ロード・トゥ・メンフィス [DVD]
メンフィスはビールストリートでかつてメンフィスで活躍したブルースマン達が再び一堂に会してライブを行う様と平行して光がなかなか当たらないローカルブルースマンのドキュメンタリー。
B.B.キング ロスコー・ゴードン リトリ・ミルトン アイク・ターナーがかつてのメンフィスの様子を語りながら、新旧の演奏シーンを絡めて紹介していく。
ラジオでフューチャーされたブルースマンがチトリン・サーキットを回ってライブを行う様を回想しているが、とても興味深いエピソードをルーファス・トーマス カルヴィン・ニューボーン ハウリン・ウルフ ファッツ・ドミノ リトル・リチャード ナット・D・ウィリアムス等が語っていく。
貴重な演奏シーンもあり観るものを飽きさせない。
(ルーファス・トーマスなんてたいして面白いこと言ってないのにその表情と口調だけで意味なく爆笑してしまった。)
また、それと平行してローカルブルースマンのボビーラッシュの活動の様子を描いているが、これがめちゃくちゃハードで精力的に活動している。
かなり下品な下ネタを絡めた派手なステージは、ドサ周りという言葉がしっくりくるような感じでオッサンやオバハンがキャーキャー喜んでる様はこちらにも多幸感が移ってきてほのぼのさせるが、やってる本人はかなりキツそうだ。
一方かつては人気を博したロスコー・ゴードンも廃業状態でクリーニング屋をやってたらしくいまや誰も知らない存在に成り果てているが、久しぶりのステージに喜びを隠せない様子が観るものの心を打つ。
BBキングはさすがにVIP扱いで貫禄たっぷりだ。
演奏も歌も相当枯れてきてはいるがやはりまだ色気もあるし何よりステージでの所作が魅力的だ。(なんとなく観て得した感を与えるところがスターなんだと思う。)
演奏シーンの臨場感がいやおうなく観ているものを煽ってくれるので、最後はやはり感動的でした。
音楽のドキュメンタリーはやはり演奏シーンが良く撮れていてナンボのものですね。
サブカル連中やプロレス者の合言葉「・・・でもやるんだよ」っていうのがブルースにも当てはまるんだと妙に納得してしまいました。
レコード・コレクターズ増刊 ソウル&ファンク
全478ページ。紹介アーチスト&レーベル等は
サム・クック 85年12月号 (p.31〜)
スタックス/ヴォルト 87年4月号 (p.55〜)
ハイサウンド 89年4月号 (p.103〜)
ジェームス・ブラウン 88年12月号 (p.165〜)
スライ・ストーン 87年11月号 (p.225〜)
Pファンク 89年8月号 (p.253〜)
アイク&ティナターナー 90年2月号 (p.329〜)
マービン・ゲイ 90年5月号 (p.359〜)
カーティス・メイフィールド 91年4月号 (p.395〜)
p.478の後記に、月刊「レコードコレクターズ」誌創刊10周年記念の増刊シリーズもこの「ソウル&ファンク」で3冊め。今回も「レコードコレクターズ」の過去の特集記事を中心とした作りだが・・・・・・・・・、と書かれており、月刊「レコードコレクターズ」の過去の記事を集めたものだ。
やはりHIPHOPのNEW SCHOOL以降のサンプリング文化やRARE GROOVE や ACID JAZZを通過した世代の人から見ると、全般的に古いコンテキスト(ソウル好きのおじさんとか)で書かれた本で、この本の通りにCDなどの音楽コンテンツを買ってもあまり楽しくないと思います。このジャンルにおけるコンテキストが変わったのが大体80年代後半〜90年代前半の RARE GROOVE や ACID JAZZのブーム辺りだと思うが、逆にそれ以前の昔の「ソウルおじさん」的コンテキストに浸ってみたい方にとってはお勧めかもしれません。
エド・サリヴァン presents “ルーツ・オブ・ロック=R&B3” ~モータウン・サウンドとR&Bの時代 [DVD]
とにかく、スティーヴィー。17歳だよ、スティーヴィー。
ナニコレ、まじ?
人間は平等なはずなのに、別格がいるのです。まさに神の
使徒。ありがたいことに、スティーヴィーはまだ生きている。
マイクスタンドを持って飛び跳ねるスティーヴィーと同時
に、このバックで流れる驚異的なグルーヴ!これまさしく、
ファンク・ブラザース!NHKで放映時にはテープかなんか
だと思っていたが、後年『For once in my life』を入手し
て初めて分かった。ナマだよこれ!ぎゃ〜!!!ジェームス・
ジェマーソンのベース!!
これ1曲のためだけに買う価値あり。余りにも夢が溢れる、
素晴らしい名演。
ライヴ1967(紙ジャケット仕様)
Ike & Tinaのライブ盤は海賊盤も含めれば数え切れないほどあると思うが,一口にライブ盤といっても,Soul Revue Showをぶったぎって切り貼りしたものが多く,1枚聴き通すには何となく違和感を感じるものが多い。正式発売されているもののなかでは,この1967年のものが最もまとまっているように思う。Tinaの歌とMCはほとんどゴスペルで(内容は男女の話ですが),観衆の反応が強烈で,本場のコール&レスポンスが味わえる。2か所の会場の録音を組み合わせている(らしい)が,どちらかの会場ではTinaに対する女性ファンの声援が特に大きく,当時の人気の高さがうかがえる。Ikeのギター,Ikettesのコーラス,演奏もすばらしく,R&Bファンならずとも聞き逃すわけにはいかない1枚。元気がないときの滋養強壮剤としてどうぞ。
River Deep Mountain High
一連の60年代初期のフィレス時代のフィル・スペクターの曲がリマスターで出て、このアイク&ティナ・ターナーのアルバムもようやくリマスターで出ました。1987年の西ドイツ(!)CD盤と比較しても音の分離と明瞭度がしっかりしていてリマスターの効果が出ています。デジパックもので西ドイツ盤と同じ内容のライナーノーツが載っています。(このレビューは2011年発売のHip-O Select盤のものです。)
プロデューサーの名義は「フィル・スペクター」になっているアルバムですが、ウォール・オブ・サウンドらしい曲はトラック1、3、6、7、8、10で、他は音は厚めでもR&B・ソウル色が強い曲です。アイク・ターナーの気配を全く感じないものと、昔のスー時代のヒット曲の再演でアイクが明らかにからんでいるのとが同居しているので、フィルとアイクとの妥協の産物と言ってよいような、全体的にはまとまってなくて妙な感じです。それでもティナの全身全霊の歌声にこたえるかのようにフィル・スペクターの音作りもこれまでの集大成を出し切るような精魂が込められたこのタイトル曲は、それだけでも聞く価値があるものです。オーケストラを使った短い曲でこの上なく刺激的に仕上がった、まばゆい輝きそのものです。他の曲ではやはりウォール・オブ・サウンドらしい曲がより興味を惹きます。