言うまでもなく、ロード・ムービーの先駆者ヴィム・ヴェンダースの最高傑作にして、映画史に永遠に語り継がれるべき傑作。既存のＢＯＸ集からの待望の単品セールスだ。
４年もの間、何かに取り憑かれたごとく荒野を彷徨し続けた中年男トラヴィス。行き倒れ状態で病院に担ぎ込まれた男は、何事にも答えず、唯一持参していたのは、１枚の古びたポラロイド写真、即ち、自己のアイデンティティと愛の原点であるパリ、テキサスの風景写真だけだった、、、。
果てしなく続く西部の荒涼で乾いた原風景が、“かけがえのないもの”を失い、魂が空洞化してしまった主人公の心象を表している。
以下、トラヴィスが弟夫婦に引き取られている我が子と再会、確執と和解の後、別れた妻を捜しに行く、ただそれだけの物語であるにも拘らず、１４６分間一分の隙もなく、ストイックかつエモーショナルな雰囲気に心底酔わされる。
観る者全てが一度観たら決して忘れられない、それまで寡黙であったトラヴィスが一転赤裸々に心情を吐露するマジック・ミラー越しの妻とのモノローグは、サスペンスと苛酷さを持ち併せつつ、かって、これほど“痛切”で“深遠”な“愛”の告白があったであろうか、と思わせる名シーンだ。
７０年代、コッポラ、ペキンパー、ミリアスら名監督に重宝がられたハリー・ディーン・スタントンの初主演にして圧倒的な名演と、最も美しかった頃のナスターシャ・キンスキーの２人の、セリフを極力拝した中での表情だけの感情表現が素晴らしい。
特典のトラヴィスのかけがえのない至福の瞬間を切り取った８ｍｍホーム・ムーヴィーは必見もの。
脚本は俳優でもある作家のサム・シェパード（「ライト・スタッフ」！）、音楽はライ・クーダー（「ストリート・オブ・ファイヤー」！）とスタッフも超クール。

クライテリオン版よりシャープに、鮮明にそして今風というのか・・明るくなっています。空なんか真っ青です。でも夕方の雨上がりのモーテルのシーンなど、昔の色合いを残しておいて欲しかった部分も個人的には少なからずあります。デジタル時代にあのフィルムの夜景のトーンはもう古いのかな。でも技術の進歩は感じました。

　私はライ・クーダーの作品をすべて揃えているわけではありませんが、評価の高い『Chicken Skin Music』『Paradise And Lunch』など数枚のオリジナル・アルバムを所有し、愛聴してきました。その後、彼が手掛けたサントラ盤にも興味を持ち、ベスト盤『River Rescue: The Very Best of Ry Cooder』を経由して手にしたのが本作でした。

　ほぼギター1本（一部はヴォーカルやセリフあり）の音楽にも関わらず雄弁で映像的。映画が好きでサントラ盤も買う方がほとんどだと思いますが、もし映画を未見の方やライ・クーダーをご存じない方でも、スライド・ギターの印象的な音色に耳を奪われ、その時々の心情と重なったり、様々な情景が思い浮んだりすることでしょう。映画がロード・ムービーゆえ、旅先などで聴くとなお格別。映画と切り離し、一枚のギター・インスト集として聴いても秀逸です。私は本作を聴くたびに、ライ・クーダーの確かな演奏力と解釈力、豊かな表現力につくづく感心させられます。そして何度聴いても、こう思うのです。”ギターとは、なんと魅力的な楽器なのだろう” と。

　映画と連動したパッケージに魅力を感じる方は紙ジャケなどの国内盤を、パッケージにこだわりのない方は安価な輸入盤をお薦めします。

この映画は、僕が今までに観てきた作品の中で、間違いなくベストワンです。
ヴィム・ベンダース監督作品の中でも一番の出来だと思います。（この後の「ベルリン・天使の詩」よりもずっといい）この作品はいわゆるロードムービーというジャンルであり、ハリー・ディーン・スタントンと少年が車で旅を続けていきますが、その映像が素晴らしい！また、ライ・クーダーのブルース色濃いギター音楽が泣かせます！ラスト・シーンについて、ある女性の友人が「男って本当に勝手だわ」と言っていましたが、僕はそうは思わない。このラスト・シーンは、主人公の男ができ得る限りの、精一杯の愛情だと思います。皆さんも是非ご覧になって、感想をお聞かせ下さい。　

ライクーダー好きです。
だから、彼が80年代にいろんな映画音楽を手掛けた中でも
とりわけスライドギターがフューチャーされている
この「パリス、テキサス」をまず観ました。

冒頭から 無味乾燥の砂漠？のような所を彷徨う赤帽子のおじさん。
そして、そこに付随して流れる幽玄なスライドギターの音。

魅入りました。

ライナーの人も書いてましたが
この映画はライクーダーのスライドギターの音もなくては
成り立たないくらい。
それぐらい、ハマっている。

あとは、ちょっとしたこの商品のディティールについて

商品説明には何も書いてなかったんですが
まず、音源は最新と思われる2009年リマスターなのかどうか？

聴いた感じ
普通に音はイイと思いました。
だから2009年リマスタ音源使用なのかなぁと。
確信は無いですw

できれば、その辺も商品説明に入れてほしかった。