西巷説百物語 (怪BOOKS)
巷説百物語
続巷説百物語
後巷説百物語
前巷説百物語
前後しながらも時間軸で記述されていた御行の又市の物語は、前作まで。
京極先生得意のスターシステムを駆使して、先行作に関係を持たせながらも今回は「西」。
そう来たか。時間軸でなく、「場」を変えてきたのか。
これまで地方の舞台は多いものの、あくまで又市の本拠地は江戸であったが、今回の物語の舞台は大坂。
主役は林蔵。
トーンが違う。
又市の「豪腕」ぶりと比べると林蔵はスマートだ。
しかしその分プロットが強引では?
全体としては、「金」「男」「女」「芸」「名誉」といったものへの「常ならぬ執着」や「物狂い」が背景となっているのだと思うが、いくら「狂って」いるにしても、それはないやろ、と言う読後感が強い。
もちろん狂っているから常軌を逸するのであろうが、常人から推測できるぎりぎりの範囲で収めるのが作家の力であるという気がする。
そこから考えると、「桂男」、「鍛冶が嬶」など、いくらなんでも、という印象を受ける。
巷説百物語 4 (SPコミックス)
この作品は『巷説百物語』『続巷説百物』がベースになっています。このシリーズはこれで完結だそうなので残念。
しかし、あとがきで「京極先生の許可を受けた新シリーズの開始」を示唆する文章があったのでまだ続くのでしょう。
個人的にはやはり続編の『後巷説百物語』をやってほしいのですが、この作品の掲載紙が『乱』であるという性質上、明治時代を舞台にした『後巷説百物語』は出来ないかも・・・。
京極夏彦 怪 赤面ゑびす [DVD]
2001年8月リリース。京極夏彦原作・企画・脚本による、時代劇ミステリー第3弾。原作は『後巷説百物語』の『赤えいの魚』だ。『後巷説百物語』の中でも一番好きな作品で期待して観てしまった。で、なかなか良くできていて(仲良しの大沢在昌が出ていて嗤った)、笑った。ただしやっぱり「必殺」シリーズぽい。「必殺」シリーズを担当した松竹京都映画が制作していて、仕上がりがそっくりだ。つまり全部が作者京極夏彦の『好み』で作られているのだな。
あんまり「必殺」シリーズに似すぎだと、閉口する・・・・まあやはり面白いので許すが、ただ原作が余りに素晴らしいので、全く別の映像化能力に長けた榎木津(!!)氏のような人に再度挑戦して欲しい気がもの凄くする。
ストーリーは凄く良くできている。いかにも『百物語』に在りそうな話だ。世継ぎ世継ぎと急かされるのも何処かの国と一緒な気もしたな。
続巷説百物語 (角川文庫)
表立っては解決できない闇に紛れた事件を、あたかも妖怪の仕業のように見せかけて解決する小悪党又市一味の活躍を描いた第2作目です。彼らの入念で奇抜な仕掛けに毎話ワクワクしながらあっという間に読むことが出来ました。
決して正義の味方を気取るわけでもなく悪と戦う彼らの姿が最高にカッコいいです。
登場人物たちの性格をよく反映した話し口調がとても読みやすく、この物語全般に漂う独特な雰囲気にすっかりハマってしまいました。続編の後巷説百物語もおすすめです。
京極夏彦 怪 DVD-BOX
とにかくキャスティングが良いんです。皆さんハマリすぎです。
中でも田辺誠一演ずる又市、遠山景織子演ずるおぎんは不気味なぐらいぴったりです。
見た後に原作を読み直すと、役者さんの顔も声も綺麗に浮かんできます。
必殺シリーズっぽいのは御愛敬。
ファンなら見ておいて損はありません。むしろ見るべきです。