「みんなの意見」は案外正しい
日本語タイトルから受ける内容の印象と違って、
本書は、優れて社会経済、哲学的な論考のエッセイで、
知的好奇心を相当満足させてくれます。
いわゆる「烏合の衆」が各人が個別勝手に判断している
ような状況は、経済、社会、生活の中に相当多く見られる、よく
ある場面ですが、そのさまざまな場面について、社会学、心理学、
経済学、政治学、行動力学、交通社会学、生物学、その他
博識を駆使して、しかも、平易な文章で、読者をぐいぐい引っ張ります。
果ては、インターネット、グーグル、リナックスなどの話題も
入れながら、「烏合の衆」の知恵について、ここまで高邁な考察と
深い示唆に富んだ分野に仕立て上げた著者の力量に脱帽です。
ただし、著者は、「烏合の衆」の判断が常に正しいと主張している
わけではなく、結果としてそうなる場合に対する摂理への驚異と
科学的分析と畏怖の念を丁寧に考察している、という本です。
さらに、日本語訳もかなりこなれていて、大変読みやすいです。
「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
会社のプロジェクトチームに入っていると、そこで話されている「常識」と、チームの外で聞く話とが大きくずれていて「あれ?」と思うことがあります。本書はそんな心理状態を見事に解説してくれる、とてもありがたい本です。重要なのは、「集団が賢い判断をするためには、個々人ができるだけ独自に考えて、行動すること」が不可欠なんですね。われわれ日本人が弱いところなのでは?テレビのニュース番組の解説に「そうよねぇ」とうなずいてしまう人こそ読むべき本です。
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
ジャーナリストの著者が、さまざまな研究事例や調査事例、インタビュー
から、ある物事が急速に拡大する現象の仕組みについて論じている。扱わ
れている事例も、靴や病原菌、テレビ番組、ハイテク企業、噂話、ポール・
リビアの騎行、喫煙、犯罪、自殺など多岐にわたっており、非常に面白い。
本書では、まず急速に拡大する様子を「感染」という言葉で表現している。
そこには、受け手の主体性から流行というものが広がるのではなく、一定
の条件下・構造下において爆発的に広がるのだという著者の客観主義的な
立場が象徴されているように思う。
そして、感染の拡大の要因を「少数者の法則」「粘りの要因」「背景の力」
にわけて分析をしている。対応としては、「少数者の法則」はネットワーク
論におけるスケールフリーの議論と、「粘りの法則」は認知心理学と、また
「背景の力」は社会学や心理学における環境主義あるいは状況依存性の議論
と深く関わっている。
物を売るにしろ、あるいは犯罪を減らすにしろ、多くの人を方向付けるため
にはどうすることが効果的なのかということが問題になる。そして、その効
果的な方法を考えるためには仕組みの理解が欠かせない。本書では、爆発的
感染の事例から、その普遍的なメカニズムの把握を志向している。350ページ
にわたる内容ながらも、平易な文章と豊富な事例の紹介によって読みやすく、
また飽きのこないものとなっている。
回帰線
何といっても尾崎の代表曲中の代表曲、シェリーと卒業が収録されているアルバムだ。特にシェリーは尾崎の人生そのものを凝縮して表現されていると評される、知らない人にはぜひ聴いてほしい曲だ。
“あの頃は夢だった/夢の為に生きてきた俺だけど//お前の言うとおり/金か夢か解らない暮らしさ”“転がり続ける俺の生き様を/時には不様な格好で支えてる”“何時になれば俺は這い上がれるだろう/何処に行けば俺は辿り着けるだろう/俺は歌う 愛すべき者すべてに”
挫折した人間の思いを表現していると読める歌詞は、これを聴く同じ経験をした全ての人に、強い共感と励ましを与えるだろう。
ライブCDラストティーンエイジアピアランスのシェリーもいい。
そして、ただ、流されるままに学校を過ごして、流されるままに卒業する、それでいいのか、と、社会に、自分自身に問い掛ける卒業も素晴らしい。
その他にもスクランブリングロックンロール、ダンスホール、存在、バラードの、群衆のなかの猫、TEENAGE.BLUEもお薦め。尾崎ファンなら必聴。
WEDNESDAY~LOVE SONG BEST OF YUTAKA OZAKI
今から18年前の4月25日午後0時6分におる一人の人が26歳という若さでこの世を去りました。彼の名前は「尾崎 豊」・・・今日命日にあたるこの日とにかく尾崎の曲が聴きたくて起きてからすぐに2枚のベストを聴いてます。最初に聴いたのはバラードベストで、なんか改めて尾崎の才能というか生き様みたいのを感じました。仮に彼が生きていたら今44歳になってるはずですが、彼は若くして夭折してしまいました。自分が尾崎の年齢を超える数年前は特に意識していました。「あ、尾崎の亡くなった年齢を超えるんだなぁ・・・」っていつも思っていました。
さてこのバラードベストに関しては文句の付けようがないぐらいの名曲ばかりです。「ドーナツ・ショップ」が入っていたのは嬉しかった。ある意味完璧なベストだと思います。
尾崎は今日も空の上で歌っているはずです。素晴らしい名曲の残してくれた、「尾崎 豊」にありがとうと言いたいです。