夏雪ランデブー 1 (Feelコミックス)
ごくごく最近、河内さんの存在を知った、まだまだ河内初心者です。
この作品の主な登場人物は三人ですが、
皆それぞれに微妙とも言える関わりを持ち奇妙に三角関係を形成しています。
本来の三角関係と少し違うのは、一人この世を去った人がいるということ。
最初、発想勝ちの作品かなとも思ったのですが、いやいやどうしてなかなか。
意外に王道とも言えるもつれ具合が絶妙です。
二人の男性から想われている花屋の店長と、昭和の香りしそうな一途に恋焦がれるバイト青年と、
死してなお想い人と添い遂げる幽霊と。歪んだ形でトライアングルが築かれています。
幽霊(店長の元旦那)をこの世に引きとめているのは店長なのですが、
当の本人はその事実に全く気付かず、なぜかバイト君が最初にその存在を認めるという。
皆がそれぞれに微妙なバランスを保ちつつ、いつそれが崩れるのかわくわくしながら、
あるいはハラハラしながら物語は進みます。
さらっと描かれているようで、逆にそれが妙なリアリティ。
人の気持ちの変化が時に残酷で、でもそれが道理で。
誰かが誰かを想うことが、どこかで違う誰かを傷つけることなのだと改めて気付かされました。
作中で「二番手でいい」なんていうセリフがあるのですが、
ああ、それこそ本当にこの三角関係を暗示するような言い回しだなあと。
今後この作品がどう転ぶのか、展開に期待も込めて★★★★☆です。
ラーメン発見伝 26 (ビッグコミックス)
とうとう最終巻である。すっきり気持ちの良い最終回だった。第三の旨み成分であるキノコのグアニル酸は、確かに注目に値する。しかも現在のラーメン店では椎茸ぐらいしか使わないが、「雑キノコ」が妙に旨いように、キノコ一種類でなく数種類混ぜるという提案は、理にかなっている。ただ、作品中の癖のある外国産キノコと水っぽいエノキダケについては、現実的には素材として適さないだろう。
そして、この漫画の蔭の主役は芹沢。藤本と芹沢が全面に出る最後のストーリーは、最終巻にふさわしいものだった。
ちなみに、外伝風に「ラーメンふじもと」のエピソードを、不定期に書いてもらえるとうれしいなあ。
とにかく、ずっと楽しませていただいて、ありがとうございました。
STAR DRIVER 輝きのタクト アンソロジー (ヤングガンガンコミックス)
オリジナルアニメ
「STARDRIVER 輝きのタクト」のアンソロジーコミック(プロによる二次創作集)です。
執筆作家陣も多彩で賑やかな仕様です。表紙を含めてカラーイラスト8点と短編漫画18点が収録されています。
人物に焦点を当てており、全体の90%くらいがギャグコメディに仕上げられています。
主な登場キャラクター
主人公3人組(タクト、スガタ、ワコ)
サカナちゃん・ヘッド
おとな銀行(カナコ、シモーヌ、タカシ)
…(大半がこの3グループを扱っています。)
ケイト、カタシロ、副部長…他多数登場
個人的オススメ作品
金田蓮十郎先生のミズノ(イラスト)
ノズエ先生
闘牛ユキオ先生
楽しい一冊ではありますが、アニメを視聴済みで心の広い方を推奨します。
サカナちゃんとヘッドの話はどれも秀逸な仕上がりであると思いますが、アンソロ全体を見返すと完成度は微妙な気がします。
アニメ宣伝も兼ねた展開であるならば、執筆陣の略歴やスタドラに対する感想を
一言でも載せた方がよかったのでは?と思いました。
「アンソロは大概こんなもの」と言われればそれまでですので、
ご興味のある方は御手にとって確かめてみてください。
モートリ 妄想の砦 6 (ヤングジャンプコミックス)
この巻で完結のモートリですが、すばらしいマンガだったと思います。
この巻の中身としては、これまで微妙だった稲葉監督とトーコ先生の関係が
モ−トリ5のがんばりで一応は決着ついています。
そしてついに梵が、監督をするわけですが
それによって梵と小春の関係はどうなるのか。
最後は、タイトルどおりうまく考えたなという
面白くかつきれいな終わり方をしています。
それにしても葉月さんはすごすぎる。
ホントに絵がきれいで、特に表情の描写がすばらしい。
繊細な女心を描きつつ、物語はきちんと男目線でもかいている。
葉月さんのマンガの中でも、自分は一番だと思います。
なぜこれだけのマンガが、そんなに評価されていないのかわかりません。
(まあ明らかにマイノリティーで大衆向けではありませんが)
もっと見たかったので、「恋ジャン」のように続きすぎてふやけるのも
どうかとは思いますが、このレベルでこれだけ早く終わるのはもったいないですね。