パパ・ヘミングウェイ(紙ジャケット仕様)
その昔、レイドバックミュ-ジックなるものが流行ったが、それを今、癒し系音楽と翻訳すれば、このアルバムはその代表作と言える。
ワールドミュージックをオブラートに品良く包み、当時も今も最高のミュージシャン達をバックに歌う加藤和彦のボーカルは、我々に至福の時を与えてくれるだろう。
ジャケットもシンプルながら、アルバムの薫りを伝えてくれる優れもの。今回の紙ジャケでのリリースはLPの雰囲気を出してくれそうで、ぜひジャケットを飾り、それを眺めながら聴かれることをお勧めしたい。
新キッズ・ウォー2 DVD-BOX
子供達が活躍。大河内奈々子さんは前回より一歩引いた感じで、花に任せている感じがします。いわゆるドラマ、『HOTEL』でいえば、ミスはしまくるが涙がでる程情熱的なベルボーイ赤川一平が、回を重ねる毎に成長し(役職も)、今度は、ミスをする新人や若手(昔の自分のように)のサポートに回るといったような。大河内奈々子さんの大ファンの私にとっては、大月(河合)先生の、「ざけんじゃねぇ!」が見たいので、私は素直に前回のほうが好きですが(髪型も)、今回も人の心を大切にしたいと思わせる、テンポ、ユーモア、ドラマっぽい感じ、可愛らしいキャスト、次も見たいと思わせる終わり方、良い意味での気軽感と、星にしたらやはり5つです。「ざけんじゃねぇ!」のセリフは、正確に数えたわけではありませんが私の印象としては減っているように思えますが(色々問題もあるのでしょう。)、花の心奮い立つ言動のファンの方は前回以上の期待をしても良いのではと私は思います。
ファニー・ウォーキン(紙ジャケット仕様)
70年代後半の作品、彼女のファーストアルバムが紙ジャケで登場です。(93年に1500円のシリーズで一度CD化されています)
この作品に続き、3枚くらいアルバム出して、その後九十年代半ばにもオリジナルアルバムがあります。が、このファーストが一番よい。最もポップでキャッチー。
特筆すべきは佐野元春より、全曲アレンジを担当している大野雄二の存在です(もっとも佐野元春の公私にわたる存在も重要だったかもしれませんが)。大野編曲はこのファーストのみです。
彼女のウィスパリング・ヴォイスもまったく古さを感じさずオシャレです。もっと再評価されるべき女性アーティストだと思います。
MANIA MANIERA
ご存じ82年作ムーンラーダーズの傑作アルバムのリマスタリング仕様のCD。
ライダーズ黄金の80年代の当初を飾る、どこにもない、誰にもまねのできないバンド、音楽が誕生した瞬間の記録です。
私が初めてライダーズを知ったのは85年で、当時は、噂には聞くものの、手に入らない幻のアルバムでした。
86年にライダーズの結成10周年を記念して初めてLPレコード化され、やっと手にすることができました。
技術的にも手法的にも斬新な手法が満載というところが評価されていますが、私にとっては、情熱的で、鮮烈な歌詞に心を打たれました。初めて聞いたその時から、「薔薇がなくちゃ生きていけない・・・」とつぶやく日が始まったのでした。
確かに、テクノロジーや手法的には斬新な取り組みがいっぱいですが、何よりも、それが音楽として成功していることが特筆されます。同じ年に制作されたYMOのテクノデリックが、実験に終わり、つまらなかったのとは対照的です。
音質的にも、リマスタリングしただけあってすばらしいの一言です。
真にユニークな音楽がここにあります。
是非、一家に一枚どうぞ。
女性上位時代
ピチカート・ファイブとの出会いは強烈だった。
日付も覚えている。平成3年9月1日レコード店で何気なく試聴した。聞いたことがないバンドだ。
インタビュー音源(なんでこんなの入ってるんだ?)が終わると突然、アンニュイな女性ボーカルが始まる。
無伴奏からジャズともシャンソンとも言えるバックへ。
「そ・れ・は、私がかわいいから」この傲慢さ、気に入った。
「おはよう」なんだ、この曲調と歌詞のミスマッチ感。後半は狂気だな、こりゃ。
即購入して聞いた。不思議な雰囲気が全編に貫かれていた。
後に、ソニー時代も含め全アルバムを聞いた。
が、このアルバムに漂うサウダージは別格だ。次作「スイート・ピチカート・ファイブ」だけが、辛うじてそれを継承している。
当時、世間的にはまだ無名だったピチカート。アンダーグラウンドな自分だけのお気に入りバンドでいて欲しいと願った。
「スイートソウル・レビュー」で全国的に有名になってしまうのは、その2年後だ。自分には、もはや別のバンドに思えた。