神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)
読んだのは、28歳のころですかね。月給も安くて1冊500円は結構きつかったけど全巻買って、仕事の合間や通勤電車のなかで読みました。
ストーリーは、太平洋戦争も末期の兵営が舞台。徴兵された新兵の主人公が、天皇の軍隊による人格の否定や人間的権利の剥奪に徹底して抵抗する様が描かれています。抵抗の武器は論理。全巻通して軍規や軍法をめぐり非常に精緻な論理の解釈や下士官や将校との論争が描かれています。これは見もの(読みもの?)です。天皇の名による軍規や軍法を逆手に取って兵の権利を論証し主張する。天皇をバックにしちゃうから上官も応ぜざるを得ない。こうして論争の場に引きずり出された軍隊は、決して一枚岩の組織ではなくレンガ積みの巨大な楼閣として正体をあらわにします。ここそこで展開されるレトリックには、ぞくぞくします。
天皇の軍隊への二等兵の抵抗。ここに人間としての抵抗の原点を探ろうとした、著者の思いもまた知るべしです。
付け加えて、兵営内のおかしな慣行や、そこで生きる兵隊たちの人物描写、心理描写もなかなか興味深いものです。
著者の大西は、莫大なエネルギーをこの作品に注ぎ込み完成にいたりました。そのモチベーションも興味をそそられるところです。もちろん、天皇制と旧軍への批判もある。しかし、もうひとつ、著者がかつては立場をともにした日本共産党とその文芸活動への痛烈な一撃たらんとこの作品を上梓したと考えるのは私だけでしょうか。これだけのもの書けるものなら書いてみろ!てな意識も多分にあったと思います。
読んだぞー!って叫びたくなるほどの満足感に星5つです。
ストーリーは、太平洋戦争も末期の兵営が舞台。徴兵された新兵の主人公が、天皇の軍隊による人格の否定や人間的権利の剥奪に徹底して抵抗する様が描かれています。抵抗の武器は論理。全巻通して軍規や軍法をめぐり非常に精緻な論理の解釈や下士官や将校との論争が描かれています。これは見もの(読みもの?)です。天皇の名による軍規や軍法を逆手に取って兵の権利を論証し主張する。天皇をバックにしちゃうから上官も応ぜざるを得ない。こうして論争の場に引きずり出された軍隊は、決して一枚岩の組織ではなくレンガ積みの巨大な楼閣として正体をあらわにします。ここそこで展開されるレトリックには、ぞくぞくします。
天皇の軍隊への二等兵の抵抗。ここに人間としての抵抗の原点を探ろうとした、著者の思いもまた知るべしです。
付け加えて、兵営内のおかしな慣行や、そこで生きる兵隊たちの人物描写、心理描写もなかなか興味深いものです。
著者の大西は、莫大なエネルギーをこの作品に注ぎ込み完成にいたりました。そのモチベーションも興味をそそられるところです。もちろん、天皇制と旧軍への批判もある。しかし、もうひとつ、著者がかつては立場をともにした日本共産党とその文芸活動への痛烈な一撃たらんとこの作品を上梓したと考えるのは私だけでしょうか。これだけのもの書けるものなら書いてみろ!てな意識も多分にあったと思います。
読んだぞー!って叫びたくなるほどの満足感に星5つです。
日本人論争 大西巨人回想
時の経つのを忘れ...楽しく読んでいます。
多分何度も読み返すでしょう。
多くの人に読まれるべき本だと感じています。
しかしながら、
この本の価値がわかる人はかなり少ないのではないか?
多分何度も読み返すでしょう。
多くの人に読まれるべき本だと感じています。
しかしながら、
この本の価値がわかる人はかなり少ないのではないか?