Tono-Bungay (Penguin Classics)
語り手であるジョージ(ウェルズと同じ名前)の半生記である。貧しく息苦しい幼少時代、叔父のエドワードを手伝い、インチキ強壮剤『トーノ・バンゲイ』で大儲け、成功によって垣間見た階級間の違いへの戸惑い、恋愛結婚と新しい恋人と離婚騒動、飛行機への熱中、破産に至るまでの一連のドタバタ悲喜劇、等々、様々な浮世の出来事が豊かな筆致で綴られてゆく。ウェルズの文芸的作品の中でも脂の乗った傑作で、例によってウェルズ自身の分身とも言うべき登場人物達の様々な表情を鏤め乍ら、新たな社会形態、新たな人間関係、新たな技術・発明がどんどん世の中を変えて行ったエドワード朝時代の移り変わりが、一個人の体験と云う形で、実に生き生きと活写されている。時代を代表する示準化石的名作と言うべきであろう。
この新しいペンギン版は、従来の決定版とされるアトランティック版のテキストを使用しており、16頁分の解説、25頁分の註の他、著者略歴、文献案内、テキスト註解が付いていてお薦めである。
TONOちゃんのしましまえぶりでぃ 2 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
猫を飼い始めると、みんないつの間にか飼い主というより、猫のドレイというか、猫のために私はいるの!になってしまうのはいったいどうしてでしょう。
それほど猫は魔物なのかしら。
フィーの意外な一面が見られて、びっくりするやら可愛いやら。
ピュア百合アンソロジー ひらり、 Vol.5
つい、最近に創刊したばかりだと思ったら、もう5冊目となりました。ここ最近、この「ひらり」に対する百合漫画本としての高い評価が付けられていますが、今号も見たらそれも納得。人気が高かったであろう連載陣もしっかりと残していて、それと急ぎ過ぎない誌面作りも高いポイントです。
次号には紺野キタ先生の名前もあって、これも楽しみです。
一つ注文をつけるとしたら、BL雑誌の宣伝のしおりは不要ですので、これを改善してもらいたいです。