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+ 神戸在住 10 (10) (アフタヌーンKC) +

神戸在住 10 (10) (アフタヌーンKC)

木村 紺
おすすめ度:★★★★★
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でも嫌いになれない
おすすめ度 ★★★★☆

最後まで主人公を好きになれなかった。
桂の友人たちは皆一様に桂を愛し、不器用な人も不器用なりに体全体で
ぶつかってくるのに、桂本人は一歩引いて高いところから相手を
分析しているような感覚が最後まで消えない。本来なら素晴らしい友人達に
囲まれているというだけでも桂が魅力的な人物であることの
説明足り得るはずなのだが、物語の進行が主人公の独白形式であるが故に、
どうしても「めんどくさい女だな」とか「何様だよ」と感じてしまう。
とはいえ、そう感じた自分にさえも最終巻まで読ませる力をこの物語は
持っているし、なにより幕の引き方が素晴らしい。
作者が登場人物への溢れる愛を上手く抑えながら、幸せな結末を
迎えることができているのは、読んでいるこちらも嬉しい気持ちにさせられる。
『ヨコハマ買い出し紀行』の美しい幕引きを思い出させるような
この終わり方がどれだけ素晴らしいかは、同じように登場人物を愛し、
しかしそれが故に悲惨な結末になってしまった『彼氏彼女の事情』と
比較するとよく分かるだろう。
そしてもう一度通して読んでみて、やはり中盤の阪神大震災のエピソードは
とてつもなく秀逸で、歴史の教科書に付録として加えても良いほどの
完成度だと感じた。



ついに完結
おすすめ度 ★★★★★

原作終了からも前巻出版からもすでに2年ほど経ってしまいました。
出るのにここまで時間がかかった作品はあまり記憶がないんですが
新たな書下ろしを5編も追加して満足の出来る形で終わっていて
とてもうれしかったです。
というのも本誌で読んでいた時、桂の卒業&就職の意外に簡潔な終わり方で
寂しさを感じるほどだったんですが追加の書き下ろしで桂以外の目線
(最後を迎える前の日向さんの記憶や後悔していた鈴木さんの暗い過去等)
を描くことによってより深くいろいろの方向からの神戸在住を楽しむことが
出来る終わり方になったと思います。
あとそれぞれの人物のその後も丁寧に描かれていて改めて作者の独特でいて優しい
目線を感じることが出来ます。
僕自身、今現在も舞台の近くに住んでることもありますがこの作品を通して
神戸という雑多な街の魅力を再確認または知ったという人は多かったのでは
ないでしょうか?
ほのぼのだけではなく暗いテーマもしっかり描いたこの作品をまだ読んでいない人
にはぜひ読んでほしいと思います。



理想の大学生活に隠された心の傷
おすすめ度 ★★★★★

 作者が深みのある人物像を何人分も描き分けており驚く。
 登場人物の性格描写はリアルで緻密。しかし、あからさまな悪意は消し去られている。
 現実の大学の一大勢力である無気力で怠惰な学生もわずか一人しか登場しない。
 才色兼備で優しい博士後期課程の先輩もいる。楽しく友愛に満ちた理想の大学生活だ。 
 それが逆に日常的でささいな負の感情を浮き彫りにして強烈な印象を残す。
 誰にとっても身に覚えがあるはずの負の感情だ。

 また、登場人物の多くは心に傷を負った人たちでもある。
 主人公の友人でムードメーカーの鈴木さんも単純に明るいだけの女の子ではない。
 素朴な絵柄と学生たちの明るいギャグ等で巧妙に打ち消されてるが、物語の芯は尾を引くように暗くて重い。
 
