遺恨あり 明治十三年 最後の仇討 [DVD]
藤原竜也さん、大好きな俳優さんの一人です。
リアタイでドラマを観た時の衝撃!! この感動を忘れることが出来ず
DVDついに購入してしまいました。
家族を惨殺された恨みは、主人公=臼井六郎のトラウマになり、
美しく幸せだったかも知れない貴重な人生を、「仇討ち」だけのために
生き続けた六郎。
そして、恋心を心に秘め 陰ながら六郎を支え続ける なか。
そんな人生・・・あの動乱の時代には珍しいことでは無かったかも知れない。
是非、一度 ご覧になってください。
藤原さんの演技、迫真に迫っています!!
ヒマラヤの風にのって 進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったこと
還暦の誕生日から2ヶ月の若さで永眠された吉村達也氏の遺作。
彼の死を受け入れることができるまで3ヶ月という日数を要した私の疑問を、この作品で解決してくれた。
未完に終わったシリーズ作品の結末が知りたくてずっと待っていたが、結局どうなるんだろうという不安は残るが、最期の日を家族と迎える心構えや病人としての考え方など、いろいろ参考になった。
ご冥福をお祈りします。合掌。
妖精鬼殺人事件 (魔界百物語01)
「魔界百物語」というシリーズ名ですが、京極夏彦のような重たいオカルトテイストではなく、精神科医、氷室が心理から事件を読み解く、現代的でスピーディな一冊です。
冒頭、離婚相談に来たはずのコスプレふうの女性が、氷室に向かって9.11事件陰謀論をぶちあげるところから、いっきにひきこまれます。
この妄想がふくらんで社会問題にリンクしてゆくのか、と思わせられたところで、一転、鮮やかに、ストレートな団地の人間関係にスライド、この女性の子どもが墜落死する事件が。目撃者の女性のリアルな目線に続き、あたかも眼前で起こるように活写される事件の流れ。
今回の事件自体は、世界史的陰謀や社会の暗部とはかかわりなく、団地の人間関係を中心にほぐれてゆき、やがて「魔界」を暗示するQAZも後ろ姿的に登場しますが、氷室の推理でほぼ全貌がクリアーに解きあかされます。冒頭の女性の行動の意味、さりげない子どもの言葉、貼り紙、などすべてが意味ある伏線として結びあい、ジグゾーが組み合わさるように緊密に人間の心理模様がたちあがってゆくプロセスはスピーディでスリリング、とちゅうで一度も本をおくことができませんでした。
一連の事件は、これだけをリアルニュースとして読めばすこし規模の小さなものではありますが、「妖精鬼」という童話的テーマの導入、また背景に、今後、シリーズ背景を広げてゆくであろう超能力美女や天才少女らのさりげない登場ふくめて、壮大なフィクションとして独自の世界観を予感させ、著者の「ライフワーク」になるのだろうと期待できます。今回は特にその前奏曲かと思います。
著者あとがきを読むと、アナログ的時代から、デジタル化情報時代に切り替わり、主人公の立ち位置や世界観も思い切って一新する必要にせまられた、とあります。それにともない、オカルト色より心理分析とミステリの原点(著者のお得意の二回転半ひねり)への回帰、と満を持して放った新シリーズ、時代をもひとの心の病理をも射貫いている鮮烈なミステリだと感じました。