二十面相の娘 8 [DVD]
2クール作品ながら最終回まで一度もトーンダウンせずワクワク感を持続できたのは久方ぶりで、退屈させない構成の巧さが光りました。特に中盤以降、主役は無論、脇役も悪役に至るまで丁寧にキャラを立たせ、個々の背景を想像させる血の通った物語に進化していきました。それは取りも直さず物語の時間を積み重ねることに成功したということです。「罪を憎んで人を憎まない」一貫したスタンスが堅持され、作品と人物への作り手の思い入れが垣間見えるようでした。チコを演じた平野綾にとって美甘千津子(みかもちづこ)役は大きな財産になるでしょう。今や彼女の代表作は「涼宮ハルヒの憂鬱」ではなく「二十面相の娘」である。ワクワクする冒険譚と個々の人生に射す哀しい翳り。青春の切ない情動を隠したジュブナイル。チコにとって運命の人二十面相ですが、彼にとってのチコもまた当初の予感を遥かに凌いでファムファタール(運命の女性)となっていく。千津子に関わる人々は皆多かれ少なかれ、凛とした強さとそこはかとない優しさに心を動かされる。美しく可憐な風貌と明晰な頭脳、強い意志と行動力、抜群の運動神経、奥ゆかしさと慈愛を知る聡明な魂を兼ね備えた美甘千津子はまさに完全無欠のヒロインです。民衆の深層に戦争の爪痕が消え残る昭和の時代設定も少し古風なキャラクターの個性に馴染み、作品を包む清澄な空気感に香る一抹の寂寥が胸に沁みます。運命的でも不確かな絆を揺らがせる流転の波紋がやるせなく、分け合えない孤独をそれぞれに抱えた人たち。安らかな日々への郷愁を置き去りに少女を運び去る波乱の運命のまにまで、凛と前だけを見据える健気さが眩しい。
二十面相の娘 8 (MFコミックス)
前巻で二十面相の遺産に辿り着いたチコ。
二十面相への複雑な想いに囚われ暴走する教授を、チコは止める事が出来るのか!?
最終巻ではありますが、ヒキが気になるラストでした。
所謂「投げっぱなし」ではないのですが、読者に色々と想像(妄想?)させる、続編が読んでみたいと思わせるラストです。
チコとおじさんの物語は異国で新展開しそうだし(ひょっとして
おじさんは、また某有名探偵小説のあのキャラになるの?とか、
でも「もう○○ない」って言ってるし…等々)
ケン兄ちゃんの今後は(個人的に)ものすっごく気になります。
私はこういう終わり方が嫌いではないので、本を閉じた後も余韻を楽しめましたが、
きっちりした結論をお好みの方にはモヤモヤ感が残るかもしれませんね(一応は解決されますが)
星が4つなのは、明智探偵の存在感が薄かったからです。
もう少し活躍させてほしかったなあ…
ま、誰が出てきたってチコの魅力にはかなわないんですけどね♪
TVアニメ「二十面相の娘」オリジナルサウンドトラック
昭和の時代の混迷と雑踏の中の活力。
二十面相の娘という作品の中にある人間の魅力や尊厳、生き方に対しての場面によっての表現が、余すところなくかもし出された音楽CDだと思います。
アニメの動画だけでは表現しきれない音楽による世界観は本当に素晴らしいと思います。
ボーナストラックに収録されたよき正義も何度聞いてもいい歌だと思いました。
アニメの作品のファンであれば、是非聞いていただきたいなと思います。
スピード☆スター(初回限定盤)(DVD付)
今回初めて平野さんのアルバムを買いました。
中にはハルヒや二十面相の娘?などの歌が入っていましたし
まぁ後はアルバム用の歌など
どれを聞いてもよかったけど自分自身はスピードスターやあの花のようにがよかった
皆さんもぜひ買ったり借りたりして聞いてみてください
おすすめです
二十面相の娘 1 (MFコミックス)
「二十面相」の名をタイトルに取り入れているものの、あまりにも有名な原典への回帰とかオマージュという要素はさほど感じられない。「怪盗」という存在が許される、ちょっとレトロな世界観を決定づけるためにちょっと名前を拝借した、というところか。
この1巻では、連載が始まる前に読み切りで掲載されたプロトタイプ的な短編と、長編の冒頭部分が収録されている。どちらも、細部に異同はあるものの、「薄幸の少女が、悪辣な養家から逃げだして怪盗団の一味に加わる。しかし、その後」という粗筋は共通している。
基本的に、こういう世界観は好きなほうだ。でも、それままの展開では、割とヒロインの境遇というのは外部的な要因に規定されているところがあって、二十面相の仲間になったのも、本人の意志というのもあることはあるけど、実はそれ以外の選択枝がなかった、という側面がある。(短編版ではホームレス、連載版では遺産目当ての義父母に毒殺されかかっている)
しかし、一巻の巻末にいたって、せっかく仲間になった怪盗団の仲間は別の盗賊団との抗争でほとんど討ち死に、庇護者であった二十面相は生死不明。後ろ盾を失った、孤立無援の状態で、少女は、あえて汚名を着ることを、「二十面相の娘」であることを選択するのか? まあ、タイトルから推察するに、たぶん、そういう方向に進むんだろけど、「自分以外はすべて敵」という状態で、なおかつ毅然として自分自身の進むべき道を毅然として選択する姿というのは、ある種のステレオタイプであることは否定できないにしても、「少年」とか「少女」を主人公にした物語のあるべき姿なのではないか、とも思う。