scenario experiments lain/シナリオエクスペリメンツ レイン[新装版]
10年以上前のテレビアニメ「serial experiments lain」の公式シナリオ本。アニメも観たことあったし、復刊ドットコムから復刊されたことも知っていたんだけど、やっと入手し読んでみた。
アニメが最初に放映された1998年ともう13年前になるが、「NAVI」なる携帯用コンピュータ端末が出てきたり、現実の社会とネットの世界の関わりを描いているこの作品は、その後のスマートフォンやソーシャルネットワーキングの発展を見ると、時代を先取りしている感がある。また、コンピュータ好きが喜びそうなネタもふんだんにあり、海外を含めて、いまだに高い人気を誇っているのもよく分かる作品だ。
この本はそのアニメのシナリオに絵コンテや大量の脚注を加えたもの。ストーリーもうろ覚えな私には、副読本としてもいい本だった。また、今回の復刊ドットコムによる新装版は、小中千昭氏、安倍吉俊氏らによる特別座談会「12年目のlain」も掲載されているのもいいね。DVD、Blu-rayも出てるので、買って観てみたい。
serial experiments lain TV-BOX [DVD]
現代のようにネットで人とコミュニケーションすることが当たり前の時代。もちろん現実世界での自分とは違う人格を設定している人もいるし、本人の自覚の有無に関わらず主人公の玲音(レイン)もその1人。現実世界とネット上での人格の違いが次第に現実世界に様々な問題を引き起こす・・・
現実とネットの境目と、それに伴う人格の違いを複雑に入り組ませて物語は展開していきます。非常に難解で哲学的なアニメでした。あらゆる物をデジタル化しようとする現代と、その末路について深く考えさせられました。作中では様々なキーワードが飛び交い頭を混乱させるので、無理に1つの絶対的な答えを出そうとしないことをオススメします。その代わりに様々な論点を設定して、何度も見直して欲しいです。
ネットとリアルのどちらの世界にも自分の居場所はあるし、どちらも人と繋がっている。ネットならいつでもどこでも話したい人と話せる。それにリアルで受ける心の傷の大きさはネットのそれとは比べものにならないほど大きい。なのにリアルでの人との繋がりを優先して生きていきたいと思うのは何故か?そこにネットとリアルでの「繋がる」という意味の違いがあるんだと思うし、だからこそリアルは大切にするべきなんだと思う。リアルでの人との接触を拒絶している人にこそ見て欲しい。
夕闇通り探検隊
タイトルが示す「夕闇」とは、文字通り現実と怪異が重なり合う「逢魔が刻」を示すと同時に、思春期の主人公たちがいる「大人と子供の境界」を象徴している。これは思春期の子供たちが、心霊現象や都市伝説を究明する過程において人間関係や現実世界との折り合いを学び、精神的に自立して行く成長の物語であり、ゲームのテーマに対応した実に秀逸なタイトルと言える。
主人公である中学生3人の立ち位置も絶妙で、超常現象や霊といったものに否定的な現実主義者のサンゴ、古代信仰や霊的世界を体現するクルミ、そのどちらにも付けないナオ。彼らの対立と調和、成長と停滞は、そのまま自然を切り拓き発展してきた陽見市と、その陰で忘れられ停滞してきた土着の神々の関係ともシンクロしている。
はっきり言って操作性の悪さや、学校での噂の入手タイミングの難しさ、ベストエンドに行くための条件など、難度は激高。何をするにも時間制限や選択肢による正否を求められるので、独力クリアはまず無理というレベル。攻略サイトなどを参考にいくつもの噂を効率的に同時攻略しなければベストエンドには到達できないだろう。
しかしそれらを補って余りある、怪異の集まる陽見市という街の実在感と、そんな夕闇迫る街並みを駆け抜ける少年少女たちの青春前夜の冒険譚は、かつて少年だった「いつかの自分」の姿とも重なり、胸に迫るものがある。何処にでもありそうで何処にもない、それぞれプレイする人の郷愁の中にだけ存在する街がここにある。
灰羽連盟 Blu-ray BOX 〈期間限定生産〉
画質については、触れません。(ジェネオンからも注意書きがありますので。)
まぁこの手の商品はまったくの新規の方が買うという物でもないので
完全にファンアイテムの一つなんですが、1ファンとしては買ってよかったと思える商品でした。
コンパクトなパッケージにサントラCD2枚付きは嬉しい限りです。
8年も前の作品ですが、今見てもまったく色あせない秀作です。
serial experiments lain lif.01 [DVD]
「エヴァ」以降の
『自分探し』
をするストーリなんですが、やっぱりネットを舞台にしているので
設定が「エヴァ」よりリアルに感じられる作品です。
僕の中では良くも悪くも「エヴァ」と対比してしまうのですが、
あの作品が無かったら話題になったましたね。