Mendelssohn: Symphony No. 5 ("Reformation" in Full Score)
マーラーの交響曲の中でも、第4楽章が有名なこの曲ですが、
その4楽章の演奏をする際は他の楽器の音を良く聴き、
その音に合わせる必要があります。
そこで、このミニチュアスコアを使うのですが、
「たかがミニチュアスコア」と侮るなかれ。
指揮者でもない人は、この本だけでも十分です。
価格もフルスコアに比べれば低価なので自信を持ってお勧めできるものです。
メンデルスゾーン:無言歌集(全48曲)
そこそこ
多くのピアニストが
この曲を(断片的に)収録しているが
殆どが
情緒に流され過ぎで
聴いていて直ぐに飽きてしまうものだ。
それを
ダニエル・バレンボイム氏は
いとも
明快に「全曲」弾きこなしている。
その演奏からは
現存する演奏の解釈
すべてを
導くことも出来得る
universal
(ユニヴァーサル・ユニバーサル)な
ものと感じることが出来る。
それは決して
色褪せた物では無く
むしろ
無限の
想像の豊かさ
を
我々に示してくれた
ひとつの標(しるし)と言得るでしょう。
録音状態も非常によく
澄んでおり
細部まで確り聴くことが出来る。
メンデルスゾーン無言歌集 全音ピアノライブラリー
浪漫時代の哀愁ある完美な旋律を堪能できる曲集だと思います。この時代の同類の曲集としては、ショパンのワルツ集、ノクターン集が有名かと思います。メンデルスゾーンの無言歌集はその陰に隠れた存在かもしれませんが、ロマン期特有のあの美しい旋律を求めるのであれば、ショパンのそれらにけして劣る事はないです。その曲集やボリューム面から考慮しても、無言歌集の方が圧倒しています。
曲数が多いということは、曲の規模も全体的には小さめでありますが、難易度としてはショパンのワルツ、ノクターンレベルを要求するものがばかりです。部分的にはそれらを上回るものも散見します。
膨大な曲数になりますが、それでも各々にサブタイトルが添付されていることからも、一つ一つの曲の完成度の高さを伺えます。もっとも、これらは本人によって付けられたものではないらしく、そう言う意味ではベートーベンのピアノソナタに近い色彩もおびています。
浪漫時代の甘美な響きを体感したいのであれば、この曲集はおさえておくべきかと思います。
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 他
かつてはオイストラフやコーガンなどに限られていたショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番の録音は、ここ10年ほどで、ワディム・レーピン、マキシム・ヴェンゲーロフ、みどり、更にハーンのこの録音と発売時期がほぼ重なったイリヤ・グリンゴルツと急速に増えてきている。いずれも力演ぞろいだが、少なくともソロパートに関しては、ハーンの録音が音程の正確さ、楽譜の読みの深さ、さらに勢いという点においても抜きん出ている。
第1楽章ノクターンでの終わりの無い旋律での表情は、やや線が細い印象があるものの、レーピンと比べても速く感じられるテンポの第2楽章スケルツォでは急速なパッセージでも全く音程が崩れることがなく、驚異的。第3楽章パッサカリア終盤の恐怖のカデンツァでは、メ¿シェ部分の指示を守っておらずレガート気味だが、ポリフォニックな処理が見事なだけでなく、第4楽章突入部分に至るまで息が切れない。第4楽章でも第2楽章同様に音程の精緻さが驚異的である。ピツィカート連続部分ではクレッシェンドをかけるなど独自の考えも聴かれる。
グリュミオー並に擦過音が少なく、G線の鳴らし方がやや軽く感じられなど、全体的に「ソ連的な深刻さ」にはレーピン録音に比べると欠ける、という点に関してだけは気に入らない人もいるかもしれない。
録音状態についても、第2や4楽章最後にオケが大音量になってもソロパートを弁別できるなど、優秀。
みどりやジュリアード系ヴァイオリニストであったならば、勢いだけで音程はめちゃくちゃというパターン(要するに玉砕)が多かっち!、ハーンは全く完璧。今後も彼女の近現代録音には要注目。
芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
物語は、メンデルスゾーンの死後7年が経過し、アンデルセンが思いを寄せていたジェニー・リンドの家を訪れる場面から始まります。さて、この3人にどの様な接点があって結びついていくのでしょうか?
アンデルセンは、1805年デンマークの貧しい家に生まれます。出世を夢見て、コペンハーゲンに行き、紆余曲折ありますが、政治家コリンの援助を得て大学へ行き、作家として成功していきます。メンデルスゾーンは、1809年裕福な銀行家の家に生まれます。幼い時から天才の誉れ高く、ユダヤ人ですが、プロテスタントに改宗します。ロマン派の作曲家、指揮者として高名なのは、よくご存知だと思います。ジョニー・リンドは、1820年ストックホルムに生まれます。親の愛を知らずに育ちますが、やがてナイチンゲールの愛称を受けるほど歌手として成功します。
ある日、メンデルスゾーンは、自宅で内輪のパーティーを開きます。その席にグリム兄弟の友人と言う事で、アンデルセンが招待されていました。そして、メンデルスゾーンとアンデルセンは、話がはずみメンデルスゾーンがオペラ歌手を探していると言う話になり、ジョニー・リンドを推薦します。後日、メンデルスゾーンは、1845年知人宅でリンドと会い、彼女の声が気に入り、彼女の為に援助するようになります。そして、1847年の英国公演ですが、この時リンドがメンデルスゾーンに愛の告白をしたらしいんですが、メンデルスゾーンは、このまま曖昧な態度をとってはいけないと決断し、子供の病気を理由に急遽英国を去り帰国の途に着きますが、その途中、最愛のそして最大の理解者の姉、ステファニーの死亡を知らされます。ショックのあまり体調を崩し、一時持ち直しますが、その年、メンデルスゾーンは、死亡し、その訃報がリンドの元に届きます。
アンデルセンは、リンドが好きで、何度も愛の告白をしますが、結局受け入れられませんでした。一方リンドは、最初会った時からメンデルスゾーンに強く引かれ、彼にも受け入れる気持ちがあったようですが、彼には、美人の妻、セシルがいました。彼女もまた、彼を愛していたんです。華麗なる三角関係(四角関係?)は、私は全く知りませんでしたが、欧州では、結構有名な話らしいです。
私がこの本を読もうと思ったのは、メンデルスゾーンと言う名前に惹かれたからです。彼は、天才でしたが、ユダヤ人の為、いわれ無き迫害を受けていました。イタリア、メンコン等有名曲は、日本でも広く知られていますが、その全貌は、まだ明らかになっていません。再評価が望まれます。また、バッハ、ベートーヴェンの再評価、近代指揮法の確立にも大きな貢献をしています。そういったことを頭に入れて、この物語を堪能してください。