我慢ならない女
創作への業を背負うひろ江と、それを支える姪の明子の物語。
読み出しは、ひろ江のキャラに馴染むまで重苦しくて息苦しい感じでした。合間に挿入されるひろ江の小説にも違和感があり、読みながらちょっと苦しい感じがあったのですが、いつの間にかぐんぐん引き込まれて行き、もっと器用にやればいいのにと思った頃には、既に感情移入。その不器用さ、かたくなさが愛しく感じられました。結局一気に読了。
初めに感じた重苦しさはどこへやら。
楽しませて頂きました。
読み出しは、ひろ江のキャラに馴染むまで重苦しくて息苦しい感じでした。合間に挿入されるひろ江の小説にも違和感があり、読みながらちょっと苦しい感じがあったのですが、いつの間にかぐんぐん引き込まれて行き、もっと器用にやればいいのにと思った頃には、既に感情移入。その不器用さ、かたくなさが愛しく感じられました。結局一気に読了。
初めに感じた重苦しさはどこへやら。
楽しませて頂きました。
県庁の星 スタンダード・エディション [DVD]
この映画の上手いところは「官庁=悪」「民間=善」という単純な構図にしなかったところだろう。
スーパー満天堂は極端な例かもしれないが、こちらの方が県庁より問題の根が深いし、ある意味「官僚的」である。賞味期限の切れた食材で弁当を作るのは、食中毒シーズンを過ぎた季節なら「実害」は出ないかもしれないが、某大手乳業会社が夏場に似たことをやって食中毒を出し、会社解散の一歩手前までいったのは記憶に新しい。
それより注目すべきは「県庁さん=野村(織田裕二)」に弁当のことを指摘された副店長の態度。厨房を二つに分け、邪魔な「県庁さん」はAグループに、実戦部隊はBグループとし、「県庁さんに責任が及ばない」見返りに「県庁さんが他のセクションに口をはさめない」ようにした。まさに官庁お得意のセクショナリズム。
野村は「県庁の星=若きエリート」という設定だが、大企業の本社管理部門の「できる社員」と同じである。「マニュアル人間」と見る人もいるだろうが、彼は「マニュアルを自ら作る能力がある」し、新企画のプレゼンも要領を得ている。ただ、実務経験はないから、プロジェクトのある部門の長として配属すると、スーパーと同じような失態を演じる。
「厭味なエリート」から「熱血漢」に変身した理由が、「プロジェクトから外された」というのは少々ご都合主義だが、その後の話の展開はうまい。彼がスーパーで「改革を推進」できたのは、二宮(柴咲コウ)という「現場をよく知っている優秀な参謀」がいたから。これは実社会でも同じである。
彼の「県庁での改革」に対する「知事の対応」は十分予測できた。
ラストの二宮とのロマンスは「おまけ」。言い換えると「映画を最後まで見てくれた観客に対する監督からのプレゼント」である。
スーパー満天堂は極端な例かもしれないが、こちらの方が県庁より問題の根が深いし、ある意味「官僚的」である。賞味期限の切れた食材で弁当を作るのは、食中毒シーズンを過ぎた季節なら「実害」は出ないかもしれないが、某大手乳業会社が夏場に似たことをやって食中毒を出し、会社解散の一歩手前までいったのは記憶に新しい。
それより注目すべきは「県庁さん=野村(織田裕二)」に弁当のことを指摘された副店長の態度。厨房を二つに分け、邪魔な「県庁さん」はAグループに、実戦部隊はBグループとし、「県庁さんに責任が及ばない」見返りに「県庁さんが他のセクションに口をはさめない」ようにした。まさに官庁お得意のセクショナリズム。
野村は「県庁の星=若きエリート」という設定だが、大企業の本社管理部門の「できる社員」と同じである。「マニュアル人間」と見る人もいるだろうが、彼は「マニュアルを自ら作る能力がある」し、新企画のプレゼンも要領を得ている。ただ、実務経験はないから、プロジェクトのある部門の長として配属すると、スーパーと同じような失態を演じる。
「厭味なエリート」から「熱血漢」に変身した理由が、「プロジェクトから外された」というのは少々ご都合主義だが、その後の話の展開はうまい。彼がスーパーで「改革を推進」できたのは、二宮(柴咲コウ)という「現場をよく知っている優秀な参謀」がいたから。これは実社会でも同じである。
彼の「県庁での改革」に対する「知事の対応」は十分予測できた。
ラストの二宮とのロマンスは「おまけ」。言い換えると「映画を最後まで見てくれた観客に対する監督からのプレゼント」である。
県庁の星 スペシャル・エディション [DVD]
全体としては、起承転結よくまとまっており、主役二人の個性も面白く、2時間飽きずに見ることができました。良作だと思います。
ただ、県庁については、やや誇張されすぎている部分、現実離れした部分があり、作者あるいはライターの調査不足を感じました。議会に係長が乗り込んで、決議のあとに異議を申し立てるなど、議会制民主主義の下ではありえません。悪役側が「十分に審議尽くされた」と反論していましたが、その通りでしょう。あの場で異議を申し立てるくらいなら、その前の段階で、別の計画案を推すべきだったのでは。県庁はじめ役所というものはとかく旧態依然で改革をせずに古い意識の場所だと、映画をご覧になった人は、「ああやっぱり」と思われたのではないでしょうか。頑張っている人も居るのにああいうステレオタイプな描写になってしまったのはとても残念です。
