アバター [初回生産限定] [DVD]
映画館における「アバター」の大ヒットに多く寄せられた「取るに足らない映画」という批判は、世間で受けている作品を貶めることによって優越感を得ようとする輩がいかに多いかを証明していたと、自分は考える。彼らの多くに欠けているのは、「映画の本質の一つは見世物であり娯楽である」という視点である。映画史に輝く「七人の侍」も「スターウォーズ」も、まさしく見世物であり、娯楽だった。その視点を持たぬ映画批評など的外れではないだろうか?
また、ストーリーやCGにも別段新しいことは何もしていない、との批判もある。それは理解できる。ストーリーやコンセプトや映像に「ダンス・ウィズ・ウルブス」や「マトリックス」や「風の谷のナウシカ」との類似点を見てとることは容易い。だが逆にいえば、「アバター」は、そんな過去の映画作品のエッセンスを詰め込んだ総決算として屹立している作品であると言える。ジェームス・キャメロン監督の、自らの空想を具現化せんとの飽くなき情熱によって。
惑星パンドラの、息をのむほど美しい自然。空に浮かんだ「島」に登るスリル、翼の生えた竜に乗って大空を自在に飛び交う爽快さ…少年の頃に夢見た冒険を疑似体験できる楽しさはどうだろう!その「楽しさ」こそ、私がこの映画を支持する最大の理由である。
さらにもう一つ理由がある。人間が希少資源の獲得のためにパンドラの自然を破壊し「先住民」を駆逐しようするその物語が、アメリカのインディアン侵略の歴史につながっているところ。すなわち、この作品は、アングロサクソンの先住民収奪の歴史に対する、非常に分かりやすい自己批判となっている。加えて、すべての生命が一つという非キリスト教的(あるいは仏教的?)生命観が提示されているところも興味深い。それがアメリカ映画の超大作で描かれているということは、かなり重要なことではないだろうか?
素晴らしい映像とともに放たれる、今の時代に必要なメッセージ。特にティーンエイジャーに見せたい、優秀な娯楽映画だと思う。
My Neighbor Totoro / English Subtitled [VHS] [Import]
日本語のととろを、せりふがソラで言えるほど見ていた我が子。(5歳と2歳の男の子)英語版を流すと、「さつきが英語しゃべってる!」「めいもペラペラ」と、大興奮。特に、歌が英語というのがとても気に入ったようで、「とっとぉろー♪とっとぉろー♪」と、なんとなく英語風の「ととろ」で歌っているのが、微笑ましいです。「まっくろくろすけは、英語で何て言うんやろう?」と、興味津々。「ここは、日本語では○○って言ってるんやで。」と、日本語のセリフも覚えてるので、説明してくれます。息子は、さつきやめいのように、英語を勉強してペラペラになると張り切っています。ただ私は、お父さんの吹き替えが、ダンディすぎる気がして、日本語のお父さんの方が好きです。
ジブリ・ジャズ2
圧巻のアレンジに脱帽!
久石譲のオリジナルの良さは言うまでもないところだが、
その定着してしまっている各曲のイメージをまるで別のオリジナル
のようにした解釈は勇気があって、その上素晴らしい。
特に5.の「めぐる季節」、6.「アシタカっせ記」、7.「愛は花、君はその種子」
はJAZZ テイストに溢れ、小気味良い。
ピアノがツボ押さえたラインを奏でれば、打ち込みというドラムもそれを感じさせ
ない、程よいラフさで、時にtight、looseに上手く表現している。
酷評されているヴォーカルだが、オリジナルが歌モノである以上、インストにすると
間が抜けるおそれがあるので、無いというのはかえって違和感が出てくるとも思える。
ヴォーカリスト自体の評価はどこまでいっても好みになるが、個人的に好きとは言わない
にしても、アレンジと演奏の良さでカバーされていると思う。
視聴できれば、その良さは少しでも感じることができるのだが・・・。
パンダコパンダ〈劇場版〉 [VHS]
このアニメご存知ですか。初期の高畑勲(演出)、宮崎駿(原案・脚本・画面設定・原画)コンビの爆笑の傑作。1972年の作品です。東宝からの配給で、当時は、ゴジラ映画との同時上映でした。
当時の日本は、日中国交回復で、上野動物園にパンダを贈られて、空前のパンダ・ブーム。そのパンダの親子と少女を主人公にした、爆笑のアニメです。しかも、この親パンダの姿を見ると、後の「トトロ」の原形が、ここにあることがわかります。
ぜひ、小さい子供さんといっしょに見てください。
天空の城ラピュタ サウンドトラック 飛行石の謎
宮崎駿監督と久石譲さんがコラボレーションした第二作目です。
久石譲さんによるスタジオジブリ作品のサウンドトラックは、「となりのトトロ」を経た「魔女の宅急便」のころに完成度を見るので、(あくまでも現在の久石譲さんの高いレベルに比較して、なので恐縮ですが)まだまだ粗削りなところがあるものの、雄大でありながら繊細さも兼ね備えたオーケストレーションと、大胆なシンセの使い方は、やはり素晴らしいです。
とにかく、「1. 空から降ってきた少女」で、ブラスから弦までフルにオーケストラを使った雄大なオープニングで一気に聴く者の心を掴んでしまいます。ハープとフルートをメインに弦がバックを飾る「4. ゴンドアの思い出」の後半部分も幻想的ですし、「3. 愉快なケンカ(~追跡)」や「9. タイガーモス号にて」の後半も映画音楽として秀作に当たるものです。一方で、「5. 失意のパズー」や「11. 月光の雲海」のような繊細で優しい音楽もあります。「12. 天空の城ラピュタ」の前半も、このタイトルに相応しい雄大な曲。
「風の谷のナウシカ」でも見せていた、シンセサイザーを大胆に使うところも健在で、特に「6. ロボット兵(復活~救出)」の後半、「救出」の部分は、絵がなくても場面が思い浮かぶほど絶妙な音楽で、いかにもシンセっぽい使い方ながら、このほかにこの場面に相応しい音楽などあるものか、と思わせてしまうほど。
もちろん、杉並児童合唱団を起用した「7. 合唱 君をのせて」や、今でも宮崎駿監督作品を語る上で欠かすことのできない井上杏美さんによる「14. 君をのせて」は、映画本編としても、サウンドトラックとしても、とてもよい選択だったと思います。特に「14. 君をのせて」は、曲につなぐまでの前奏がエンディングとして秀逸。
最初に記したように、(あくまでも現在の久石譲さんの高いレベルに比較して、なので恐縮ですが)まだまだ粗削りなところがあるものの、雄大な名曲の揃った作品に仕上がっています。映画本編に思い入れのある方にとってならなおさらでしょう。