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靴みがき [DVD]

ヴィットリオ・デ・シーカ監督は、ネオ・レアリズモ派の旗手として、戦後の混乱期のイタリアの底辺を支えていた人々を描写して庶民から絶大な支持と共感を得たが、この作品でも社会の矛盾や恥部を抉る鋭い手腕が冴えている。その容赦ないストーリーの展開と悲惨であっけない幕切れに腹立たしくもなる。

貧しくも夢を持って暮らしていた靴磨きの少年二人の友情は、無実の罪を着せられてから大人達の欺瞞やお役所仕事によって引き裂かれ、理不尽な裁判で彼らは有罪の判決を受けてしまう。『自転車泥棒』（１９４８年）と同様ハッピー・エンドとは縁の無い至って辛口の作品であり、前者と並んでデ・シーカ監督が社会の改革に自身の作品を通して一石を投じた力作だ。また現代の豊かさの中に私達が忘れてしまいがちな社会のあり方について、今一度考える機会を与えてくれる優れた映画でもある。

奇しくもネオ・レアリズモは戦後の経済復興期を迎えて映画界からも消え去っていった。尚この２作のセリフはどちらもローマ方言で書かれていて、ややぶっきらぼうで皮肉っぽい言い回しが多い反面、常に人間的な温かみを感じさせるローマの言葉の特色を駆使して、登場人物の生き生きとした人情の機微を表現し尽くしているのも特徴のひとつだ。１９４６年の白黒作品で、他のレビュアーの方からも指摘があるように、旧盤は９５分で２００６年に修復されたオリジナル・マスターは８８分になっている。イタリア語の原題は『シュシャ』で英語のシュー・シャイン、靴磨きのイタリア語化。