東大将棋 名人戦道場
私は対局目的でこのソフトを買ってみました。
手軽に好きな棋士と指せるのが楽しみで決めました。
名人に挑戦モードでは各棋士の棋譜が入っているようで実践譜どおり指すとノータイムで指してきます。
しかし、少しでも実践譜から外れると思考が始まります。この辺りはコンピュータ将棋特有で進歩がありません。
思考時間はパソコンに慣れている方は少し遅いと感じるかもしれません。
強さは道場2段〜3段位はあるように感じます。
名人が全て居飛車党なので対局しててだんだん飽きてきます。各棋士の特長があまり活かされてないと思います。
名人によって棋風があるようで、谷川名人の場合は中終盤強烈な攻め将棋になる場合もあります。
加藤名人が入っているのなら、振り飛車党の大山名人や升田名人等も入れて欲しかった。
この点は「最強 東大将棋」の方が色々な得意戦法を持っている棋士が入ってるので特長があります。
名人に挑戦モードに期待している方は雰囲気位しか楽しめないかも知れません。
プロの棋譜が見れるのはとても良かった。
ぜひプロの棋譜集をPSPで販売して欲しい。
愛蔵版 第69期 将棋名人戦七番勝負
永世名人同士の対決となった第69期名人戦は、将棋の世界へ目を向けさせるのにこれ以上ない組み合わせでした。
挑戦者の森内俊之十八世名人と羽生善治十九世名人という永世名人同士の対戦は、10ページに書かれているように中原誠十六世対大山康晴十五世名人戦以来、史上25年ぶり2度目となるそうです。
竜王戦をはじめ、多くのタイトル戦となる棋戦があっても名人戦の重みは昔も今も変わることなく将棋界の最高位としてそびえ立っています。
「小学4年生、10歳のときにデパートの将棋大会から始まった両者の対戦は、アマチュアから奨励会、そしてプロ棋士になっても続き、40歳になった今(47ページを引用 少し略) 名人戦の舞台で覇を競い合う」わけで、そのライバルとしてのお互いを知り尽くした2人の対戦は実にスリリングでした。
ヘボな解説はやめにしますが、横歩取りという急戦をいどむのは両者のプライドの激突の表れでしょうし、相矢倉の手順は風格を感じさせました。最終戦の第7戦は、両者ともに自然体で臨むという精神面の強さが伺えました。そしてまたまた羽生の横歩取り8五飛に、森内の新山崎流の布陣に意地の激突を見てとりました。
結果的には羽生が3連敗のあと3連勝して、最終戦に敗れて名人位を森内に奪還されるわけですが、終始斬新で攻撃的な指し手は読者を魅了しました。また森内の泰然自若とした受けの応対もまた最強棋士の矜持のようなものが伝わってきました。
巻末に「森内新名人が振り返る七番勝負」のコメントが掲載してあります。読み物として感心したのは、芥川賞作家の朝吹真理子の「有限の裂け目、のぞく無限」でした。従来の観戦記のスタイルとは違う内容ですが、名人戦の深遠さを含蓄のある言葉で綴られており、対局の厳粛な雰囲気が伝わってくる名文だったと思います。
東大将棋 名人戦道場DS
強さはまあまあです。
歴代DSゲームの中では以下の順番だと思います。(1位と2位の順序は微妙。)
1位:銀星将棋DS
2位:ハチワンダイバー
3位:東大将棋名人戦道場(本ソフト)
4位:しおんの王
5位:激指DS
順位戦の棋譜の多さ、歴代名人戦の棋譜は解説付き、歴代名人6人への挑戦、
名人戦の歴史やクイズ、次の一手や詰将棋など、確かに付録機能は充実していると言えます。
しかし色々と物足りない点を感じます。
【物足りない点】
・自分の顔アイコンを6人の男女から選べるが、全て好みの顔でない。
・個人的にはもう少し有名な萌え系アニメーターを採用すれば良いと感じる。
・形勢によって表情が変わるのは良いが、形勢判断が大雑把過ぎて逆に混乱する。
・名人に挑戦機能では、各名人の声で挨拶をされるのは良いが、肝心の棋力は・・・。
・名人の表情のバリエーションが少な過ぎる。もう少し色んな表情をさせた方が良い。
・こちらが劣勢になった時、名人の顔が見下したような表情になるのが悲しい。笑顔で良いと思う。
・強さは10級〜2段まで選べるが、10級がなぜか異常に強い。普通の子供は勝てない。
・棋譜読み上げはやっぱり安食さんにしてほしかったです。この点は「しおんの王」が良い。
・全体的にカタい印象を受ける。もっといろんなアニメーションや音で将棋を盛り上げてほしい。
よほどの名人戦ファンでない限り、無理して買う必要のないソフトだと感じました。
実録 名人戦秘話 ~棋士生活40年 田丸昇の将棋界見聞記~
田丸八段の本の特徴は、他の将棋本には書いてないエピソードが
いつも書かれてる事で、この本でも満載である。中原-大内戦の4五歩事件とか
既出の話もあるが、他では見たことがない話も多い。
しかも文がうまいのでどんどん一気に読める。
将棋界の事を知るのにためになる一冊。
かつて名人戦共催に向けての臨時総会が開かれた時、
当時の将棋誌では発言者が明示されておらず「ある棋士」とされていた総会中の発言について、
この本ではすべて発言棋士が書かれてあったり、たいへん詳しい。
何しろ著者が、その時議長だったので。
週刊将棋でこの本のタイトルのような連載を続けていたが、
この本は、基本、名人戦のエピソード集なので、
あの連載を一冊にまとめたものではなく、関係ない。
なので、広告?では「将棋と縁の深い著名人のエピソード」とあるが、
連載にあった吉田拓郎や作家たちとの話などはなく、
山口瞳と菅前首相などのみ。
写真は少ないが、田丸本のは著者が自分で撮影したものらしく、どれも珍しい。
本の大きさ(1ページの面積)や字の数や文の量に対して
活字が大きすぎて見づらい。
ひとまわり小さいと、より見やすかった。
第68期将棋名人戦七番勝負全記録―羽生、2度目の3連覇
三浦は、22歳のとき棋聖戦において羽生七冠の一角を崩した。若さと勢いがあった。
今回、一勝も出来なかったが勝機は何回もあった。
繊細で生真面目、根をつめすぎる。研究一筋、直線的である。
「普通の棋戦では見えるはずの手が、なぜか思考が飛んでしまい見えなかった」
「残り数秒になっても指せなかった。そんな状況に追い込まれたのは棋士人生で初めてです」の述懐があるように名人戦の雰囲気に呑まれたようだ。上体を90度近く横に傾けたり又右斜め上に目を泳がせ一心不乱に沈思黙考する対局姿勢はユニークで魅力的である。
一方の羽生は、ある棋士が「羽生さんは苦戦の終盤でミスしてもそこから平気でやり直してくる。まるで苦しい局面を愉しんでいるようだ」と言っているように回り道もするし相手に手を渡したり曲線的である。
際立った勝負術、地を這うようなスタイルの確立により一つの峠と言われる40歳をうまく乗り切るであろう。
最近は、受験と同様環境が整備されてきたため若手が急速に力をつけてきたように見えるが過渡的なものであろう。
超一流の勝負とは、研究力や芸を超えた人間と人間の戦いである。超一流の棋士は聖者である。