葬列 (角川文庫)
男寡婦の冴えないヤクザとスネに傷持つ三人の女達が凶暴なヤクザ組織相手に派手な大立ち回りを演じるアクション怪作。
これ以前に同著者の「眩暈を愛して夢を見よ」を読了していたので、そもそもこの作者を信用していない、ながらも“禁断の果実”に手を出すような心境で本書を手に取っってしまった。う~ん、適度に読み易いし物語世界にも難なく入って行ける。ただし情景描写やキャラクター設定、ストーリーテリングにとてつもないユルユルさを感じつつも。しかしながら後半のアクションシーンは近年私が読んだ銃撃戦シーンの中でも“特”がつく疾走感と迫力。この時点で本作品に対する評価が星2つくらいまで高まる。それまでは星1つだったので。そして、そのまま後日談的なエンディングまで星1つと2つの間を行ったり来たり。
で、ラスト一行。
やられた。
快心の一撃。
たった一球・一撃で凡戦が名勝負になった。そんな感じ。
逆転満塁ホームランは心地好い読後感を残して場外へ飛んでいった。
眩暈を愛して夢を見よ (角川文庫)
最近読んだ小説の中で、めちゃくちゃ面白かった部類に入る。アンチミステリだと思う。途中までは普通の事件で、半分くらいからはぁ?と思う記述が続き、四分の一くらいから物語は完全に崩壊する。
その崩壊ぶりが最高。メタメタメタと連鎖する構想。うる星やつら2 ビューティフルドリーマー、パーフェクトブルーを合体させ、小説で映えるように非常に上手く再構築させたような物語。最高でした。
彼岸の奴隷 (角川文庫)
「このミス」で11位ということでどんなものか読んでみました。
帯びにもあるように暴力とセックス、犯罪が次々と描かれていきます。登場人物のすべてが狂っており、胸が痛むほどの過去を背負って生きています。
タランティーノの世界が好きな人は読んでみてもよいかも。
僕、結構好きです。