ファースト・プレイス・アゲイン
ポール・デスモンドの名前を知らなくても、デーブ・ブルーベックのテイクファイブはかつてTVコマーシャルにも使われご存じの方は多いはず。
このテイクファイブを作曲したのが、ブルーベックのグループで長年アルトサックスを担当したポール・デスモンド。
彼のどこかクールでソフトで都会的なアルトサックスの音はまさにワン&オンリーというのか実にオリジナリティに溢れ、まず他に同じような音を出すアーティストはいない。
ちょっとジャズを聞きなれた人なら、デスモンドの演奏はワンフレーズ聞けばわかるはずです。
そんなデスモンドが米国プレイボーイ誌の人気投票で連続一位に輝き作ったアルバムが、この「ファーストプレイスアゲイン」です。
長年ピアノのデーブ・ブルーベックとの仕事が多かったデスモンドですが、一方ギターのジム・ホールとも多くのアルバムを作っています。
そしてこのアルバムはそのジム・ホールとのコラボレーションでも最高峰の演奏を聞かせてくれます。
粋な名曲小唄を中心に、いつも変わらぬデスモンドの美しいアルトが唄います。
こんな素敵なアルトを吹くデスモンドは一見眼鏡をかけた生真面目な教師か事務員のように見えますが、実は大変な酒豪で常にアルコールが離せない人でした。
かつて彼が来日した時にサインをもらおうと楽屋まで行ったのですが、演奏終了直後なのに真っ赤な顔をしてベロベロでとてもサインを頼める状態ではありませんでした。
そんな人間らしい彼のエピソードを聞いて、一層輝く彼の演奏を楽しんで下さい。
イージー・リヴィング
デスモンドの凄さは、ほんの4小節聴いただけで、デスモンドとすぐに分かることだ。で、このアルバムは、デスモンドの音の美しさ、歌心満載。決してイージーリスニングではない。理屈っぽいジャズではなく、デスモンドのように美しい、うっとりするジャズがいい。
Take Ten
僕も名盤だと思います。ポールデスモンドのプレイスタイルはコルトレーンやマイルスなんかと対極にあり決して派手ではありませんが流麗で無駄のないフレーズの組み立て、驚くほどシンプルで美しいメロディを瞬間的に溢れるように奏でる、唯一無二なものです。センスの塊のようなミュージシャンです。僕もほぼ毎日のように聴いてますが心を掴んで離さない演奏は素晴らしいの一言です。
それにしても一体評論家と呼ばれる皆さんは何をもって名盤と位置付けしているのか?もっと掘り下げて聴くべきでしょう。僕も松本さんの意見に同感です。