遠海事件
86件の殺人を自供した佐藤誠。彼の犯罪は、死体を含めた証拠隠滅が
徹底していた。しかしただ一件、佐藤を書店の正社員にしてくれた上司と
その上司の八歳になる娘を殺害した通称「遠海事件」だけは例外だった。
佐藤は、別々の場所にいた二人を殺害した後、それぞれの首を切断し、現場に
放置したという。なぜ佐藤は、その事件に限り証拠隠滅をはからなかったのか?
本作は、「猟奇殺人鬼の犯罪実録もの」といった体裁が採られているのですが、
その構成によって、読者に首切断の理由を勘付かせないようにミスリードして
いるのが秀逸です(言ってみれば、倒叙形式で事件当時のことを描きながら、
思わせぶりな記述をし、肝心のところはボカすという手法です)。
また、事件の際に佐藤が用いたアリバイトリックも実に印象的。トリック自体は
至ってシンプルなのですが、最終的な事件の構図が提示された後に思い返す
と、作者の企みが、いかに巧妙であったかを理解することができます。
ところで、本作は、作家の詠坂雄二(作中人物)が、事件を小説調に再現して
書いたという体裁になっていますが、「はじめに」と「おわりに」、そして、主文
の合間に挿入されるコラムの執筆者が誰であるかは最後まで伏せられています。
結末でその名が明かされた際には、作者の大胆な
人物造形と伏線回収にきっと唸らされることでしょう。
なお、本作は、前作とリンクしているので、前作を未読の
方は、まずそちらから読まれることをおススメいたします。
戦力外通告 ~諦めない男たち編~
華々しい舞台を用意できるのはほんのひとにぎり。多くは解雇通告におびえ、ひっそりと引退していく選手がほとんどです。スターだったひとは、解説者や指導者として球界に残り、ファンの前に元気な姿を見せてくれますが、そうでないひとたちのその後というのは、ある意味現役時代以上に気になるものではないでしょうか。
再びプロを目指して選手生活にしがみつくひと、一線を退いても野球界に携わるひと、そして新たな場所で活躍するひと・・・。それぞれの舞台で奮闘する彼らのようすを知るにつけ、老婆心な安心感とともにエールを送りたくなります。
ただ、誤字が散見されることや、全体的に語彙に乏しい感も否めないのが惜しいところですが、それでも読みでがいは充分ですので、とくに気になる選手がいらっしゃる方はお手にとってみてはいかがでしょうか。
首を整えると脳が体を治しだす
20年以上も上部頚椎専門のカイロプラクターとして第一線で現場に立っている方の本です。
本のタイトルが気になり、何か手技の参考になるかと思い読み始めました。
確かに上部に限らず頚椎には大事な神経根がその両脇に存在しているので、頚椎の矯正をする=首を整えることで自然治癒力が上がる=脳が体を治しだすというのは頷けます(その他にも理由があるのですが、ここでは置いときます)。
ただ頚椎1番(あるいは2番)のみ矯正でこれだけの臨床結果があるというのはちょっと首をかしげてしまいます(それだけ手技がすごいのかもしれませんが、うーん・・・☆-1)。
大人気の治療家というだけあって、一般の方にも分かりやすい解剖生理の説明や自分でできる姿勢矯正の話は面白かったです(編集者の方もうまくサポートしていると思います)。
ただ、内容が進むにつれご自分の信念と成功哲学がないまぜになっていくテンションの高さは「まいったなぁ」と苦笑いしつつ、実際に成功されている?そうなので引き込まれ面白かったです。
なんというか洗練されていない妙な情熱を感じるんですよね。
そしてプロとしての厳しさも感じつつ人の良さも感じるというか。
この部分が患者さんをひきつけるのかなと思いました。
首を温めると体調がよくなる
「なまけているわけではないのに働けず、日中から微熱が出て横になる。
しかし気をつかわなくていい友達とはお茶や食事に行ける。」
こんな人を見かけたら誰でも「性格が悪い」って思ってしまいますね。
また
鬱になったら、それは「軽い精神病」と見なされてしまいます。
しかし
著者の医学博士の松井考嘉先生は、それは「首の筋肉の異常」だと断じ、
うつでは94%の患者さんの完治というすばらし実績をあげておられる。
こうした首こり病には、「首を温めるのが良い」と治療に取り入れられている。
一方ほとんどのお医者さんはというと、健康保険診療が当たり前で薬に頼る。
この本には、薬によらない貴重な治療体験とアドバイスがいっぱいつまっています。
悩んでおられる方は是非ご一読を!
私も首を温める遠赤の「ライフウォーマー」の開発者として
首の温めには遠赤外線を活用すればさらに効果があがるのでは・・・、
と思っています。