李歐 (講談社文庫)
男女関係無く、この小説の魅力は主人公達の生き様だと感じます。
高村薫の小説は好きでほとんど読みましたが、細部や社会環境は極めて現実的でありながら、内容は現実的には考えられない、けれどカッコイイ。というのが男の俺から見た感想です。
確かに同姓愛的な要素は、この作品でも他の高村作品でも多少なりとも入っている事が多いのですが、けれどそれを感じさせない。正確には不思議と嫌悪させられる事が無い。俺には何故か段々と、それが普通の事の様に思えてくるのがちょっと怖い(笑)
たぶん、人間関係の描き方がすごく奥が深いからなんだろうけど。…因縁も含めて人と人が繋がっていく中に人間味を出しながら、枝葉のようにさらに広がりを見せて、そして再び繋がっていく。
実は、この「李歐」の元になっている「わが手に拳銃を」をかなり前に読んでいます。
「李歐」が改めて加筆修正をおこない手直しされている作品だとは知らずに購入し、読み始めてみて気がついて事実を知ったという状態だったのですが、結構大胆に改稿されてる所があったり若干の登場人物の設定変更もあるので、読み比べも面白いと思います。
ただし物語を通して結末まで、「李歐」の方が面白いとは思いますが。
結末に関して言えば「李歐」で良かったと思ったし、俺個人的にはこの作品の方が納得もできるしスッキリしました。
高村作品の中では珍しい結末だけど、たまには、こんな結末もありだな。
レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫)
グリコ・森永事件に題材を取った『レディ・ジョーカー』も下巻で
大詰めを迎えます。日本の政・官・財と陰の勢力の癒着が暴かれ、
それに立ち向かう男たちの焦燥と無念と絶望が交響曲のフィナーレのように
圧倒的な迫力で描きだされます。
ラストはやりきれないとしか言いようがありませんが、
高村さんは一抹の救いを読者に用意してくださったようにも思います。
手元にあるハードカバー版と読み比べてみると以下のような改稿もなされています
(これはほんの一部。読者の興をそがないよう、簡潔な説明にとどめます)。
1.ラスト近くの合田の独白がより生々しく、ほとばしるような言葉で描かれている
(合田ー加納の関係が気になる方たちは驚くこと必至です)。
2.事件後、合田とある人物の対話がそっくり削られている。
欲をいえば「レディ・ジョーカー」チームのその後をもっと書いて欲しかった、という気も
します(物井とレディ、ヨウちゃんは一応幸せになれたのでしょうか…)。
ラスト近く、物井清三が記者の久保に向ける視線の呵責ない厳しさは、
現代日本に高村さんが向けた視線でもあるように感じました。
レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)
必ずしも未解決事件の真犯人に迫っているわけでもないが、確実に事件の核心をついているような気がする。
題材はグリコ・森永事件だが、警察無線の傍受、「部落解放同盟幹部」からの脅迫テープ、アベック襲撃事件、週刊現代記者が指摘した「株価操作説」など、かなりディーテールな要素まで盛り込まれている。
そして、事件の不可解性、複雑性。解放された際の江崎社長の憔悴しきった顔は、誘拐だけによるものとは思えず、かなり重い何かを背負っているとも思わせるものだっと記憶している。
社長が背負ったものとはなんであったか、犯人グループは何によって結ばれ、何を目的としていたのか、レディジョーカーはそういった疑問の核心をついている。
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新入社員は便器になっちゃいます。
パイパンは明らかに肌の色の違う人で、他は没個性的であった。
でもその明らかなギャルな人があんまり影が薄かったなあ。
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観ました
あの原作を二時間で満足のいく作品に仕上げるなんて、基本無理だしと思いましたので。感想としては役者の皆さんが原作の登場人物のイメージに、結構合ってたのでは?と思います。特に渡さんと吉川さん合ってたなーと思います。このキャストで連続10回くらいのドラマにしたら、すごく良い作品ができるのでは?と思いました。色々言われてる徳重さんも、合田さんのある種の透明感みたいなのと、一生懸命な故の危うさと不安定な感じは、わかってやってるわけじゃないだろうけど、出てたと思います。あとは加納検事の出番はどうなってるのよ?ってくらいでしょうかね(笑)