ゴールドラッシュ (新潮文庫)
柳美里さんの描く「夏」は、好きです。
とても生々しくて、ムっとするようで、好きです。
眩しい陽光と緑の煌きは美しく映え、蝉の合唱が鼓膜を揺らす、生と性に満ち満ちた夏。
けれど、太陽の光が強すぎるほど眩暈を起こす人は増え、そして影と光のコントラストは強くなっていきます。
「柳美里さんの描く『夏』は、好きです」と先述しましたが、私は柳さんの描く「夏」に拒絶された「影」が好きなのかもしれません。
少年は黄金町の影に呑みこまれたのか、夏の日差しに飲み込まれたのか。それとも、定食屋の二階で吸った麻薬に侵されたのか。
いずれにしても、彼の感覚が「麻痺」し、「影」に落ちてていったことは間違い無いと思います。
この作品が書かれたときから結構な月日が経ち、現在では小学生が同級生を殺す、という事件まで起こってしまいました。
これは哀しむべきことであるし、これらの少年犯罪についてはこれから深く考える必要があります。
私はこの小説の主人公とごく近い年齢です。この世代の男の子としては少年は随分大人びているような気もしましたが、読み進めていくうちに「実のところ背伸びしてるだけ」、という印象を受けました。
少年が父を「殺すこと」が重要なのではなく(勿論たいへんショッキングなことですが)、少年が父を殺すまでの「経緯」と、少年が父を殺して「それから」が重要なのだと、私は思います。
最後のシーン、檻の向こうの動物に少年のフリーズしていた感覚は溶け出します。
私にはどうも幸福な情景には思えませんでしたが、それでも少年の溶け出す心を一瞬でも垣間見ることが出来、救われる思いでした。
ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル
アメリカのゴールドラッシュのとき本当に成功した人は金を掘らなかった、金を掘る人へ道具・食事・住まい・銀行・通信・交通などのサービスを提供した人が成功した。そのうちの一人「リーランド・スタンフォード」は鉄道王と呼ばれ富を浪費するのではなく一人息子の死を契機に「スタンフォード大学」を設立した。この大学があった為に現在のアメリカの「IT革命」と呼ばれる第二のゴールドラッシュが起きた。グーグル、ヤフー、ネットスケープ、シスコシステムズ、サン・マイクロシステムズなどのベンチャーキャピタルが生まれた。これらの企業はインターネットを利用する人々へのサービスを提供して成功したいう点でかつてのゴールドラッシュの時と同じことが言える。歴史は繰り返すのだ。人と同じ事をしても成功はおぼつかない。デイトレード、FX取引も同じだ。一部の人は儲かるかもしれないがほとんどの人は損をするか思ったほどには儲からない。取引する人への新しいサービスを提供した人が成功するのだ。大手企業がすでにやっているサービスを真似てもダメ、誰も考えていないようなサービスが必要だ、スピードが大切である、真似されてもすぐ引き離せるような独自の技術力も必要だ。中国ブームで進出企業は多いがいまさら中国に行っても儲からない、それらの人々へのサービスを提供する方が儲かる確率は高い。日本政府は様々な政策を打ち出しているが入れ物や組織を作って補助金を出しただけではうまくいかない。日本に必要なのは「新しいビジネスモデルを作り出す新しい発想」である。