ミミズクとオリーブ (創元推理文庫)
八王子の郊外のミミズクが遊びにくる一軒家で主人公と奥さんは
暮らしています。
主人公は作家で、奥さんは和服のお仕立てをしたりしているので、
出歩いたりすることなんかはほとんどなく、二人は一日の大半を
家の中で過ごしています。
そんな二人の生活のリズムを刻んでいるのは、奥さんの作る美味
しそうなお料理です。
登場してくるお料理は四国では定番のもののようですが、私にと
っては、初耳のものばかりで、そのぶんますます美味しそうに感
じられてきます。
お料理上手で聡明で控えめな奥さん。男の方からみたら理想の奥
さんかも知れないですね。そんな奥さんのもとには、主人公の友
人達がお料理と謎解きを求めて集ってきます。
ミステリーとしては、?という部分といち部もありますが、二
人のまるで漱石の世界を思わせるような暮らしぶりと美味しそう
なお料理には一読の価値があります。
因みに、私は、この本を読んで鰹節派からイリコだし派に改宗し
てしまいました。
告白。―ピュアフル・アンソロジー (ピュアフル文庫)
告白の内容はさまざま。恋愛・友情・感謝・・・
大人になるほど告白することは少なくなります。告白するって気恥ずかしさを伴うものだからでしょうか。
だから、どの告白も、その緊張感が新鮮でもあり懐かしくもあり、面白かったです。
あっという間に読み進んでしまう1冊です。何かを告白しようか迷っているあなた、必読ですヨ
ピュアフル・アンソロジー もうひとつの夏休み。 (ピュアフル文庫)
確かにそれぞれ夏休みを題材にした作品だが、とりわけ夏休みを感じられるような作品と言うわけではなかった。
ただ、個々の作品はどれも素晴らしい。
青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)
ベンチャーズのパイプライン。
当時高校入学直前の主人公に響いた衝撃。
四国の田舎のロック少年たちの高校生活3年間の青春時代を描いた快心作。
当時のことを知らない世代も楽しめる。
四国のなまりも心地良く、こんな高校生活も楽しそうだなと思います。
芦原さんの文章はすなおで読みやすくていいですね。
雪のマズルカ (創元推理文庫)
寂寞とした/冬の朝は何も包みこまず何も隠さず~
そんな雰囲気の中にこの探偵はたたずんでいます。
夫とは死別した元保育士。学生時代はテニスをしていて、そして(良くあることですが)新聞は読みません。黒のカシミヤのコートも持っていますが、普段着は麻のジャケットにジーンズ。風邪を引いたらほうじ茶とタータンチェックのひざ掛けを愛用します。丁寧なコトバ遣いをするので、小学生か中学生くらいの女の子のお母さんに見えるかもしれません。
そんな一見ごくフツウの41歳の女性。
そんな探偵は、解決したとしても快哉を叫べない事件に引き寄せられ、癒しを受けることなく、また、古いビルの北向きの部屋に戻っていきます。バッグにはリボルバー/事務所の引き出しにはナイフとメリケンサック/自宅には4kgの鉄アレイ...
芦原すなおらしいユーモアもありますが、「ミミズクとオリーブ」のあの温かみとはかけ離れた世界の話です。