裏切りの明日―結城昌治コレクション (光文社文庫)
刑事の立場を悪用して悪事に走る刑事の末路を描くサスペンス作品。
本書に多くのページが割かれているのは手形詐欺であり、経済小説としての要素が強く感じる。
しかし、残念なことに手形詐欺についての説明に力を入れすぎて、主人公の刑事がいかに悪の道へと転落していくかの心理描写が物足りなくなってしまった。
それでもラストのどんでん返しに驚愕すること間違いなし。
まさしくタイトルの「裏切りの明日」そのもの。
工藤栄一監督、萩原健一主演でVシネマ化されたが、こちらは原作の持つ経済小説の要素は皆無で、暴力刑事の自滅を中心に描いたバイオレンス作品に仕上がっている。
興味のある方はどうぞ。裏切りの明日 [VHS]
本書に多くのページが割かれているのは手形詐欺であり、経済小説としての要素が強く感じる。
しかし、残念なことに手形詐欺についての説明に力を入れすぎて、主人公の刑事がいかに悪の道へと転落していくかの心理描写が物足りなくなってしまった。
それでもラストのどんでん返しに驚愕すること間違いなし。
まさしくタイトルの「裏切りの明日」そのもの。
工藤栄一監督、萩原健一主演でVシネマ化されたが、こちらは原作の持つ経済小説の要素は皆無で、暴力刑事の自滅を中心に描いたバイオレンス作品に仕上がっている。
興味のある方はどうぞ。裏切りの明日 [VHS]
暗い落日 (中公文庫)
本書で、結城昌治こそ、わが国のハードボイルドの原点であることがわかる。
一人称視点からくる、ストーリーの強引さはやむをえないが、それを補って余りある出来である。
真木は、軽口をたたかない「沢崎」といえば現在のハードボイルド好きにわかってもらいやすいか。
40年前に書かれた作品とのことであるが、
ぜんぜんその古さを感じさせないところはすごい。
感じるとしても、ケータイのない不便さぐらいであり、
それは、ストーリーとは関係のないことである。
お薦めするのは、もちろんハードボイルド好きの方。
たやすく手に入る今が、読み時。
たとえ読まなくても、手に入れておきたい作品である。
一人称視点からくる、ストーリーの強引さはやむをえないが、それを補って余りある出来である。
真木は、軽口をたたかない「沢崎」といえば現在のハードボイルド好きにわかってもらいやすいか。
40年前に書かれた作品とのことであるが、
ぜんぜんその古さを感じさせないところはすごい。
感じるとしても、ケータイのない不便さぐらいであり、
それは、ストーリーとは関係のないことである。
お薦めするのは、もちろんハードボイルド好きの方。
たやすく手に入る今が、読み時。
たとえ読まなくても、手に入れておきたい作品である。
渥美清 DVD-BOX
懐かしくもあり、こわくもある作品が勢揃い。
たとえば、『拝啓天皇陛下様』(1963年制作)。
これほど過激な題をつけた映画初めて。
「私は昭和6年1月10日に、岡山の歩兵第十連隊に入隊しました」がプロローグ。
−−−−
岡山県北・津山出身のヤンチャ坊主山田正助を演じるのは渥美清。岡山弁を話す渥美清。かれにとって軍隊生活は天国だ。2年間飯が食えるのだ。昭和6年から昭和25年にかけて彼の人生をかたり続けるのはインテリ小説家の長門裕之。その妻は左幸子。
なぜ、「拝啓・・」になるのか。山田正助は文盲。中隊長は加藤嘉。識字教育を行うことにした。教えるのは藤村寛美。正助は初めて手紙を書いた。
「拝啓天皇陛下様」。
無茶だと中止させたのが長門裕之。
なつかしい遊郭・中島も出てくる。天皇の赤子として、戦前も戦争中も敗戦後も生き続けた山田正助。中村メイコと所帯をもつだんになり巨大自動車にはねられ死んでしまった。
「拝啓 天皇陛下様/陛下よ/あなたのさいごの赤子のひとりが/この夜/戦死をいたしました」でフィナーレ。
この映画は多くの問題を一杯ほうり込んである。監督、 野村芳太郎はやはり偉大であった。
もちろん、渥美清はいうにおよばず。
たとえば、『拝啓天皇陛下様』(1963年制作)。
これほど過激な題をつけた映画初めて。
「私は昭和6年1月10日に、岡山の歩兵第十連隊に入隊しました」がプロローグ。
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岡山県北・津山出身のヤンチャ坊主山田正助を演じるのは渥美清。岡山弁を話す渥美清。かれにとって軍隊生活は天国だ。2年間飯が食えるのだ。昭和6年から昭和25年にかけて彼の人生をかたり続けるのはインテリ小説家の長門裕之。その妻は左幸子。
なぜ、「拝啓・・」になるのか。山田正助は文盲。中隊長は加藤嘉。識字教育を行うことにした。教えるのは藤村寛美。正助は初めて手紙を書いた。
「拝啓天皇陛下様」。
無茶だと中止させたのが長門裕之。
なつかしい遊郭・中島も出てくる。天皇の赤子として、戦前も戦争中も敗戦後も生き続けた山田正助。中村メイコと所帯をもつだんになり巨大自動車にはねられ死んでしまった。
「拝啓 天皇陛下様/陛下よ/あなたのさいごの赤子のひとりが/この夜/戦死をいたしました」でフィナーレ。
この映画は多くの問題を一杯ほうり込んである。監督、 野村芳太郎はやはり偉大であった。
もちろん、渥美清はいうにおよばず。