青が散る〈下〉 (文春文庫)
「潔癖」と「王道」
いずれも担当教授が主人公に贈った色紙の言葉である。
この2語がこの作品を物語るキーワードのように感じます。
青春時代の友人関係や異性との関係をうまくまとめたほろ苦い作品です。
To (melt into)
THE NOVEMBERS1年半ぶりのフルアルバム「To(melt into)」。全曲新曲全9曲収録。でも時間は50分近く濃厚。
同時発売のシングルに比べると、まだ躍動感のある曲は揃ってるかな、という印象だが
明らかにそれまでのノーベンバーズとは違い
所謂「うるさ系」の大きく叫ぶ曲を極力排除し、雰囲気を中心に聴かせる作風にチェンジしている。
代わりに浮世離れした感覚だったり、悲壮感だったり、その中の嬉しい気持ちだったり
音も詞もシンプルさっていうよりは情報が細かくなってきた印象で
これはこれでじっくりと聴けて非常に楽しく深い。
が、「こわれる」とか「dysphoria」系の楽曲はほぼないので、その点では注意。
前作から更に進化したTHE NOVEMBERSの世界観を堪能できるアルバム、明確に深化してるのが素晴らしいです。
詞も、多彩なアレンジを施したサウンドも一筋縄ではいかない
聴き手によって一つずつ紐解く感じの音像になってますがノベンバの音楽は一見暗く陰鬱に聴こえて
その実聴き手の憂鬱な気持ちだったり
誰もが感じる悲しみだったり
そういう感情の解放に向かっている。と常々思って聴いているのですが、このアルバムはそれが極まった感じで
美メロが頭をぐるぐる回る「彼岸で散る青」、歌詞の一つ一つが心に沁み込む「はじまりの教会」、
何故だか救われた気持ちになるバラッド「holy」等、モヤモヤした精神の解放には素晴らしく作用して
そんな聴き手に対する真摯な姿勢もまた心打たれる部分ではあります。
それをどう捉えるかも恐らくは聴き手次第。
今までよりも更にディープで混沌とした統一感のある3枚目。
「彼岸で散る青」を軸に鳴らされる繊細な精神の旅路を是非楽しんでみて下さい。
「Misstopia」が金字塔というのはこの作品を聴いてからも揺らぎませんが
そこからの発展系であるこの一枚も個人的には大切なアルバムの一つ、になりました。素敵な作品です。
ふぞろいの林檎たち DVD-BOX
この作品が放映されてころは高校生でした。中井貴一さんがかっこよくてあこがれでした。そんな大学生にはなれませんでしたが。
劇中の学歴コンプレックスや人間関係が生々しく、当時は自分のことのようで正視できなかったので、27年目にしてDVDを購入しました。
俳優さんたちのみずみずしさ、演技のうまさに感心させられました。
酒屋の兄夫婦の愛が若者たちよりはるかに「大人」を感じさせるもので、最終回の小林薫さんがめちゃくちゃカッコよかったこと、ゆがんだ形でしか愛がなかった東大生のカップルも最後はふつうの愛に変化していったことなど、当時は気づけなかった発見がありました。
作品中では黒電話や赤電話が重要な小道具として登場しているが、石原真理子がやっていたように、当時は寮やアパートでは、ピンク電話の取り次ぎは当たり前であった。携帯やメールのなかった当時、待ち合わせでの行き違いは日常茶飯事で、寮やアパートに電話するのは相当の覚悟が必要かつ至難の技で、当然のことながら親や寮母、友人にはすぐばれました。(当時部屋に黒電話があるのは珍しかった)そのかわり周囲も親切・寛大で見て見ぬふりや取り次ぎ、援護射撃してくれる先輩もいて、人間関係そのものが濃厚だった気がします。
本作品中では、京都に電話するのに100円玉を使っていたので、まだテレホンカードすらなかったのかと、隔世の感を感じました。
かれらが社会の荒波に放り出される続編「2」も見てみたいです。本作品の続編ではやや風変わりな「3」「4」がDVD化されていないよう
ですが、やはり山田監督が完成度に不満をお持ちだからなのでしょうか。
バブル絶頂期アメリカから戻った石原真理子さんが柄本明演じる地上げ屋の愛人にされてて・・。というようなスゴイ内容でしたが。
Touch Me,Seiko
アイドル&アーティストとして、B面曲集でこんな傑作は二度とできないかもしれませんね。本当にいい曲&人気曲が並んでいて、癒されるCDです。ぜひとも高音質で聞きたい一枚ですね。
爽やかな『Romance』『レモネードの夏』、有線大ヒットの『制服』、両A面扱いとなった『蒼いフォトグラフ』…数々の名曲が楽しめます。特に、聖子&ユーミン&松本隆氏の『蒼いフォトグラフ』は、お気に入りです。
聖子の素晴らしい歌声を引き立てている、アレンジャーの松任谷正隆氏、大村雅朗氏の見事な技術…大尊敬してます。
青が散る (文春文庫 (348‐2))
テニスが嫌いな人も、興味がない人も読める、青春テニス小説です。私自身テニスは好きでは無いのですが、実際抵抗も無く読めました。
「熱い」青春ドラマが繰り広げられる訳ではありません。夕暮れ時に、自分の影を重そうに引きずって歩いている。そんな中で、その姿を見せまいとする者、力強く歩く者、助けを求める者がいる…。どれが正しいのか、どれが間違っているのか。迷いながら過ぎた自分の3年間とつい重ね合わせてしまいました。現役大学生にこの小説は、かなりシビアでしたが、「自由と潔癖こそ、青春の特権」…登場した教授のこの言葉は、私の、大学生活残り1年に向けての意識を、大きく変えてくれました。だから、読むのが辛くても、もっと早く読むべきだった、読み切って好かった、と思!います。大学生の方々、ぜひ読んでください!