白いトロイカ (2) (講談社漫画文庫)
美しく成長した主人公が歴史のうねりに巻き込まれながらも、歌手への道を突き進みます。次第に明らかになる彼女の出生の秘密・・・。村娘から貴婦人への成長ぶりを水野先生のタッチは見事に捉えていて、さすが!の一言です!
華麗な歴史映画を見るような、ドラマチックで壮大なストーリー展開には今でも熱く、感動します!身分の重さ・農奴制度・ロシアの歴史を理解できる年齢のいまこそ、もう1度、読むべき1冊でしょう!
白いトロイカ (1) (講談社漫画文庫)
水野英子氏は若手人気マンガ家の梁山泊と言われたあのトキワ荘唯一の女性住人であった。その彼女がロシア革命を下敷きに描いた作品。1964年当時の少女マンガはお涙頂戴の母子ものなどが主流だった。その中で、ロマンスを主軸にしながらも、こんな骨太の歴史物を描けるとは!その力量は今読み返しても充分読み応えがある!農奴の娘ロタ、実は両親は貴族で母は稀代の歌姫という本人も知らない秘密が。幼馴染のコサックのアドリアンは彼女を自分の命に代えても守ろうとするほどロタを深く愛している。そして革命を先導し、皇帝に反逆を起こす貴公子もまたロタを。歴史の渦に巻き込まれていく3人の運命は?この8年位あとに池田理代子の氏の『ベルサイユのバラ』が発表されたとき、水野氏の影響が確実に見て取れる。このように水野氏の後進作家への影響は多大なものがあるが、中途半端なお嬢さん芸のマンガ家が表面だけマネの出来るようなやわな世界ではない。池田理代子氏のよな歴史観やポリシーのある作家であってこそ影響を引き継ぐことが出来る。
ローマの休日 (Feelコミックス ロマ×プリコレクション)
1960年代の水野英子先生の作品で、読みたくても本を入手する事がかなり難しかった「ローマの休日」の復刻版がやっと発行され、喜んだファンの方も多かったと思われます。
この作品は1960年代に2回発行されていますが、それ以来43年ぶりの発行です。 初出は、りぼん 1963年9月号 別冊付録 りぼんカラーシリーズ。 再録は、別冊りぼん 1966年春の号 です。
ですが、この2回の作品は、同じではありません。 初出の、りぼんカラーシリーズ の最後の6ページ分が、 別冊りぼん では描き直されて8ページ分となり、本編が2ページ増えています。 今回発行されたこの復刻版は、この2ページ増えた 別冊りぼん版 が収録されています。 2ページ増えた分、初出より表現が少し変わっています。
作品名「ローマの休日」の扉絵は、初出の りぼんカラーシリーズ では、この復刻版に於ける10〜11ページの1色の左右見開きのみで、本の表紙は水野先生の絵ではなく日傘をさした少女の写真で、 別冊りぼん では、本編最初に水野先生のカラーの扉絵が新たに加わっており、 この復刻版では、その絵が本の表紙となっており、1色で最初の扉絵にもなっています。
復刻版の帯は2種類あり、このAmazonの製品写真とは別の帯では「46年ぶりに待望の復刻 !! 」という文ですが、これは初出からの年数の「決めのフレーズ」だからいいとしても、別冊りぼん の発行以来なので正確には「43年ぶり」だなあ、とか、復刻版が発行される時はセリフが変更されたりする事がありますが、別冊りぼん、復刻版、それぞれナレーションも含め変更されている部分を見つけたり、この復刻版の8〜9ページの絵も りぼんカラーシリーズ と比べて構図は同じですが描き直されているとか、色々興味深い発見がありますし、本編1ページ目の英語のスペルが少し気になった人もいるとは思いますが、復刻が待たれていた「ローマの休日」は、もし著作権関連が無ければ、当然、ずっと以前に再発刊されていたはずですので、やっと読める喜びは大きいと思います。 この復刻版は、本の装丁も魅力的です。