上海ルージュ 【ベスト・ライブラリー 1500円:隠れた名作特集】 [DVD]
原題は上海黒社会ぐらいになるのかなあ、なぜか上海ルージュと訳されてますが。
愛憎というよりは、ひたすらに欲望追求!と組織の拡大、信用できない他人は口封じのため荒っぽい手口で殺してしまいます。
日本のヤクザとは違い仁義などありませんし、他人が兄弟となることもなく、一族しか信用できないというもので、黒社会のみでなく中国社会の特有なものです。
古い上海が舞台ですが、現在のマカオ(返還後)等でも同様の抗争があるようです。
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勝ち気な女性を演じるコン・リーには食傷気味だったが、この作品の彼女は魅力的。前半こそ「またか…」と思わせる意外性のないキャラクターだが、後半になってボスとともに離れ小島に身を隠すと、少しずつ彼女の本質が見えてくる。特にラストでの未亡人とその娘のために涙を流すシーンは感動的。さらに驚くのは劇中歌をコン・リーが歌っている(らしい)こと。踊りも含めて「上海の女王」を見事に演じきった。さすがにアジアを代表する大女優だけのことはある。
ストーリーもわずか1週間の出来事であり、目まぐるしい展開というわけでもなく、男優陣はメジャーな顔ぶれとは言えないものの、迫力は十分。また、未亡人の娘アジャオ役を演じた楊倩倩(ヤン・チェンチェン)がかわいらしくて印象に残った。
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埃まみれの格好でいなかから上海に出てきた水生シュイシュンのその後1週間の生活を日記風に描く。よくまあこれだけの事件が折悪しくも起こるものだと水生には同情するが、1週間という時間設定がウラの世界の栄枯盛衰を伝えるには効を奏している。水生と島の娘アーチャオ役の女の子の演技には感激。フィクションだとは思いながらも、彼等は、戦争をはさんでの激動の中国をどのように生きただろうか、などと想像してしまう。コン・リーは、「紅いコーリャン」「活きる」「きれいなおかあさん」のような化粧っけのないほうが、きれいに見えると私的には思うが、力強い演じ方は、「上海ルージュ」でも変わらない。ほんとうにすばらしい女優だ。