Mishima: A Biography
三島由紀夫の本をさほど読んだ事がなくても、三島由紀夫という人物に興味があれば充分に楽しめる一冊。本書は三島由紀夫の心境の変化に伴いその背景を述べた上でその頃に執筆された文章を紹介し、三島由紀夫の人物像と作品に迫る。本書を読んでから三島由紀夫の著作物を読めば一つ一つの作品の持つ空間は大きく広がり、その特異な人物像をより深く知りたくなるのでは。三島由紀夫の晩年を分析した後半部分は必読である。文人としての三島と武人としての三島を上手くまとめている。
音楽 [DVD]
30年くらい前だったか、深夜にテレビ放映があったので興味本位で視たが、形容しがたい雰囲気の作品で強く印象に残った。その後眼にする事はできず、最近まで記憶から遠ざかっていたが、この度偶々DVD発売を知り早速に購入した。細川のややデフォルメした口調は特徴的ながら違和感は覚えず、黒沢の演技も新鮮で妖艶だけで終わっていない。作り話と言ってしまえばそれまでだが、まじめな気持ちで三島文学として視たい作品のひとつだ。
眠れる美女 (新潮文庫)
当時『眠れる美女』の発表を、日本はよく赦してくれたものです。
そして、未だに18禁書物にも指定されていません。
世界に誇るノーベル文学賞作家は、世界に誇りうる変態作品を残してしまいました。
今のポルノ中毒の若者達。
川端康成が生きていたら、彼は、彼らを鼻で笑うでしょう。
『眠れる美女』。
それは、「日本の性への寛大さ」と、「とんでもない天才を生んでしまう国」だということを、世界に思い至らせることができる遺産です。
ノーベル賞受賞作家の、世界に類をみない変態エロ小説。
世界がわからなくなったら、一読し、日本人としての誇りを取り戻しましょう。
複雑な彼 [DVD]
三島由紀夫といえば『金閣寺』『仮面の告白』などの代表作があり、ノーベル文学賞の候補にも挙げられ、あのような最期を遂げることもなければ受賞も確実視されていた大文豪です。その彼が私設軍隊?である『盾の会』の運営費を捻出するためにある女性週刊誌に連載した同名小説を原作としています。その主人公の『井戸掘り君』のモデルは後の「塀の中の懲りない面々」などの作品で知られる安部譲二さんがモデルになっているのですが、何でこんな無頼な経歴のある人が日航の客室乗務員になることができたのか?現在のように社会システムが完成されてしまった時代に生きていると理解できない現象です。映画はその原作をそつなくまとめています。ラストシーンで『井戸掘り君』をある任務に導くためにやってくる人物は渋い声でおなじみの若山源三さんなんですが声のイメージと顔のイメージのギャップが激しくてちょっとびっくりです。昔の声優さんにはこういうギャップの激しい人が多かったです。なんでもないプログラムピクチャーの1つですが原作者と主人公のモデルが後に有名人となったことからDVD化もされたということでしょうか。でもそれが却って貴重なことだと思います。