国境を越えるとき思うのは・・おすすめ度
★★★★★
「母さん、国境を越えるときに思うのは、去る国への郷愁と
新しく出会う国への希望です」
「ラテンアメリカは無意味な国籍により分断されていますが・・」
前者は旅の途中の母への手紙、後者は旅の終わりに近いころのスピーチです。
国境を越える時の気持ちはバックパッカーとして痛いほど
胸にささります。そしてスピーチは、まさにエルネストの原点であり
エルネストのすべてです。
ブエノスアイレスのオンセ駅、船旅での一コマ、旅の途中の病気、
BA大好きな私としては垂涎モノののシーンばかり。
とにかく爽快で若さあふれる映画です。
自分が旅を楽しむだけでなく、私もエルネストを助けた多くの人々のように
暖かい思いやりを持って見知らぬ人に接することができるように
なりたいと心から思いました。
これを見てまたチェゲバラをいっそう好きになること間違いなし!!
そして今の職場をやめたら絶対南米縦断することを決意しました!!
ゲバラを知らなくてもおすすめ度
★★★★★
十分に楽しめる映画だと思います。
旅を続けるに連れて、エルネストとアルベルトの進む道が分かれていくのが何ともいいです。
お坊ちゃんから強い信念を秘めた表情に変わっていくエルネストと、定職を見つけ落ち着いた表情になるアルベルト。
アルベルトの旅はこれで終わり、エルネストはまた新たなる旅、南米社会を変える旅に出ようとする、そんな予感がしました。
にしても主役2人がイイ!男前なだけでなくちょっと頼りなげで、しかし不思議なカリスマ性を感じさせるガエルと、
何ともいい意味で俗物(?)なロドリゴ。いいコンビだ・・・。
現代への警告?おすすめ度
★★★★★
このロードムービーの素晴らしさは皆さんがレビューしてくださっているので私は作者がちりばめた現代への警告について感想を書きたい。
バイクは現代文明のメタファーである 馬、牛、は古代文明、又は自然だろう。たびたびバイクは馬や牛に追い抜かされ、故障したりする。そして牛にぶつかって壊れてしまう。最初こそ強そうに見えたポデローサだが、相当やわいものだということである。これは作者による現代文明への警告であろう。移動手段もバイクと同じで徒歩に なったり人力のイカダになったりする。これは人はいつか原始的方法に回帰する、という作者の予言だろう。この作品が作られた頃は環境問題が話題になっていた時期であった。これら以外にも様々な現代文明への示唆が含まれている。それらは全て現代文明にたいして批判的だそして彼らの旅を近代からの人類の進歩と未来と捉えるなら最後に主人公は飛行機に乗って帰っていく。それを老人が凝視するそこには結局は科学という力へ帰っていってしまうだろう人への悲しみが出ているのだろうか。しかし飛行機には彼という希望も乗っていた。
静かに、心がざわつかされる映画おすすめ度
★★★★★
23歳の若きチェ・ゲバラ(エルネスト)は、親友アルベルトと共に南米横断の旅に出る。中古のバイクで大陸を突っ切るつもりなのだ。
突然の雷雨にとまどい、
バイクが故障するも修理する金がない。
砂漠を歩く。
マチュピチュの遺跡を目にする。
アマゾン川を越える。
宿も金もない壮大な旅路で触れ合い、心通わせたのは
常に、貧しさの中で必死に生きる人々だった。
土地を奪われ、夫婦で放浪する炭鉱労働者。
農地を警察に奪われた原住民。
裁縫で生計を立てるインディオの人々。
旅は予想以上にエルネストを変えていった。
医者になることが進むべき道なのか?
そしてハンセン病患者を収容する病院で、彼は24歳の誕生日を迎え、スピーチをするが、、、。
若き日のチェ・ゲバラの優しい視線を、情熱と共に感じる事のできる映画だった。
そして、まだ社会を知らぬ大学生が初めて目にする社会の持たざる人々とのふれあいに、観る人は自分の青春期を重ねるのではないだろうか?
ロケは相当大変だったと予想する。
しかし、それだけ丹念に風景と行程が描かれている。その、だんだんに変化する風景と静謐で美しいギターの音が上手く溶け合っている。
清々しさでいっぱいだった。
買うしかない!
おすすめ度 ★★★★★
背筋にゾゾゾという感覚が走りました
。これを知らずして新しい時代のエンターテイメントは語れません。
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。
概要
キューバの革命家として、南米ではもちろん世界中に信奉者を持つチェ・ゲバラ。本作はブエノスアイレスでの医学生時代の彼・エルネスト(本名)が、友人と1台のバイクで南米を縦断した日々をつづる。彼自身の日記を映画化した、みずみずしい青春ロードムービーだ。アルゼンチンからチリ、ペルーを経てベネズエラへの1万km、6か月の旅で、ふたりはバイクの故障、ほのかなロマンス、そしてハンセン氏病患者たちとの触れ合いを経験する。
マチャピチュ遺跡やアマゾン、アンデスの雪山など、南米独特の風景が印象深い。表向きの物語は、冒険好きな男ふたりの珍道中だが、『セントラル・ステーション』のウォルター・サレス監督は、エルネストが行く先々で図らずも南米の現状を発見し、生きる指針を見つける瞬間を巧みに織りこんでいく。エルネスト役ガエル・ガルシア・ベルナルは、頼りなげな表情の中に意志の強い眼光を輝かせ、主人公の成長を体現。革命家の知られざる青春の1ページであるだけでなく、注目俳優の最高の演技を目の当たりにできる意味でも必見だ。(斉藤博昭)