山形 方言かるた
山形に転居して来て2年半、未だに分からない言葉がたくさんある中で、この方言カルタの発売。
いの一番に購入し、毎日特訓、でもまだまだです。
特にお年寄りのアクセントが全く分からなく、文字だけではニュアンスが伝わってこず、苦慮している毎日です。
しかし独特の山形方言には温かみを実感しております。
蝉しぐれ (文春文庫)
この年にして、藤沢周平デビューである。別に時代小説が嫌いなわけではなく、むしろ好きな部類に入る。池波正太郎・吉川英治など大好きである。ただ、藤沢周平に関してはなんとなく読む機会がなかった。ただそれだけのことである。
そして、蝉しぐれである。
さわやかで清涼感にあふれているのだが、一番印象深かったのは「深いなぁ」ということだった。とにかく、書かない。これでもかというほど、行間を読むことを要求してくる。もともと新聞小説だから、読者の興味を翌日まで引かねばならないこととも無関係ではないだろう。
こんなに、読者にゆだねていいのかと思うほどである。
安っぽい恋愛小説ばかり読んでいる人にぜひ読んでもらいたい極上の一品である。
蝉しぐれ 第3巻 [VHS]
ドラマまがあまり好きでなかったましてや時代劇など…。ところが何気なく見ていた蝉しぐれのドラマにははまってしましました。
脱帽でした。原作を読み、日本人の心の原点を見たように思います。
内野聖陽なる俳優もはじめて知り、参りました。細かい演技一つ一つに文四朗が乗り移っているようで、本当にのめりこんで見ました。
必見です。DVDは予約しましたが ビデオも予約して見ていない友人たちに貸してあげようと思っています。感激を共有したいと思っております。
風の果て〈上〉 (文春文庫)
誰にでも思い出せば、一緒に成長してきた人間はいるものだ。子供のころがよかったなんて幻想だ。子供のころから人の生き方、在り様は不平等なものだ。その事を大人の世界としてみながら、やはり自分もその中でやるせなさや苛立ちを感じ生きていく。そのころの経験の一つ一つをかみ締め大人になっていく。そして気がついてみると一緒に成長して来た道は気がつかぬ間にいくつもの分岐点があり、もう後戻りできないばらばらな生き方をしている。「何で親友と命のやり取りをしなければいけないのだ」という主人公の詠嘆に先に向かって歩むしかない人生の儚さと力強さを感じた。
小川の辺 【初回限定版】 [DVD]
篠原哲雄監督が「山桜」に続いて藤沢周平作品を映画化。
前作が純粋な悲恋物だっただけに、本作の複雑なプロットは監督の力量が問われる事になる。
藤沢周平の文学は厭世観に潜む人間愛だと私は思っている。
作品は多くを語らず、読み手の想像力の豊かさを求めてくる。
そう言った意味では映画化に適しているだろうと思うし、監督しだいで作品の良し悪しが決まると言っても過言では無いだろう。
本作は藩命により刺客とならざるを得なかった侍の苦悩を描いている。
対決の相手は侍の親友であり、その妻は自分の実の妹であった。
この原作を映画的に脚色すれば面白く描けるが、それでは藤沢文学で無くなってしまう。
原作を自己流の解釈で結論付けたがる監督が多い中、篠原監督が表現したのは映像である。
耽美的な映像の中に人生の価値と儚さが同居している事を見事に表現している。
フラッシュバックを適度に使用し、人的関係や背景説明を徐々に観客に理解させる構成も好感が持てる。
プロットから予測する刺激的な要素を極力排除し、淡々と描くスタイルはまさに藤沢周平の世界そのものである。
しかしスキャンダラスな展開を期待している人達からは、非難の嵐が巻き起こるであろう。