孤高の人 16 (ヤングジャンプコミックス)
最近の巻は内面心理描写を絵に表したらまさしくこんな感じ…という話が続いています。
初期の頃のガッツリ山登りを楽しんでる!頃の方が読み応えがありました。
心理描写より、わたしは登山での現実をたくさん見たいです。
八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)
長年にわたる気象庁勤務と、登山家としての経験を持つ著者の新田次郎氏。
「強力伝」「富士山頂」など、山と人間の極限のせめぎあいを数多く描いてきたその筆力は、
この作品でもいかんなく発揮されている。
明治35年、目前に迫った日露戦争。ロシアの陸奥湾封鎖の想定のもと、八甲田山雪中行軍は行われた。
咆哮する風の音、重く沈む灰色の空と雪煙、骨まで凍らすような寒気。
小説を読み進めるうちに、第三十一聯隊および五聯隊の隊士たちとともに、
読者も白魔の世界に引きずり込まれるかのような迫力がある。
雪中の死の彷徨、あるものは発狂し、あるものは眠るように倒れ、追い詰められてゆく第五聯隊の極限の状況が、
背筋にジンと来るような緊張感を持って迫ってくる。
事実を元にした作品であるから、全体に記録文学的な筆致で構成されているが、完全な実録ではないことは知っておきたい。
士官の名は実名を窺わせながらも変更されているし、所々潤色も見られる。
実名と仮名が併記される場面などでは、やや読者を混乱させる面もある。
しかし新田氏の本作における目的は、事件を完全なドキュメンタリーに再現することではなかったはずだ。
本作で新田氏は、極限状態の中にある「組織」というものに注目している。
すなわち三十一聯隊と五聯隊の明暗や、死後も失われなかった序列である。
階級の差はそのまま死傷率の差、または祭祀料の差という、冷徹なまでの数字になって表れていた。
国家とは、組織とは、軍とは、戦争とは、人間とは、命とは何か。
この八甲田山死の彷徨を通じて、新田氏は読者に問いかけている。
八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]
圧倒的リアリティと迫力の映像、迫真の演技。
雪と吹雪と風の凄まじさ。
まさに、これは、戦争だ。
日露戦争の厳しさが、ひしひしと伝わる。
三國連太郎 の狂気の演技は特筆物。
誤ったリーダーシップの悲劇がひしひしと伝わる。
歴史の教訓が、未だ生かされず。
無能無謀な権力者が世界中で続出する現実は悲しい。
津軽の美しい4季の風景は、自然と共生する事の重要性を静かに諭している。
氷壁 (新潮文庫)
読んだ後に大きな爽快感を感じられる1冊です。
特に、男気に富んだ、実直な主人公の最後の登山シーンは大変ドラマティックで、また、彼の残した手記は読むものに感動を与えると同時にその山の情景に吸い込まれていきます。
全体的にストーリーがじわじわと進んで行くため、最終シーンでは一気に興奮と感動が押し寄せます。
山に少しでも携わる人はもちろんのこと、そうでない人も十二分に楽しめる素晴らしい本だと思います。
小説に書けなかった自伝 (新潮文庫)
気象庁という役所に勤めながら、小説を書く。
そのことの重圧を、克明に記してある。
富士山レーダー設置の主管課長を引き受けるか、あるいは小説一本でいくか。
・・・いろいろ考えた末、役所を辞める決意をする。
年度末の退職準備、引き継ぎ、翌朝の描写・・・。興味は尽きない。
まあ時代も時代だったのでしょう。
当方、すでに2回か3回辞表を書いているので、著者ほどの苦しみは味わわない。
そんなに気象庁が好きだったのか・・・と、オドロキを禁じ得ない。
しかし悩み苦しむサラリーマン、他人の評価が気になって仕方がない小説家。
いずれも身近であり、人間臭く、親しみが持てる。
悩めるヒーロー、みたいな気がする。
P.S.上司が佐貫亦男とあってびっくり。あのヒコーキの本をたくさん書いている人か・・・。