。
(後半にたたみかける歌唱力の「Mystical Love」が好きです)
(「他にこんな商品も買っています」に出てるように、アデルに通じるものが。あと個人的にフィオナ・アップルとか)
何にしてもフランス映画に使えそうなアンニュイかつコミカルなサウンド作り、
シングルカットしても負けない強さ、そしてアルバムを通して一貫した世界観。
非常にメリハリが利いて素晴らしいアルバムです。
唇にキス 舌の上に愛―愛と混乱のレストラン〈3〉 (二見シャレード文庫 た 2-13)
2巻、「えっここで続く!?」というところで終わり、3巻を心待ちにしていました。
完結の3巻。
さすが、期待は裏切られませんでした。
絶望と、再生。恋の自覚。
社内のTOB騒動と、それに翻弄される2つのレストラン。
大激震の3巻ですが、見事に結末まで持っていかれちゃいます。
理人がレーヴで食事するシーンの描写が秀逸です。
理人の心情が伝わってきて、私も桃瀬と一緒に感動してしまいました。
「人間は、愛とメシでできてる」
この台詞がいいなあ。
理人と、俺様なのに理人には弱い久我の2人の会話、楽しくて好きです。
ストーリーがシリアスな中、イチや雅紀、桃、坊さん…魅力的なキャラたちもシリーズの魅力でした。
でも叶さんは…ずっと理人を思っていたのに、思いが交わらなくて切なかった。
・・・イチの話がまだあるようで楽しみです。