あのころ、白く溶けてく―安永知澄短編集 (ビームコミックス)
子供の頃の記憶。
思い出すこと、覚えていることはいくつかあるが、その多くは
長い時間のフィルターを通して加工されている。
食物に対するのと同じように、鮮度を保つにはある程度の加工
処理は止むをえない。風化された記憶とは、つまりはそういう
ことなのである。
あの頃。どう感じ何を考えてきたか。
子供の延長線上に大人はいて、つながっている。にもかかわら
ず、感情は霞がかった地平線の彼方にあり届きそうにない。
安永知澄は、この近くて遠い時代の記憶にアクセスできる稀有
な才能の持ち主である。そして、その感受性で捉えた感触を紙
の上に表現できる。
彼女の手によって眼前に現れる、風化にさらされる前の感情が
たゆたう世界。そこでは、美しい田舎の風景も抑圧の対象とな
り、子供社会にも厳しい世間やルールがある。隣の芝生は青く
見える。
大人の世界のミニチュアではなく、より先鋭化された、生々し
く残酷なる子供時代。
あの頃のアルバムや日記だけではわからない、分析や構成の
フィルターを通して浮かび上がった記憶のパッケージ。
タイムスリップは少し胸が痛む。
思い出すこと、覚えていることはいくつかあるが、その多くは
長い時間のフィルターを通して加工されている。
食物に対するのと同じように、鮮度を保つにはある程度の加工
処理は止むをえない。風化された記憶とは、つまりはそういう
ことなのである。
あの頃。どう感じ何を考えてきたか。
子供の延長線上に大人はいて、つながっている。にもかかわら
ず、感情は霞がかった地平線の彼方にあり届きそうにない。
安永知澄は、この近くて遠い時代の記憶にアクセスできる稀有
な才能の持ち主である。そして、その感受性で捉えた感触を紙
の上に表現できる。
彼女の手によって眼前に現れる、風化にさらされる前の感情が
たゆたう世界。そこでは、美しい田舎の風景も抑圧の対象とな
り、子供社会にも厳しい世間やルールがある。隣の芝生は青く
見える。
大人の世界のミニチュアではなく、より先鋭化された、生々し
く残酷なる子供時代。
あの頃のアルバムや日記だけではわからない、分析や構成の
フィルターを通して浮かび上がった記憶のパッケージ。
タイムスリップは少し胸が痛む。
やさしいからだ 3 (ビームコミックス)
二巻までと比べて、途中で読むのを止めてしまうような怖さがある。
懐かしい、甘い思い出だけではない、「せつない」と表現するのもそのレベルではない、
少し深いところを見てしまったような、怖さ。
それでも優しさがそこにあって、混じり合ってせつない記憶に変わる。
続きが読みたいような、これで終わりでいいような、そんな感じです。
懐かしい、甘い思い出だけではない、「せつない」と表現するのもそのレベルではない、
少し深いところを見てしまったような、怖さ。
それでも優しさがそこにあって、混じり合ってせつない記憶に変わる。
続きが読みたいような、これで終わりでいいような、そんな感じです。