筒井漫画涜本ふたたび
氏のちょっとしたファンで短編集もいくらかもってるが、もうちょっと漫画映えする作品あると思うけどなあ?熊の木本線、北極王などは結構良かったですが。まぁ、でも読む価値はあるとは思います。
ウロボロスの偽書 上 講談社文庫 た 27-2
作品に対して作者の立場が確定していたのは昔の話。今私が読んでいるこの文章を書いたのは誰?と思わせる文学的な実験が盛り沢山の意欲作。残念なのは実験が優れているのに話自体が優れていないこと。ただ、その実験を読むだけでも価値はある。
NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
シリーズ4冊目
九篇の書き下ろし短編を収録
「最后の祖父」京極夏彦著
解説によれは、デビュー前に構想を練っていた幻のデビュー作!?とのこと
終末SF???と思っていたら・・・
スケールが大きいのか?小さいのか?
「社員食堂の恐怖」北野勇作著
パニックSF
北野版「注文の多い料理店」!?
北野氏独特のペーソスがあまり感じられず、むしろブラックな感じだった
「ドリフター」斉藤直子著
解説によれば、落語の有名なネタが下敷きになっているとのこと
落語には詳しくないので詳細はわかりませんでしたが、
いかにも落語にありそうなシチュエーションでした
もちろんこのシチュエーションもおもしろかったですが、
ジェネレーションギャップによる溝が更によかったです
「赤い森」森田季節著
奈良の山奥で見つかった古墳(らしきもの)
果たして調査結果は・・・
考古学上の新発見か?それともトンデモか?
語り口が軽妙だった
「マッドサイエンティストへの手紙」森深紅著
SF(本格)ミステリ
防衛省とも取引がある為、セキュリティーが厳重な重工業メーカーで起きた人間消失事件
風変わりな性格の天才科学者が探偵役を務めるといった、ある種のパターンが踏襲あれている
しかし、ワトソン役の女性キャラも少し変り者だった
SFと(本格)ミステリの両方をハイレベルで維持することは難しいと思いますが
是非ともシリーズ化して欲しい
「警視庁吸血犯罪捜査班」林譲治著
吸血鬼の存在が明らかになった近未来が舞台
本作もミステリだった
森深紅氏の作品は語り口が軽妙だったが
本作品はいかにも男性作家が書いた警察小説といった感じだった
アンソロジーって色々な作風が楽しめていいよなーと思わせる絶妙な配置構成だ
「瑠璃と紅玉の女王」竹本健治著
寓話的な作品だった
つまらない訳では無いのだが、
これをどう楽しんだらよいのか、チョッと困ってしまう
「宇宙以前」最果タヒ著
冒頭は物凄く面白かった
しかし、どうも文体になじめず・・・
「バットランド」山田正紀著
本著のなかで一番SF濃度が濃かった
特殊な天文現象と独自の進化をしたコウモリの群
これらの出来事がどのように繋がるのか
「NOVA」史上最大のヴォリュームの作品だが、
ぐいぐい読めた
キララ、探偵す。 (文春文庫)
……竹本健治も、もう五十歳を越えたんだよなあ。かつて早熟の天才として名を馳せた作者だが、年々その作品のレベルが落ちているのは、もう歳だからか。そんなことを思いつつ、一読。
……違う方向にぶっとんじゃいました。これってエロ小説ですか? いや確かに俺は「ウロボロスの偽書」のエロシ−ンをオカズにしたことがありますよ。けど先生、公衆の面前でアナル責めですかー!?
2ちゃんでは、「出来損ないのライトノベルのよう」と酷評されているが、ミステリとしての謎解きはそんなに悪くはない。ただ、人物描写がなあー。死語ばっかだし。メイドが探偵?と思って何の予備知識も無く本書を手に取った読者(普段多くのラノベを読んでいる人)は不満だらけだろうなーと思う。
竹本ファン以外が読んで素直に楽しめるかは疑問。
モノノ怪 四之巻 「鵺」 [DVD]
小中さんの脚本、再び(笑)。
「海坊主」の豪華絢爛(?)カラフル画面とは対照的に、「鵺」は薄墨を垂らしたような、静かで物悲しい色合いの画面です。
そして始まる、何やら雅な(笑)お香の話。(香りの演出、好きでした)
普段、あまり馴染みのないお香の話を分かりやすく、その世界の雰囲気をうまく醸しながら、説明しつつも、事件(?)は起き、謎は深まります。
…一体、この「香」と「鵺」をどう絡ませるのか?不思議に思いながら観ていたのですが、最後で、
やられた!!と思いました。騙された。いっそ、清々しいくらい騙された…。
何と言うか、比喩表現のオンパレード。言葉選びにも、画面演出にも、無駄がない。お見事。文句なしに面白かったです。
そして、大筋の謎が解けるにしたがって、訪れる小さな疑問も、いくつかの言葉を拾って、丁寧に吟味してみると、納得の行く「仮説」が立つようになっているのも良かったです。(後編EDの最後のキャスト名を、もっと明確に書いてくれれば、確信が持てたんですが)
と、同時に、分かるように示しながらも、大筋の謎以外は敢えて明言せず、観る人によって、どう取っても良い、と云うような、含みを残して終わるやり方も、モノノ怪らしいというか…、良かったです。
とても、見応えある物語でした。
…あと、竹本さん(退魔の剣役 笑)、今回、別役のメインで出てましたが、芸達者な人だな、と思いました。他の回にもあちこち、ほとんど出演していて、それが全部、違う人物の声にちゃんと聞こえる…。すごい。
どこで出ているか探して、聞き比べてみるのも、楽しいかもしれないです。(笑)
…とにかく、おススメの一作です!