転落・追放と王国 (新潮文庫)
赤貧の環境で育った若いフランス人宣教師が、周囲の反対を押し切って、
酷熱の太陽と塩と岩の国に布教に出かける。
外国人にはいっさい閉ざされた国の、無慈悲な原住民に捕えられ、
薬物投与、性的屈辱の凄惨なリンチのあげく、舌を切り取られてしまう。
血止めの塩と薬草を口一杯に詰め込まれ、穴倉に監禁されるうちに、
洗脳されて彼らの「者神」を信じるようになる。
「新しい神」から後任宣教師殺害の使命を受け、岩陰に潜みながら、
犠牲者を銃の床尾で撲殺する様を思い描き、陶然としながら待ち受ける…
「イエスの軍団」こと、イエズス会員が競うようにして、世界中のもっとも危険な地域に自ら趣き、
各地で1,000人をゆうに超す殉教者を出した、という話は聞いたことがありました。
日本で棄教した実在のフェレイラ(沢野忠庵)や、遠藤周作の『沈黙』の主人公も
なんと酷い話だろうと思いましたが、それをはるかに凌駕する、悪夢のような話でした。
大学生のとき初めて読んで恐怖を感じたのですが、30年近くたって再読してみたらもっと恐ろしかったです。
酷熱の太陽と塩と岩の国に布教に出かける。
外国人にはいっさい閉ざされた国の、無慈悲な原住民に捕えられ、
薬物投与、性的屈辱の凄惨なリンチのあげく、舌を切り取られてしまう。
血止めの塩と薬草を口一杯に詰め込まれ、穴倉に監禁されるうちに、
洗脳されて彼らの「者神」を信じるようになる。
「新しい神」から後任宣教師殺害の使命を受け、岩陰に潜みながら、
犠牲者を銃の床尾で撲殺する様を思い描き、陶然としながら待ち受ける…
「イエスの軍団」こと、イエズス会員が競うようにして、世界中のもっとも危険な地域に自ら趣き、
各地で1,000人をゆうに超す殉教者を出した、という話は聞いたことがありました。
日本で棄教した実在のフェレイラ(沢野忠庵)や、遠藤周作の『沈黙』の主人公も
なんと酷い話だろうと思いましたが、それをはるかに凌駕する、悪夢のような話でした。
大学生のとき初めて読んで恐怖を感じたのですが、30年近くたって再読してみたらもっと恐ろしかったです。
転落 (講談社文庫)
『ホームレスと少女』。その2人のやりとりや関係がストーリーの謎…と読み進めて行くと大きく変化して行く。
作品を通して人間の視線というものの怖さが描かれる。何気ない噂話、正論…そんなものが、当事者を追い詰めていく。そんな人間関係の怖さが描かれる。自分の何気ない一言が、他人を傷つけているかもしれない…と考えるとゾッとする。
心理サスペンスとして秀逸。
ただ、このトリックの評価が難しい。読めば読むほど深みにはまっていく構成は見事ではあるものの、一方で内容そのものも含めて「スッキリ」という気分には慣れなかった。その辺りはどうか?
作品を通して人間の視線というものの怖さが描かれる。何気ない噂話、正論…そんなものが、当事者を追い詰めていく。そんな人間関係の怖さが描かれる。自分の何気ない一言が、他人を傷つけているかもしれない…と考えるとゾッとする。
心理サスペンスとして秀逸。
ただ、このトリックの評価が難しい。読めば読むほど深みにはまっていく構成は見事ではあるものの、一方で内容そのものも含めて「スッキリ」という気分には慣れなかった。その辺りはどうか?