自殺サークル [DVD]
本作の撮影は2001年の5月に行われている。世界が変わった「911」の5カ月ほど前だ。新宿駅は撮影許可が下りず(まあ54人の集団自殺なんて撮らせる訳もないが・・・)、新宿駅構内ゲリラ撮りと別の駅での撮影を組み合わせたファーストシーンの衝撃がとにかく凄い。血に染まった新宿駅なんて「まさかありえない」ことだと監督も思っていたのだろうが、しばらくしてマンハッタン・WTCは実際に血の海となった。偶然といえばそうだが、この殺伐とした世の中を予見していたのかも知れないね。公開は「911」から半年後の2002年3月。よってこの時点で本作は「ただの想像スプラッタ」じゃなくなっていた。園監督の以降の作品にもこの時の「前後」経験が活かされているのだろう。きっかけは「リング」とか「呪怨」とかそういう類の作品作りだったのかも知れないが、新宿駅のシーンだけで本作はずっと語り継がれると思う。「紀子の食卓」でもこのシーンは繰り返し使われ「いっせーの、いっせーの、いっせーの、せ!」で飛び込む場面は、個人的にもトラウマだ(笑)。特典映像で観る園監督はまだ若い(笑)し、作風も荒削りなところはある。しかし、そのパワーは凄い。ローリー演じる教祖(?)など2010年に観てもしっくりハマるし、「紀子」や「愛のむきだし」とリンクする個所も見受けられる。予告編のコピーから髪の毛がうじゃうじゃ出てくる場面はどちらかというと「エクステ」だったしね(笑)。石橋凌や永瀬正敏は安定感抜群だったが、田中圭や長澤奈央など今をときめく俳優たちが多く出演しているのも見どころである。星は3つです。