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スティームタイガーの死走 (角川文庫)

霞 流一
おすすめ度:★★★★★
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息抜きにピッタリ。軽く読めちゃいます。
おすすめ度 ★★★☆☆

この本最後まで読んで「ああ、そうだったのか!」っていうサプライズがあるのだが、これで救われてるね。だって、密室殺人の謎にしても、ズル剥けの『アカムケ様』の死体の謎にしても、列車消失の謎にしてもあまり感心しなかったもの。それでもおもしろかった。話自体がなかなか読ませる。ノンストップ本格推理という宣伝文句もあながち的外れではないと感じた。
おもしろいのは、本書の時間進行と読書の時間とが微妙にリンクしていること。章の冒頭に経過時間が記されているのだが、それがほぼ合致していた。これは作者のあとがきを読んで知ったのだが、これを構想の根本において本作を書き上げたそうなのである。だから、すごく苦労したそうな。
かのヒッチコックの「バルカン超特急」のように次々と畳み掛けるように事件が起こり、新たな展開が生まれ、あれよあれよのうちにラストにたどり着いていた。バカミスとまではいかないが、適度にバカ要素が入っていてよろしい。なんせ、列車を乗っ取った男たちの要求が駅構内でのキャンプファイヤーと花いちもんめなんだもの。こういうの普通考える?またそれが、物語の中では必然なんだから凄いではないか。
軽くて読み応えという点ではからっきし駄目だけど、息抜きに読むのにはもってこいのミステリだ。



蒸気機関車「虎鉄号」殺人事件
おすすめ度 ★★★★★

動物テーマの霞ミステリ、本作は虎ですが、
虎づくし、という感じは『デッド・ロブスター』等に比べればそれほどしません。
(解説を読んで初めて気づいたのですが)三人称文体によることが大きいかも…。

動物色やギャグ度はそれほど高くないものの
(ギャグ度に関しては決して低くはありませんので念のため)、
そのぶんミステリ度は高くなっています。
『オリエント急行』をはじめとするミステリのパロディは
『シベリア超特急』にまで及んでいますし、大技トリックも炸裂しています。

消える列車も、もはや使い古された設定ですが、
本作ではギャグミスであること、さまざまな要素・伏線を多層的に配することで、
かなりうまく読者への衝撃を増すことに成功していると思います。

ただ、走る密室の謎についてはもうひとつ。
作者自身が鉄道マニアだったので、実体験に基づくものかも知れませんが…。
アカムケになったこと自体はなかなか凄い…!



本格ギャグミスの死走
おすすめ度 ★★★☆☆

なるほど、不思議なフィーリングでしたが、良くできた作品です。
密室殺人、列車消失など、大掛かりなガジェットをおバカに料理する醍醐味に
舌鼓を打ち、気を緩めているところへ、最期に来るのですね。本格トリックが。
作中では「アカムケ様」に一番笑いました。



トリック、ギャグ、ペダンドリーの奔流
おすすめ度 ★★★★★

霞流一は不思議な作家で、あまり笑えないギャグの多用(ただし、稀にキレイに炸裂する)と特異な人物配置、クネクネ複雑なストーリー、饒舌なペダントリーを追って読み終えると、論理的な本格ミステリであったことに気がつく。そしてなぜか間をおいて何回も読み返したくなるという特性を持っており、私はこの人を現代のギャグ版小栗虫太郎だと思っている。

この作品は中ではもっとも読みやすい。列車消失をテーマにしているせいかテンポと疾走感があり、珍しくギャグもピタピタ決まっている。しかも、一般受けと引き換えに、いつもの偏執的なこだわりを寸毫たりとも犠牲にしていないところが凄い。ペダントリーもトリックも満載。終盤のドンデン返しのつるべ打ちには茫然とする人のではないだろうか。


読者を選ぶ怪作
おすすめ度 ★★★★☆

この伏線がこのギャグに着地するのか...というようなところで実によく作り込まれている。
読み返しに耐える、本格マインドあふれる傑作。
ただ、作中の「事件」や「トリック」だけに着目するならあまりにおバカ。
読者を選ぶ怪作というべきでしょう。



はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★

これが発売されるのを心待ちにしていました 。このアレンジが秀逸の一品から感じたことは、素晴らしい才能の奥深さ、ということです。
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!



霞流一 動画

霞流一



岡本倫 霞流一 西村京太郎