カネを積まれても使いたくない日本語 (朝日新書)
いつでもどこでも気が向いたときに、「腹立たしさに生き甲斐を感じるために」楽しんで?読むことが出来ます。
そうだそうだと頷きながら若者の声を聞き直しています。TV画面のテロップ文字が望ましい言葉に直されていることには気づきませんでした。「言葉の順序が簡潔に文字に変えられている」くらいの認識しかなかったことを恥じます。
本を読むのが面倒だと感じる方に「ぱっと開いたページ」から1〜2ぺーじ読むだけでも世の中の話し言葉の様子がわかります。
待ち時間を有効に使える立派な書です。
そうだそうだと頷きながら若者の声を聞き直しています。TV画面のテロップ文字が望ましい言葉に直されていることには気づきませんでした。「言葉の順序が簡潔に文字に変えられている」くらいの認識しかなかったことを恥じます。
本を読むのが面倒だと感じる方に「ぱっと開いたページ」から1〜2ぺーじ読むだけでも世の中の話し言葉の様子がわかります。
待ち時間を有効に使える立派な書です。
十二単衣を着た悪魔
作者は高校生の頃から、『源氏物語』の登場人物の中で誰よりも弘徽殿女御が好きでした。でも、紫式部は女御にあまり言及していません。そこで『源氏物語』を弘徽殿女御サイドから描いた小説に書き下ろしたのが、この本です。
作者の分身ともいえる主人公に、二流大学を卒業した現代の男子フリーター、愚兄賢弟の兄・伊藤雷(らい)を据え、突然、千年前の『源氏物語』の世界へタイムスリップした雷が、たまたま持っていた常備薬の見本と「あらすじ本」を頼みの綱に、未来を予見する陰陽師「雷鳴」として女御に仕えることになる……この筋書きが鮮やか。
雷の一人称で書かれた文章は、セリフも現代的で実に読みやすい。また、出来過ぎた弟を持ちコンプレックスのかたまりである雷自らの身の上と、兄・朱雀帝と弟・光源氏との関係とを符合させ、雷は自然と弘徽殿女御母子に共感を覚えていきます。さらには、現代との比較が容易になり、悪役の代表のような弘徽殿女御が、実は聡明で、物事の本質を見抜く優れた女であり、生まれるのが千年早過ぎた、強くて筋の通ったキャリアウーマンであったことが浮き彫りに……このあたりの設定が実に秀逸なのです。
いっぽう、人間関係の視座を変えたことで、桐壺更衣をはじめ「いい役」の女たちのブラックな側面や、何もかもが超一流の光源氏が抱える「弱み」さえ見えてきます。
400ページにわたる長編ですが、皇位継承権をめぐる不埒なバトルあり、平安の世に居場所を見つけた雷のロマンスありで、興味は尽きず、ぐいぐい読めました。50年に及ぶ紫式部への不満を胸に、見事に本懐を遂げた、「源氏物語・内館本」。力作&快作だと思います。
脚本・内館牧子による、ドラマ化・映画化を熱望!
作者の分身ともいえる主人公に、二流大学を卒業した現代の男子フリーター、愚兄賢弟の兄・伊藤雷(らい)を据え、突然、千年前の『源氏物語』の世界へタイムスリップした雷が、たまたま持っていた常備薬の見本と「あらすじ本」を頼みの綱に、未来を予見する陰陽師「雷鳴」として女御に仕えることになる……この筋書きが鮮やか。
雷の一人称で書かれた文章は、セリフも現代的で実に読みやすい。また、出来過ぎた弟を持ちコンプレックスのかたまりである雷自らの身の上と、兄・朱雀帝と弟・光源氏との関係とを符合させ、雷は自然と弘徽殿女御母子に共感を覚えていきます。さらには、現代との比較が容易になり、悪役の代表のような弘徽殿女御が、実は聡明で、物事の本質を見抜く優れた女であり、生まれるのが千年早過ぎた、強くて筋の通ったキャリアウーマンであったことが浮き彫りに……このあたりの設定が実に秀逸なのです。
いっぽう、人間関係の視座を変えたことで、桐壺更衣をはじめ「いい役」の女たちのブラックな側面や、何もかもが超一流の光源氏が抱える「弱み」さえ見えてきます。
400ページにわたる長編ですが、皇位継承権をめぐる不埒なバトルあり、平安の世に居場所を見つけた雷のロマンスありで、興味は尽きず、ぐいぐい読めました。50年に及ぶ紫式部への不満を胸に、見事に本懐を遂げた、「源氏物語・内館本」。力作&快作だと思います。
脚本・内館牧子による、ドラマ化・映画化を熱望!