エリン・ブロコビッチ
『アメリカン・ビューティ』でいきなり、大人気コンポーザーとして注目された、個性派トーマス・ニューマン。かの傑作の次に担当したのが、このソダーバーグ監督の問題作。ここでは、なんとおなじみのトーマス・ニューマン的雰囲気サウンド(メロディがある感じではないのに、一気に覚えられる、あの不思議なリズミカルなサウンド)でブルースをやろうとしているのである!! こまで、自分の世界の中で何ができるかをハメ外してやっているのは、この作品しか知りませんが、天才ならではの余裕出まくりの問題作。
エリン・ブロコビッチ コレクターズ・エディション [DVD]
DVDのキャッチコピーに 「OK、巨乳で勝負するわ」 と大きな文字であります。肝心な中身の紹介はごく小さい活字なのに。ジュリア・ロバーツの容姿の美しさのためか、随分軽薄な売り方をしてしまったようです。
この映画は彼女の外見的美しさを見せる映画ではなく内面の躍動感を売る映画です。もっとずっと中身の濃い映画なのです。もっとも、社会派を前面に出すような、涙を誘う深刻な映画でないことも確かです。重いテーマを軽快なサクセスストーリーにして描いた所に、大ヒットの要素があったとも言えます。
そのことは特典映像の未公開映像の解説を見るとよく分かります。なぜそのシーンをカットしてしまったか?テンポが遅く重くなりそうな場面を全てカットしていると監督自ら説明しています。このあたりに監督のテーマに対する拘りとそれを実現する手腕が見て取れます。
ジュリア・ロバーツもおそらく同じ思いであったのかと想像します。外見の勝負ではなく内面の勝負、かといって重々しくなく。アカデミー賞受賞の時は、この映画で受賞することの嬉しさが心から表れているような笑顔であったことを思い出します。
エリン・ブロコビッチ コレクターズ・エディション [DVD]
某企業のフェロシルト問題が毎日新聞をにぎわせているが、本作品でもまさに同じ「六価クロム」の垂れ流しが問題となっている。多くの住民が白血病や癌で亡くなっていく中、破天荒だが、むしろ庶民派の主人公が、徐々に住民達の信頼を勝ち取り、頭の固い法律家たちも徐々に彼女に引かれて、突き動かされていく。日本のフェロシルト問題でも、日本版ブロンコビッチが活躍しているようなので、応援したい。
エリン・ブロコビッチ [Blu-ray]
映画は2000年3月17日リリース。1999年のヒュー・グラントとのラヴ・ストーリー、『ノッティングヒルの恋人』を観た後でこの作品を観るとジュリア・ロバーツってほんとはこのくらいパワフルなんだなぁ、と感心する。女性の二面性を見る思いがする。素晴らしい好演で彼女は本作でアカデミー主演女優賞とゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞した。
私生活では1991年キーファー・サザーランドと挙式予定三日前に婚約破棄し1993年、歌手のライル・ロベットと結婚するが、1995年離婚。ベンジャミン・ブラットと破局後2002年7月、カメラマンのダニエル・モダーと再婚、双子の男女を2004年11月出産という忙しさ。そういう中で『ノッティングヒルの恋人』の中のアナ・スコットの一言一言はジュリア・ロバーツ自身と被るように最初から脚色されていてなかなか興味深いセリフが多い(こことここを痛い思いをして整形したのよ、とか、お尻だけの差し替えの話とか・・・・これは『ブリティ・ウーマン』での自分のことだな)だったけど、そういう女優然としたことを全部捨て去ってまさに演技力で勝負した彼女はやっぱり私生活同様強い女だなぁ、と思った。
強い意志を持って自らの持つ全ての力で人生を切り開く『エリン・ブロコピッチ』。ジュリア・ロバーツがその演技力で『ブリティ・ウーマン』を抜け出した記念すべき作品と言えるだろう。
ムービー・ヒッツ(2)
前回のヒットに続いて編集された第2弾。
大体このようなオムニバス集は、悲しいかな、シリーズ化されるにつれて段々とクオリティが下がっていくものだが、今回はまだ前作のクオリティを保っているといえよう。
サバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」や、ファイヤーインクの「今夜は青春」、そしてヴァンゲリスの「炎のランナー」と言ったところが、個人的にはお薦め(何だか年齢がばれそうなお薦めだが…)。