映画館で２度、ＤＶＤで数え切れないほど観ました。

天才的な頭脳を持ちながら、幼児期に親からの虐待で、自分に自信を持てなくなった

青年と、カウンセラーのぶつかり合いの物語。

いい条件の就職を、次々と蹴ってしまう・・その時の長い台詞を一気に言うのも

山場だと思います。

「君は悪くない・・・」の言葉で、子どものように泣きじゃくるウィル。

私も、このシーンでいつも涙を流してしまいます。

この世の中に、何も分からない子どものうちに、虐待を受けて、自分が悪いと

思い込んでしまっている人が、きっとたくさんいるのではないか・・と。

虐待じゃなくても、いつの間にか自分に自信を失くしてしまっている人すべてに

お勧めしたい作品です。

正直私は少し侮っていました。
ロビンウイリアムスとマットデイモンの
二人が抱き合うシーンが予告編などで流れているのを見て
どうせ低レベルのお涙チョウダイものなんだろうぐらいに思っていました。

驚きました。
俳優二人の脚本なんですね。
原作本があるというわけでもなく、本当に一から彼らが書いたものなんですね。
何も知らずに見たので、脚本の真実味に驚きました。
”この脚本家は真に人間を深い痛みの部分でわかっている、
教養も半端じゃない、誰が書いたのだろう、すごいな。”と。

"ここまで深く傷ついてしまっていると、そして知的レベルが高ければ高いほど
安易な気休めや、嘘っぽいなぐさめは何の役にも立たない。
誰一人彼の心は救えないのではないのか"とさえ思いました。
そこで二人は出会うのです。
この出会いは奇跡でしょう。
今でもまだ苦しんでいる人たちにとってはこの出会いはある種おとぎばなしなのかもしれない。
でもこういう出会いが全ての人にいつかは訪れると私は信じたい。
少なくともこの映画がそれを信じさせてくれたらいいなと思いました。
このロビンが言った言葉。「I know. わかっている」というウィルに向かって何度も何度も彼に静かにそして強く言い続けた一つの言葉。
同じ痛みを持つ人たちが、ウィルとしてこの言葉を受け止め、心に刻み、
そして呪縛から解き放たれて本来の自分を生きられたらと心から思いました。

スラムで虐待を受け育ちながらも、天才的な数学力を持つ青年ウィルの物語。
こういう話は、映画でしかありえないんだろうけど、引き込まれてしまった。
何より脚本が良いんだろう。地味な作品だが見所は満載でストーリーに無駄がない。
ガス・ヴァン・サント監督作品でも断トツでおすすめ。

僕は天才でも何でもないが、自分の過去と重ねてしまい天才で誰かから引っぱり上げられるウィルの事を羨ましく当初は思った。
でも、人生の中では誰にでも何かしらの形である種の光明が訪れるんだという希望を、都合よく解釈しすぎかもしれないが僕はこの映画からもらった。
天才であるだけじゃ人生は上手くいかない。そうとも思わされた。
それも希望の内の一つである。

私にとってこの作品は今まで見てきた映画の中で一番素晴らしい作品でした。
私はものごとに影響されない人間であり、映画で泣いたことはありません。
この映画でも泣きはしませんでしたが、登場人物たちが発するセリフ一つ一つが重く、そして美しく自分の心まで届きました。
天才を嫌う人はこの映画を好まないかもしれませんが
それでもこの映画から与えられる力には感動すると思います。
また愛するとはどういうことなのか、愛する物の大切さとはどういうものなのかということも学べた気がします。
妻が死に孤独になってしまい後悔はないのか、出会わなかったほうが幸せだったんじゃないだろうか。
その質問に対しての答えがまだ私の頭の中に鮮明に残っています。

第70回アカデミー賞、主題歌賞・音楽賞にノミネートされた映画「グッド・ウィル・ハンティング」のサウンドトラック。
音楽は「シザーハンズ」でも知られるダニーエルフマンが「誘う女」に引き続き担当しています。
メインテーマの他に映画と絶妙なハーモニーを奏でるエリオットスミスの曲がアルバム
「Either/Or」から４曲とエリオットが映画の為に書き下ろした「ミスミザリー」を収録しています。
ウィルとスカイラーが出会うハーバードのバーでなんとなくかかっているのは、
ボーダフォンのCMでボヘミアン・ライク・ユーが話題になったダンディ・ウォーホルズ。
実際には映画の中で使用されていない曲も多くラストのStarland Vocal Band「Afternoon Delight 」が
収録されていないのはちょっと残念。