白き花のパヴァーヌ (講談社漫画文庫 は 3-14)
著者の原ちえこさんといえば、漫画雑誌『なかよし』で大人気を博し、私も素敵な絵に
魅かれ、毎月楽しみに読んでいた記憶があります。中世イタリアを舞台にしたこの作品も、
著者ならではの、美しい衣装、登場人物の繊細な心の動きが描かれています。
内容は、敵対する二国間での政略結婚が絡み、花嫁が敵国にスパイとして送られるも、
敵国の暖かな人々の心情に触れ、花嫁はやがて和平交渉を願い出るという話。
嫉妬や陰謀の末、どんでん返しが重なりますが、ストーリーが単純なせいか、
一回読めばもう良いかな、と思ってしまいます。
同著者による「フォスティーヌ」は繰り返し読んでも飽きなかったのですが・・・。
ただ、著者による美しい絵が好きな方には飽きない一冊だと思われます。
小津安二郎大全集 (DVD 9枚組) BCP-027
このDVDを見つけたとき、値段が一桁間違っているのではないかと思いました。
購入したのが7月、すると8月2日に次のニュースが飛び込んできました。
『英BBC放送によると、英国映画協会発行の「サイト・アンド・サウンド」誌
が2日までに発表した、世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画
に、小津安二郎監督の「東京物語」(1953年)が選ばれた。
批評家ら846人による投票でも同作品は3位だった。』
改めて「東京物語」を見直したのはいうまでもありません。感動しました。
闇のアレキサンドラ(1) (講談社漫画文庫)
作者の原ちえこ先生もハーレクインが好きだとのことで、その作風の作品になってます。
ハーレクイン好きならまず間違いないです。先生の書く女性は髪が長くて人形のような女性で
きれいなお洋服もまた読者を満足させてくれます。3冊どっぷりとハーレクインの世界に
はまれるので3巻同時に買うのをおすすめします。先生の書くハーレクインの漫画をまた
読みたくなってしまいました♪
東京物語 [DVD] COS-024
久しぶりに観直してみました。
騒々しい最近の映画にも食傷気味な今日この頃、
もう一度、古き良きなつかしい名画座の雰囲気に浸って
幸福な時間に身をゆだねることの大切さを実感。
物語の出来栄え。
独特のセリフ回し。
計算しつくした、こだわりの構図。
余計なものをそぎ落とした人間関係の描き方。
省略の美学。偉大なるマンネリといわれた作風の最高傑作。
変わりゆく、親子関係と、変わりゆく日本。
そして、変わらない故郷と変わらない人間関係。
いたしかたなく、時代変化の中で暮らしてゆく子供たちと
故郷の両親の関係と、戦前と戦後、古き良き日本の心と
壊れてゆく日本人の思いやり。
名優たちの独特の名演と、家族ドラマを通して、家族、兄弟、
親子、親戚、同郷の心の交流。
いつ見ても、心にずっしりとくる永遠の秀作。
日本人は昔より今が本当に幸福になったのか?根源的な
問いを思いながら、希薄になった家族愛の存在を再確認できる。
お嬢さん乾杯! [DVD]
最後の原節子さんのセリフが、最高に可笑しくて、そのアップが最高に美しかった!!なんでもこのセリフ、シナリオにないものを急に言わされて原さんが困ってしまったとか。あと、途中の「お腹すいた〜」って言うところも可笑しく、でも綺麗だったなあ。彼女はドテッてこけるシーン以外は、特にコメディっぽい演技をしている感じはありませんが、原節子さんの美しさがあってこそのコメディですね。お嬢さんに惚れてしまう佐野周二さん、頑張ってます。あと佐野さんの弟分・佐田啓二さんが若くてカッコイイ。音楽の使い方が、戦前のルネ・クレールの映画を思わせたりして。木下恵介監督のコメディセンスが光る傑作です!!