非常ノヒト 2―鬼外カルテ其ノ14 (WINGS COMICS)
鬼外カルテの最終巻となる作品です。
仲間であった妖異族を見送ってきた鬼外、ひとりっきりとなった彼が思うのは遠い昔のこと。
ずっと一緒だった仲間、太夫が去ってから、彼は過去の自分を探すたびに出ます。
過去の彼の名前は平賀源内、福内鬼外、という名前で読み物などをかき、そして本草学という医者の分野でも活躍し、エレキテルをつくりあげた多才の人。
しかしそんな彼が抱えた孤独、そして『人生五十年のうちに何かを成し遂げないと永遠の虚空をさだようこととなる』と鬼に予言された、彼に待つ運命は?
切なく悲しい…この第二巻です。
二巻は鬼外の孤独がとても切ない巻でした。
花族ワルツ (1) (バーズコミックス ガールズコレクション)
このお話の舞台は大正時代の日本だそうです。
私は近代の日本の様子に興味があって、いろいろな本やその時代を知る方から話を聞いたり、また本作のような漫画を読むなどしてきました。
本作からは、大正という時代、というか、あの頃の雰囲気が作中から充分に伝わってきます。非常によく描き出せていると思います。ものの考え方や言葉遣い、ものの名称(午砲:ドン ってご存知ですか)など、良いですね。
かといって、あまり忠実に描写すると作品として堅苦しくなって読者もついて来られないと判断されたのか、一部現代的な言葉遣いもありますし、主人公の髪も黒ではありませんが、そこまでこだわりはしません。(登場人物の描き分けの関係でしょうか。)
さて、本作では時代的に見て重い要素が入っています。主人公もわずかな不注意で予想もしなかった立場に追いやられます。
ずいぶん展開が急だな、と思っていたら、次で完結予定だそうです。
推理の要素もあって、非常に面白い作品でした。
天下一!! (3) (ウィングス・コミックス)
女の子が過去にタイムスリップして時代の中枢で活躍する・・・
そんな物語の系譜は古今東西絶えませんが、この作品も数ある名作のひとつになれそうです。
「王家の紋章」「天は赤い河のほとり」あたりの全盛期を読んでいるような気分になります。
3巻では今は亡き安土城内での日々が描かれています。
家康供応の菓子にまつわる話は家庭科実習、
相撲大会の予選は体育祭?
安土城完成披露の祭は文化祭?
そんな風に現代の高校生の生活をうまく反映しながらも、
終盤のエピソードは暗く重い・・・
価値観があまりに違う時代、「好きな人の言葉を信じるほかはない」と決するトラ。
乱丸とのふれあいをほほえましく見守っているとつい忘れがちになりますが、
トラの使命は「本能寺の変で信長が死なないようにすること」
そのために明智光秀を「いい人」とアピールするなどしますが、逆効果になっているような。
一コマだけ、本能寺の変と思われるシーンが描かれています。
燃え盛る炎、信長と、乱、虎松、松寿が弓槍刀を手に・・・
トラと一緒に、泣きたくなりました。
彼らの一生をこんなところで終わらせたくない。
安土の日々が輝いているだけに、惜しくてならないのです。
歴史にもしもはないけれど、もしトラのように自分の力で歴史を変えられるとしたら。
信長の天下布武をみてみたかったし、その偉業に付き従う小姓たちの行く末もみてみたいのです。
そんな本編に涙して巻末にたどり着くと、
現代版の彼らが描かれていて、これは美味しかったです。
お小姓衆を生徒会に見立てて、眼鏡の乱が生徒会長、虎松、松寿が脇を固めて、
学園の理事長が上様で、トラは彼らの後輩という感じでしょうか。
連載派の方にもおすすめです。
天下一!! (2) (WINGS COMICS)
最近は小説ばかりだったのに、この私がマンガを買うなんて!
でも、おもしろくて3巻まで買ってしまいました。
大河ドラマ“江”が好きな人ならハマります!!
キーワードは“美少年”と“強い乙女”でしょう。
*電車の中などで読むと吹き出してしまい恥ずかしい思いをした私の二の舞になりますのでご注意ください。
デアマンテ~天領華闘牌 4 (バーズコミックス ガールズコレクション)
この作家さんは、非常に良く調べて描いていらっしゃるので、どの作品も安心して読めます。
4巻完結ですが、それぞれ短編としても完結しているし、また、全てが最終回に収斂しており、どの巻も中だるみなく読めます。
また、キャラクター全ての設定が細かくなされており、それに舞台設定・時代設定が適合していて、読んでいてどこにも破綻がありません。
ベテラン作家さんなので、このようなことを言うのは失礼かもしれませんが、この作品と『天下一!!』は、本当にお勧めです。