 物語がほのぼのとして見える一番の理由は、主人公が過去に悲惨な経験をあまりしていないからだろう。肉親との別離や持病のある弟への負い目などは描かれている。しかし、それらはもの心がついた頃のあいまいで幼い記憶。
 対して主人公の友人たちのケースとして描かれるのは、世間をリアルに見ることができる年齢以降に経験する震災、友人の死、複雑な家庭環境、身体の障害、疎外など、生々しい記憶を伴うものだ。
 主人公は、かつて二回、悲惨な経験を通じた友人たちの連帯感のようなものに触れて、「わたしには何もないなぁ」とつぶやいている。
 悲惨な体験をしていないために、主人公は友人たちの心の傷を心底から理解しているわけではない。もらい泣きをするシーンが頻繁に描かれているが、それは本好きゆえの感受性だろう。そんな主人公の目を通して語られることによって、友人たちの劇的な体験はオブラートで包んだように苦味を薄められたものになっている。
 神戸在住は全10巻を通して、一見物語のスタイルに変化が無いように思えるが、震災ボランティア編前後くらいから、マイノリティが登場する話が増えている。おそらく意図的なものだ。主人公は自然体で接しているが、現実世界ではマイノリティへの偏見は少なくはない。

 物語の後半、尊敬する人の突然の死によって、それまでにない激しい感情のうねりが描かれる。友人を心配して気を使ってきた主人公が、今度は心配してくれる友人に対して心を閉ざし、よそよそしい態度を見せる。
 また、最終巻で書き下ろされたエピソードでは、「尊敬する人」の視点から安らかな最期が描かれる。安らかな死とその死への激しい悲しみ。
 これらの対比で作者が何を言おうとしたのかは分からないが、読む人によっては、人が人を理解しえないという当たり前の事実について改めて考えるかもしれない。

 この物語では全巻を通して、もう一人博士後期課程の学生が登場する。
 文系の男子学生が参加している震災ボランティアの拠点に、大学から資料の束が届く。
 「将来は大学の先生ですか?」と仲間の女子高生が尊敬の眼差しで問いかける。
 「そんな、いいもんとちゃいよるで」と学生は苦笑して答える。
 何気ないやりとりだ。
 最終巻では、「日本では研究者の立場が弱い」とも口にする。
 彼には婚約者がいる。
 “諸々の事情”で結婚のめどはたっていない。“諸々の事情”は分かる人には分かる。
 切実な問題に日常会話の中でサラリと触れている。

 単純にほのぼのとした物語ではない。
 誰にでも分かる直接的な表現が好まれる世の中だから、なおさら貴重に思える。
 作者の真意はともかく、自分なりの読み方を試し、自分のまわりの人たちの心について考えてみるのも悪くはないだろう。



ロングランでした
おすすめ度 ★★★★★

全体を通して言えることなんだけど、体力の要るマンガだなぁ、といつも思う。何故体力か、というと、涙が止まらないから。日向さんや主人公のお祖母ちゃんの死、震災の話は涙を拭くものが無いと読めない。

10巻の気に入ったフレーズは「涙はいつか風に乾いていた」。そうなんだよなぁ、時間の経過とともにこの強烈な印象は薄らいで、否、無意識に忘れようとしているだよなぁ。

かといって涙を誘うばかりではない。日常のスケッチをよくもここまでうまく描いたものだ、というものがある。日常の中の悲しみや嬉しさ、些細なことでも自分の中での発見を紡ぎ出したらこういうマンガになるのか、という、作品。

「彼女達のおかげで、私はこの街を好きになれました。」作中より



深い満足感に包まれる最終巻
おすすめ度 ★★★★★

何度も発売が延期されもう読めないかと思っていた10巻が、ついに出版されました。
最終巻にふさわしく、今までの登場人物たちのほとんどが顔を出します。
(本編に出てこない人にも、カバーをはずせば会えます)。
そしてわずかに「わだかまり」の残っていたエピソードにもきれいに決着がつきます。見事です。

アフタヌーンKCは、以前『ヨコハマ買い出し紀行』の最終巻を、
いつでも買えるからと購入を後回しにしていたところ、
なぜか最終巻だけが品切れになってしまい、入手に苦労した覚えがあります。
時間のあるときにゆっくりじっくり読みたいと思っている方も、
これから『神戸在住』を読んでみようかなと思っている方も、
とにかく今すぐ迷わず10巻を買っておくことを強くおすすめします!



大変良く出来ています。
おすすめ度 ★★★★★

わたくしめもついに買いましたよ 。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。



木村紺 動画

木村紺



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