この闇と光 (角川文庫)
著者の短すぎた生涯において、まさに最高傑作と呼ぶに相応しいゴシック・ミステリの復活。(1998年初刊)
解説で皆川博子氏も述べられている通り、物語の内容に少しでも触れるのは読者の驚きを奪う事になるので控えたい。ただし作者の企みの精緻さと巧妙さに舌を巻く事は間違いない。そしてあくまで文章でのみ構築可能な世界であるのにかかわらず、読後、脳裏には緻密に描かれた銅板画の様な鮮やかな光と影の情景が浮かぶ。
エレガントでデリケートな筆致、その中に類稀な美と冷ややかな恐怖を漂わせた名作中の名作。
解説で皆川博子氏も述べられている通り、物語の内容に少しでも触れるのは読者の驚きを奪う事になるので控えたい。ただし作者の企みの精緻さと巧妙さに舌を巻く事は間違いない。そしてあくまで文章でのみ構築可能な世界であるのにかかわらず、読後、脳裏には緻密に描かれた銅板画の様な鮮やかな光と影の情景が浮かぶ。
エレガントでデリケートな筆致、その中に類稀な美と冷ややかな恐怖を漂わせた名作中の名作。
鮫島有美子の四季
このCDは本当に気に入っています。
本当にきれいでバランスのとれたビブラート。
ちょっとハスキーともとらえられる力強い説得力のある歌声。
なにをとってもすばらしい歌声。
満足すること間違いなしです。
本当にきれいでバランスのとれたビブラート。
ちょっとハスキーともとらえられる力強い説得力のある歌声。
なにをとってもすばらしい歌声。
満足すること間違いなしです。
この闇と光 (角川文庫)
この物語の途中のどんでん返しは強烈だ。
読んでいて、我が目を疑った程だ。
著者がこの様な巧妙な構成を用いて何を描こうとしたのだろう。
その中の一つは、光と闇の対比における、絵画的美の意味だと感じる。
失明しているレイアは、物語や音楽を聴き、文字を書いた。
芸術に対する感受性は人一倍優れていた。
しかし「父親」がボッティチェルリの「春」を言葉で説明しようとして、
それが功を奏さず、ひどく自己嫌悪に陥る下りがある。
絵画の素晴らしさは、視覚を介さず、言葉のみでは表現出来なかった。
そして光を得てから接した、イラストレーターらの絵画に落胆する。
この様な経緯から、視覚による芸術鑑賞の世界を、皮肉まじりに描く。
一方、視覚が無い状態では、明確な世界と世界観が形成される。
ここでは誘導されると言い換えても良い。
「レイア 1」では、極めて強固に世界が形成・誘導された。
闇と光の世界の対比を、著者は、素晴らしいまでに鋭く描ききった。
ダイナミックかつ緻密な本書に、深い感銘を受けた。
読んでいて、我が目を疑った程だ。
著者がこの様な巧妙な構成を用いて何を描こうとしたのだろう。
その中の一つは、光と闇の対比における、絵画的美の意味だと感じる。
失明しているレイアは、物語や音楽を聴き、文字を書いた。
芸術に対する感受性は人一倍優れていた。
しかし「父親」がボッティチェルリの「春」を言葉で説明しようとして、
それが功を奏さず、ひどく自己嫌悪に陥る下りがある。
絵画の素晴らしさは、視覚を介さず、言葉のみでは表現出来なかった。
そして光を得てから接した、イラストレーターらの絵画に落胆する。
この様な経緯から、視覚による芸術鑑賞の世界を、皮肉まじりに描く。
一方、視覚が無い状態では、明確な世界と世界観が形成される。
ここでは誘導されると言い換えても良い。
「レイア 1」では、極めて強固に世界が形成・誘導された。
闇と光の世界の対比を、著者は、素晴らしいまでに鋭く描ききった。
ダイナミックかつ緻密な本書に、深い感銘を受けた。