BEST of ANIMAGE
このCDは、「オーガス」「サザンクロス」「炎のアルペンローゼ」の
OP・EDが入っており、これらの曲がこの1枚のアルバムに
揃っていること自体、奇跡に近いです。
ちょうどこの3タイトルのアニメの主題歌曲を探していた私には
本当にラッキーな出会いでした。
※他のアルバムでは、これらは分かれて選曲されているので
揃えるのに数枚アルバム購入が必要になります。
他にキャッツアイのOP「デリンジャー」も選曲されていて、
これらでも充分満足のいくベストアルバムの仕上がりになっていると
思いますのでオススメです。
プラネット・サファリ 百獣王の双子 (f-Clan文庫)
ストレートなヴァイオレンス・アクションです。まったくストレスなく一気に読みぬける、そして肉弾戦がどこか精神性を帯びているところも、この著者らしい作品です。
ガラリウムという大気中の毒素のせいで、普通の人間は生きられない惑星サファリ。そのため獣と人間の遺伝子をかけあわせ、獣の種類だけのさまざまな獣人を誕生させたところで、母星はこの惑星を見捨ててしまい、サファリには草食街ができ、そこを荒らす肉食の〈群れ〉(暴走族のような感じです)によって、捕食関係が生じつつも、生態系としてはひとまず安定しています。捕食というのは、直接、肉を食うというのではなく、相手の体内にとりこまれて変化したガラリウムを吸い取るエネルギー吸血のような感じですが、やられた側は消耗で死にいたることもあります。
母星ではやったウィルスの特効薬を求め、サファリの街ネオ・マンハッタンを訪れた35歳の動物学者オルト・コバヤシ。ウィルスの秘密を知るため白山羊獣人ゴードンを探すうち、その養い子である猫獣人の青年19歳のブルーに出会います。青い髪、右腕の先が白い毛皮におおわれ、強い爪と圧倒的な戦闘能力を持つ彼の力を借りて、謎を知るマダム・ゼブラをたずねあて、救い出し・・・背後にいる百獣王の懐にもぐりこむために、ブルーは獣人のバトルリーグに出場します。
このバトルリーグ、ヒグマ獣人、アリゲーター獣人、虎獣人などありとあらゆる獣人が登場し、ブルーは圧倒的な強さを発揮し、彼らをリングに沈めてゆきます。
(本当に小気味よいアクション描写で、『シュバルツヘルツ』の番外編の超騎士勝ち抜き戦のようです)
そして決勝で出会ったレオンは、白山羊獣人ゴードンを暗殺した男。ほんとうは獅子獣人であるブルーは、同族の彼と対戦し、相手のなつかしい匂いに過去の記憶をゆすぶられます・・・思い出せないけれど、以前に彼とはいったい何があったのか。
この著者の特徴である複数のストーリーラインの絶妙な絡ませかたは、この巻では見られず、驚くほどストレートに物語が進んでゆきます。
そして次巻に続く、というところで、大きな謎のひとつがやっと提示され、これはどうしても次を読まなくては。レオンとブルー、ふたりの運命は?
ライトノベルなので、リラックスした著者の持ち味がよく出ている作品です。セクシュアルなニュアンスは(まだ)あまりありませんが、ブルーが好物のイムラ屋のカリカリ(スナックのような乾燥食品)につられて、オルトの誘いにのり、バトルに出るところとか、ブルーを好きなウサギ獣人のタマコとか、キャラクターがみな、動物らしく素直だったり、人間のような腹黒さがなかったり(敵を倒すとあっさり去ってゆく)、という造形も魅力。この性格づけに関しては今後さらに深まってゆくと思われます。
何よりもバトルシーンには、作者の面目躍如の痛快さがみなぎっています。残酷なようでありながら、本能の真摯さが前面に押し出されていて、戦いを求める肉体の衝動に自分でとまどうブルーふくめて、突きつめた純粋さが感じられます。このあたり、桑原さんだなあ・・と。
三笠書房からのこの新しい文庫シリーズ。ひとつ不思議なのは、作者紹介(これまでの作品など)がどこにもなく、誕生日と星座しか書かれていないことです。まっさらな新しい読者に読んでもらいたいという意図なのかもしれませんし、そうだとしたら、これまでとは全く違う新機軸の物語を見せてゆこうという決意の表明でしょうか。
野生の風が吹く2巻が待ち遠しいです。