戦争の悲惨さを描くだけでなく、遺品探しをする人、遺族、あるいは加害者（米兵）の心情までも語られる。
「遺品」が掘られたところから産まれる、「事実」の力。
ネガティヴなイメージから相手への慈愛まで拡がりうる想像力が、かけめぐる。
読み手も、さまざまな立場を黙考し、時代を探求し、夏空を駆けめぐらなければいけない。

児童書にしては深く重いが、小学校高学年から中学生の課題図書にふさわしい。
文科省推薦にすべき、読むべき本。

　著者は前回「妻と飛んだ特攻兵」で私たちが知らなかった驚くべき満州での戦前戦後の実態を書いてくれました。なんて知らされてないことがあるのだろうと驚愕の本でした。
こんど出版されたこの「ガマー遺品たちが物語る沖縄戦」もまた同じ感想を持ちました。
平和憲法が危なくなっている今こそ知らなくてはならない沖縄戦の実態が児童向けに著者のやさしい目で描かれています。
多くの人たちに読んでほしいとこころから思いました。