将棋の子 (講談社文庫)
将棋も人生も紙一重。
人生で最も大事な若い時代の全てを賭けて若者は将棋に挑む。結果は誰にもわからない。羽生のような特別な存在は別にして、通常の天才たちがプロの棋士に選ばれるかどうかの判定は実力以外のもっと別のものが関与する。
著者はこの本を書くために将棋世界の編集長をやめた。
本人の一生懸命の努力にもかかわらず、選ばれなかったものへの応援歌を書くために。
試練の時に対面している人にとって是非読んでいただきたい本である。
人生で最も大事な若い時代の全てを賭けて若者は将棋に挑む。結果は誰にもわからない。羽生のような特別な存在は別にして、通常の天才たちがプロの棋士に選ばれるかどうかの判定は実力以外のもっと別のものが関与する。
著者はこの本を書くために将棋世界の編集長をやめた。
本人の一生懸命の努力にもかかわらず、選ばれなかったものへの応援歌を書くために。
試練の時に対面している人にとって是非読んでいただきたい本である。
聖の青春 (講談社文庫)
将棋のことなんて全く知りません。興味を持ったことすらなく、どういうルールで、どういう勝負のつけ方をするのか。将棋と聞いてまず浮かぶのは、羽生よしはるくらいであり、どういう漢字だったかもあやふやなくらいです。そんな私が、『孤独か、それに等しいもの』を読んで以来ファンになった大崎善生と言う作家の本だから手にとった『聖の青春』。感動しました。心から。泣きました。悲しくて。悲しくて。村山聖というその人を知った今、その人がこの世にいないことが悔しくて。彼がこの世で将棋に情熱を燃やし、名人になるというその目標だけのために魂を削って、生きていたその時を、私はそんな人がいることを知らずに過ごしてしまっていたのだと思うと、残念でなりません。生きている村山聖というその人を見てみたかった。全てに真っ直ぐで、純粋で、強くて、優しくて、生きることに一生懸命で。将棋に全身全霊を傾けて、高い高い目標を一歩ずつ上り詰めていったその人が、どんな顔をしていて、どんなふうに苦しんで将棋を指し、どんなふうに楽しんで将棋を指していたのか、見たかったです。だけど、私はこの本を読んで、村山聖という人がこの世に存在していたこと。決して夢を諦めず、強い人間のまま静かにこの世を去ったこと。そして、今なおたくさんの人を魅了し続けていること。たくさんの人の心に生きていることを知りました。そして、もっともっとたくさんの人に村山聖というその人を知ってほしいと思いました。だからこの本を強く薦めます。決して悲しいだけの本ではありません。生にあふれた本であり、愛情にあふれた本です。作者を始め多くの人の彼への思慕、彼への尊敬、彼への愛情にあふれた本です。息が白くなるような寒い夜、公園で作者が涙しながら見た、彼へ向けられた愛情の温かさを綴っている本です。読んで下さい。