山中貞雄日活作品集 DVD-BOX
きわめてモダーンな演出で、時代劇ドラマにありがちな古色蒼然と
した雰囲気は全くない。
こういう映画を作れてしまう山中貞雄は本当にすごい。
戦場に哀しく散ってしまったわけだが、もし生きて日本に帰って来て
映画監督に復職していたら、絶対「モボ監督」と呼ばれたはずだ。
内容面では人間描写・考察が浅い面も感じられる。
「河内山宗俊」では原節子の弟のあまりの不良ぶりに感情移入
できないし、「丹下左膳」では美人妻を娶った源三郎がなんで浮
気をするのかよくわからない。
こういうところは、それなりに年を重ねれば克服できたはずなの
で、若くして亡くなったのはやはり残念なことである。
しかし、なぜ「人情紙風船」がBOXに入っていないのだあ?
丹下左膳 [DVD]
昭和27年制作の阪東妻三郎版
元祖ハンディキャップヒーローと言えばやはり「姓は丹下、名は左膳」ですよね
こういったハンディキャップヒーローって世界に他にあるのかなぁ・・・
って色々思い浮かべてみましたが
「片腕必殺剣」にしても「盲目ガンマン」にしても「座頭市」以降で
丹下左膳ほど古いモノは思いつかないんですよね
ピーターパンのフック船長とか、悪役には色々いそうですけど
ヒーローとしてはいないかも
こういう本来弱いものが強いものに勝つのを喜ぶ「判官贔屓」は元々日本人独特の感性なんですかねー?
ところで
お話は定番のこけ猿の壺とチョビ安です
手塚治虫の漫画にもなってますね
定番の話だからか手馴れた感じで
思ったより展開のテンポもよく
カメラワークも面白い
めちゃ楽しめるきちんとした娯楽作品に仕上がってます
阪妻の金に目がくらんだり、飲んだくれてたり、ヒモ生活してたりの
ヒーローらしからぬ世俗まみれキャラがいい味出してるし
ヨメ、淡島千景とのツンデレやりとりも楽しい
でも決めるときはやっぱりキメてくれて
チョビ安が人質にとられて、素手で乗り込むラストはめちゃかっこいいですね
ただ、黒沢以前の時代劇は
刀と刀の当たった時の「ガキーン!」って音や
斬られた時の「ズバッ!」って音がないんですよね
本来はそんな音しないんでしょうけど
殺陣でこれがないと物足りなく思ってしまうのは僕だけでしょうか・・・
あと、ひとつ気になったのがお嬢さん(喜多川千鶴)が薹が立ち過ぎちゃうの・・・って点です
あれはローティーンぐらいの設定ですよ実際は、たぶん
「あの歳で人形遊び(そういうシーンがある)やってると寒いですよね」
「何でこういう配役になっちゃったんだろう」
って一緒に見た人と話してたんですが
結論として「敗戦後7年なんで、戦争で若手俳優が死んじゃっていなかったのでは」ということになりました
まぁ婚約相手の柳生源三郎(高田浩吉)も若くないんですけど、こっちはそれほど気にならなかったです
丹下左膳 [DVD]
この作品がテレビ放送したときビデオにとっておかなかったことが大変悔やまれていました。
その作品のDVDが発売となりうれしい限りです。
いろいろ語りたいことがあるのですが、これだけは言っておかなければいけないと思いました。
最後左膳が遊びに行くといって出かけた先は・・・・・・。
このED見るためだけでも買う価値はあるかと。
いい意味でも悪い意味でもすべてがぶち壊されたような気がしました(笑)
使用された曲はブルーハーツ
♪ぼ~く~の~み~ぎ~て~知りませんか~~~?
・・・・・・・・・・まんまです・・・・・・・・・・
丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]
難しいことはわからない。しかし、とても良く出来た娯楽映画だと思う。
登場人物はそれぞれ個性のある、愛すべき人々だし、彼らの会話やヤリトリも抜群に可笑しい。
百萬両の在り処が隠された壷をめぐるストーリーも面白く、またテンポ良く、流れ流れて最後はピタリ!
ときれいに決まる。見た後にとても気分の良くなる、天晴れな娯楽映画!
「昔の日本映画は、ちょっと・・・」とおっしゃる若い人にも是非見て欲しいし、
コミカルなものを極端に嫌う人でなければ、誰にでもオススメできる作品です。