そして、今回の出向先のスーパーの描写。伊丹十三監督の「スーパーの女」と取り上げるネタが一緒です。私はあの映画も好きなので、少し複雑な気持ちで見てました。
ただ、県庁については、やや誇張されすぎている部分、現実離れした部分があり、作者あるいはライターの調査不足を感じました。議会に係長が乗り込んで、決議のあとに異議を申し立てるなど、議会制民主主義の下ではありえません。悪役側が「十分に審議尽くされた」と反論していましたが、その通りでしょう。あの場で異議を申し立てるくらいなら、その前の段階で、別の計画案を推すべきだったのでは。県庁はじめ役所というものはとかく旧態依然で改革をせずに古い意識の場所だと、映画をご覧になった人は、「ああやっぱり」と思われたのではないでしょうか。頑張っている人も居るのにああいうステレオタイプな描写になってしまったのはとても残念です。
そして、今回の出向先のスーパーの描写。伊丹十三監督の「スーパーの女」と取り上げるネタが一緒です。私はあの映画も好きなので、少し複雑な気持ちで見てました。
エデンの果ての家
母親殺しの容疑で逮捕された弟。
親の信頼、期待を一身に背負って育った弟の
絶対の無実を信じた父の揺るぎ無い自信が崩れかかる時
初めて兄の苦悩を知ることになる父。
そして容疑は、もうひとつの事件へと繋がっていきます。
両親の期待に応える為に本当の自分を
檻の中に閉じ込めざる得なかった弟。
愛されることを諦める代わりに
本当の自分でいられることを選んだ兄。
父は兄弟の隠された真意には気付かない。
そして無実の手掛かりを探すうちに
自分の知らない妻の、もう一つの顔を知らされます。
父の目に映っていたものは何だったのか。
描いていたものは理想の家族像の筈だったのに
それが偽りだったのだと息子の逮捕によって
気付かされるのです。
最後に、決して相容れない関係だった父と兄が
初めて同じ思いを共有する場面があり、
そこに救われます。
例え、それが辛く悲しいものだったとしても。
溺愛された弟の母親殺しというショッキングな見出しが
気になって真相が知りたくなり購入したのですが
よくある親子の確執の話かと思えば、そんな単純なことでは無く
家族そのものが実は虚像であり、無実を証明する為に
奔走していた筈が思ってもみない様々な真実を
暴き出してしまうのです。
最後に父と兄が見たものは
救いなのか、それとも地獄なのかー。
私には、どちらにも取れるような気がしました。
人は、どんな苦痛も過ちも背負って生きて行ってこそ
その先の何かに辿り着けると信じたい。
最後まで飽きさせない展開に引き込まれました。
ただ、出来れば弟の口から真実を聞きたかった。
彼の心の言葉で。
親の信頼、期待を一身に背負って育った弟の
絶対の無実を信じた父の揺るぎ無い自信が崩れかかる時
初めて兄の苦悩を知ることになる父。
そして容疑は、もうひとつの事件へと繋がっていきます。
両親の期待に応える為に本当の自分を
檻の中に閉じ込めざる得なかった弟。
愛されることを諦める代わりに
本当の自分でいられることを選んだ兄。
父は兄弟の隠された真意には気付かない。
そして無実の手掛かりを探すうちに
自分の知らない妻の、もう一つの顔を知らされます。
父の目に映っていたものは何だったのか。
描いていたものは理想の家族像の筈だったのに
それが偽りだったのだと息子の逮捕によって
気付かされるのです。
最後に、決して相容れない関係だった父と兄が
初めて同じ思いを共有する場面があり、
そこに救われます。
例え、それが辛く悲しいものだったとしても。
溺愛された弟の母親殺しというショッキングな見出しが
気になって真相が知りたくなり購入したのですが
よくある親子の確執の話かと思えば、そんな単純なことでは無く
家族そのものが実は虚像であり、無実を証明する為に
奔走していた筈が思ってもみない様々な真実を
暴き出してしまうのです。
最後に父と兄が見たものは
救いなのか、それとも地獄なのかー。
私には、どちらにも取れるような気がしました。
人は、どんな苦痛も過ちも背負って生きて行ってこそ
その先の何かに辿り着けると信じたい。
最後まで飽きさせない展開に引き込まれました。
ただ、出来れば弟の口から真実を聞きたかった。
彼の心の言葉で。
嫌な女 (光文社文庫)
「嫌な女」それも女性弁護士と詐欺師の話ってどんなのだろう?と「つまらないもの」を危惧して読んでみたきっかけは読書家でも知られる黒木瞳さんがこの本について書いていたから。それがそれが、構成も登場人物も面白くて「人生」や「仕事」や人の生き様を弁護士とこの詐欺師が関わっていく人たちを通じて書かれていって深い内容に仕上がっている。そしてその関わっていく人たちを通じて主人公も成長していくのだ。人間味って「善悪」だけではなく色んな矛盾や孤独、悩みや、人との比較、そして心のスキや不満を持っていて、それでも人はそれぞれ自分でしか味わえない人生を歩んでいて、登場人物それぞれに共感する部分があり、私の人生は、唯一のものであり、それで良いのだ、と感じさせてくれる。読む人それぞれでおそらく感想は違うだろうが、不思議と読後感の爽快な一冊でした!