Riders on the Storm
ドイツのゴシック・トラッドメタル、ディ・アポカリプティシャン・レイターの6th。2006年作
どのアルバムの濃密で、ある意味ハズレがないというこのバンドであるが、本作もまた素晴らしい。
のっけからエピックなゲルマン魂で激しくたたみかけてきますよ。シンフォニックで大げさで、
暑苦しくてキャッチーでありつつ、そこに本気の叙情も感じられる。中世的なロマンティシズムに
シンフォニックメタル要素と、モダンなヘヴィロック感覚と分裂症気味の唐突さでもって、
ごった煮なのに嘘くさくないという、その力押しのシアトリカルメタルは、完成の域に近づいている。
素晴らしい、すごい、にんまりだ…あらゆる賛辞を贈りたくなるが、ちょっと待てよおい、と我に返る。傑作。
Have a Nice Trip
ドイツのゴシック・トラッド・デスメタル、ダイ・アポカリプティシャン・レイターの2003年作
ジャケのメンバー写真からも一癖ありそうな連中だが、サウンドはのっけからブラックメタルばりに疾走、
…したかと思えば、はっするような泣きの叙情メロディが現れて、なんとも美しい。
勇壮なドイツ語の歌声とともに、中世を思わせるような幻想的な世界観とほのかなトラッド風味、
そして暴虐さとシンフォニックさとの極端なまでの対比が面白い、ある意味、妖しいセンスに満ちている。
ようするに、ロマンにあふれた知的な変態というべきか、異色のゲルマンメタルバンドである。
ボーナスにはMANOWARの“Master of the Wind”のカヴァーを収録。これがまた美しい。
Moral & Wahnsinn
ドイツのゴシックデスメタル、ダイ・アポカリプティシャン・レイターの2011年作
今作もジャケからして妖しさプンプンであるが、メロデスばりのツインギターで疾走開始、
…したと思いきや哀愁溢れるアコースティックギターとシンセにドイツ語の歌声が乗り、
すでにのっけからシアトリカルメタルが全開。この異様なクオリティの高さはなんなのだ。
無茶な展開と本気のエピックさに知的なはっちゃけが合わさった、シンフォニック叙情メタル。
中世ゲルマントラッドの世界観とクラシカルな優雅さが、現代的なごった煮センスで絶妙にハマって、
濃密でありながら美しく叙情的という、他に類を見ないサウンドに仕上がっている。
ある意味プログレッシブな深さ…そして、なにも恐れぬセンスに包まれた驚異の傑作!
ザ・グレイテスト・オブ・ザ・ベスト
完全に個人の嗜好ですが"eruption"が収録されていないのだけが残念です。
しかしながら、頑強さと繊細さの混在する彼らの世界観は十二分以上に堪能できる一作だと思います。
黙示録の騎士達の蹄鉄の響きを未体験の方々はぜひ一聴いただきたい。