スローカーブを、もう一球 (角川文庫)
安っぽい感動物語などとは一線を画す、その一貫したスポーツへのクールな態度にこそ、山際淳司の魅力があると言っていいでしょう。その魅力が特に際立つのが、代表作である「江夏の21球」や「八月のカクテル光線」にあるような、何年かに一度の特別、特異な状況下を描くとき。舞台の熱狂が帯びるほど、彼の冷徹な筆致は一層鋭く、そこに繰り広げられる人間模様を生々しく炙り出します。自身は熱狂の輪に加わらず、一歩外へ引いた立ち位置を崩さないのに、いやだからこそか、読者に対してはあたかも当事者になったような錯覚を起こさせ、その瞬間の熱狂を再構築させてみせる。ほとんど芸術に近い手腕です。
上記2編以外にも、バッティングピッチャーやスカッシュ選手など、普段陽の目を見ない役者を題材にした作品が収録されており、実に豊かな構成になっています。
個人的に好きなのは、最後に収められている「ポール・ヴォルダー」。ほとんど「個人」を作品に表さない筆者には珍しく、鬱屈した氏の若き日を対比の材料にも使って、定められた限界にひたすら近づこうとする棒高跳び選手の姿を、哀しく、かつ美しく描いています。
80年代のエピソードばかりですが、どれもスポーツの(人間のと言っていいかもしれない)普遍性を捉えているので、その点を気にする必要はないでしょう。スポーツの世界が好きで、でも一方で騒がしいスポーツジャーナリズムはご勘弁という方は、是非手に取っていただきたい一冊です。
上記2編以外にも、バッティングピッチャーやスカッシュ選手など、普段陽の目を見ない役者を題材にした作品が収録されており、実に豊かな構成になっています。
個人的に好きなのは、最後に収められている「ポール・ヴォルダー」。ほとんど「個人」を作品に表さない筆者には珍しく、鬱屈した氏の若き日を対比の材料にも使って、定められた限界にひたすら近づこうとする棒高跳び選手の姿を、哀しく、かつ美しく描いています。
80年代のエピソードばかりですが、どれもスポーツの(人間のと言っていいかもしれない)普遍性を捉えているので、その点を気にする必要はないでしょう。スポーツの世界が好きで、でも一方で騒がしいスポーツジャーナリズムはご勘弁という方は、是非手に取っていただきたい一冊です。
全力でスローボールを投げる
北尾トロさんの本はあまり読んだことがないけど、表紙がかっこいいので思わず手にとってしまった。立ち読みで済ませるつもりだったが、グイグイ引き込まれてレジに直行。
喫茶店で読んだけどいいねえ。ブラジャーしたり、ネットカフェで年を越したり、ブルーギルを釣ってみたり…50歳のオヤジがバカバカしいことを真剣にやってる姿が愛おしくなってしまった。まだ30代だけど、毎日ピリピリして生活してるのがあほらしくなる。ホッと一息つけました。
読んだらちょっとだけ元気になった。北尾トロさんありがとう!
喫茶店で読んだけどいいねえ。ブラジャーしたり、ネットカフェで年を越したり、ブルーギルを釣ってみたり…50歳のオヤジがバカバカしいことを真剣にやってる姿が愛おしくなってしまった。まだ30代だけど、毎日ピリピリして生活してるのがあほらしくなる。ホッと一息つけました。
読んだらちょっとだけ元気になった。北尾トロさんありがとう!