グレゴリアン・チャント・ベスト
十数年前グレゴリオシャントが流行った頃、存在は知っていたもののじっくりと聞く機会がなかった。機会がなかったというよりは、自ら探す努力をしていなかったというところか。その頃にこのCDに出会っていれば、歌の技術も少しは違っていたのかもしれない。指揮者の先生が、「こういうの聞くと勉強になるんだよ」とさりげなくおっしゃっていたことが、今になってよく分かる。
単旋律の美しさと宗教曲特有のうねりがよく表されている。できれば大きい部屋で心を落ち着けて目をつぶりながら聞いてみたい。これから数百年後に聞いたとしても必ずや何かを学ぶことができる一枚だと思う。そういう価値観がグレゴリオシャントにはある。
処女の泉 [DVD]
ベルイマン自身は神の存在を信じているのかと問われれば、やはり信じているのではないかと思う。目に入れても痛くない娘カーリンを強姦されたあげく殺され、しかも自ら復讐のために殺人を犯すテーレ(マックス・フォン・シドー)。神が与えた過酷な試練により、テーレ一家は絶望の淵に追いやられる。「それでも私は許しを請う。そうでなければ生きていけないからだ」と泣き崩れるテーレがカーリンの亡骸を抱き上げたその時、試練に耐えた一家の前に<泉>となって神が姿を現すのだ。
最後の晩餐を思わせる一家の食事風景や、ラオウのように強盗殺人ブラザースの寝覚めを待つ怒りに燃えるテーレ、そしてエンディングのピエタと祈り。スヴェン・ニクヴィストが撮ったこれらの映像は、宗教画のごとき荘厳な雰囲気をかもし出している。極東の民族には想像もつかないくらい重いテーマである<罪の意識>そして<信仰の意味>について言及した問題作を、重厚な映像でつづっている。
しかし、ベルイマン作品のDVDがTSUTAYAに置いていないのなぜだろう。BSでもほとんど放送されることのない彼の作品を見るためには、AMAZONでDVDを買うしかないのである(宣伝しときました)。絶望の淵に沈んでいた私に一筋の光明がさしこんだ。年末、おくらばせながら、BSでベルイマン特集が放映されます。興味のある人は要チェックですよ。
ドヴォルザーク:スターバト・マーテル
ハイドンの戦時のミサ曲との抱き合わせ2枚組みで、スターバト・マーテルは10曲80分を越す大曲ですので
1枚に収まらなかったのか最後の3曲はハイドンと一緒になっているのがやや扱い上は不便ですが、演奏内容は
とても良い名演と思います。